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麻酔の方法①-9月の魚病対策-

①前処理

いわゆる人間の場合、安定剤や副交感神経抑制剤の投与等を行ない、点滴など血管の確保を行うわけですが、鯉の場合はこうしたPremedicationは行いません。

むしろ、ビニール袋、タライ、酸素やエアレーションの用意、そして麻酔剤と水の量を正確に計れる準備をし、必ず前日から餌止めをしておくということになるでしょう。

②導入

タライもしくはビニール袋に正しく水を測って入れておき、これに鯉を入れます。所定の量の麻酔剤(ここではFA100)を入れてすばやく手でかき混ぜ、鯉の麻酔されていく様子を静かに観察します。この時点ではエアレーションは必要ありません。

麻酔にかかっていく過程に必ず興奮期があり、程度の差はありますが、鯉は興奮した状態となります。このときに度が過ぎますと、暴れて体をぶつけたり、鱗を飛ばしたりしますので、この間はできるだけ外部の刺激を与えないようにふたなどをして暗くし、静かにしておくことが大切です。

また、導入時の麻酔剤の濃度が低すぎますと、この興奮期が長びいてしまいますので、少し濃度を高くして導入するのがコツで、FA100で1/1,000分倍程度でやってもよろしいかと思います。

興奮期が過ぎて、次の手術期―つまり、維持の時点で鯉の呼吸状態をみながら麻酔剤の濃度を調整すればよいのです。麻酔の導入や覚醒は水温に強く左右され、水温が低いといずれも時間がかかりますので、留意してください。

つづく


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