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錦鯉 -今月の魚病対策-

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季節に先駆けた錦鯉の魚病対策について。 錦鯉愛好家の皆様に読んでいただけると幸いです。
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2023年9月の記事一覧

麻酔の方法②-9月の魚病対策-

③麻酔の維持 つまりこの時期に手術を行うわけで、それだけに最も経験や、テクニックを要するところです。短時間の手術なら問題はないのですが、20分、30分、それ以上になりますと、適当な維持濃度の麻酔剤が入った水に鯉を浸して、このときはエアレーションや、水の補給を行いながら手術をします。 このとき、常に呼吸回数などを注意していなければなりません。毎分10分以上の呼吸数であれば心配ありませんが、麻酔の濃度が強く、時間が伸びたりしますと、延髄の麻痺が生じ呼吸停止、心停止を来すことも

麻酔の方法①-9月の魚病対策-

①前処理 いわゆる人間の場合、安定剤や副交感神経抑制剤の投与等を行ない、点滴など血管の確保を行うわけですが、鯉の場合はこうしたPremedicationは行いません。 むしろ、ビニール袋、タライ、酸素やエアレーションの用意、そして麻酔剤と水の量を正確に計れる準備をし、必ず前日から餌止めをしておくということになるでしょう。 ②導入 タライもしくはビニール袋に正しく水を測って入れておき、これに鯉を入れます。所定の量の麻酔剤(ここではFA100)を入れてすばやく手でかき混ぜ

鯉の麻酔について-9月の魚病対策-

私が鯉を始めたのが昭和44年ですから、今年で約15年になりますが、当時はまだFA100、MS222などの存在も知るはずもなかったわけです。しかしちょうどその頃、麻酔科の医局で勉強をしていたこともあって、人間に使用するエーテル麻酔使って鯉に麻酔をかけ、治療を行ったりしたものでした。 最近ではもっぱらFA100を使用していますが、エーテル麻酔のほうが、FA100よりも導入、覚醒に時間がかかるようで、興奮期も強いようです。しかし、手術時間が多少長くても麻酔効果は持続します。どちら

皮膚病は今のうちに-9月の魚病対策-

9月に入りますと、水温は次第に下がる気配をみせ始めます。それでも上旬は夏の余韻が残っていて、鯉は餌食いも良く、水草も繁茂し、その調整など池の管理にそれなりに手のかかる時期といえましょう。 クレソンを始めとする水草を食う蝶の幼虫や、かたつむり、なめくじなどの小動物を排除し、こまめに消毒などすることも必要です。ちょっと油断し、手を抜きますと、あの美しい水苔などはすぐ枯れて姿を消してしまいます。 愛鯉についても、来るべき秋の品評会で十分持てる力を発揮できるよう体表の観察等を日頃