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中学校 教科書改訂の全容

来年度から、新しい学習指導要領のカリキュラムが全面実施され、中学校の教科書が変わります。

中学生の生徒や保護者様に直接関わる部分を中心にまとめてみたいと思います。

【全体で何が変わるのか】

① ページ数はどの教科も同じか増加、特に英語は質・量ともに大幅に増加
② 丁寧なステップアップで「何が出来るようになるか」が明確に
③ 学校や家庭などの日常の場面設定やSDGsなどのテーマで学びを実社会につなげ
④ 教科や学年を超えた様々なつながりを示し、円滑な学びを構築
⑤ webコンテンツが充実し、学びが教科書だけに帰結しない

新しい教科書では「資質・能力の3つの柱」をバランスよく育むことを目的とした構成になっています

【英語】

今回の改訂の中英語の変化が著しいです

・単語数が現行の教科書の約2倍に(1600~1800語から2500語以上へ)

・高校履修内容の一部が中学へ移行された

 [高校から中学へ移行する主な文法事項]
仮定法/現在完了進行形/原型不定詞/感嘆文

単語も大学入試頻出単語などが中学の教科書で出現しているものもあります

・中学では小学校で英語を学んだことを前提に編集されている

例えば、今まで中1の後半で学習していたcanたが新教科書では中1最初の単元でbe動詞と一般動詞とともに扱われるケースも多くなっています

【国語】

・「情報の扱い方」の題材が増加
国語の新指導要領では新しく「情報の扱い方」が設けられました
これに伴い新教科書でも扱いがあります

・定番材料の多くは継続されている
「少年の日の思い出」「走れメロス」「故郷」など定番題材については全社で継続掲載されています

【数学】

・「統計」の内容に大きな変化
代表値の求め方が小学校に移行し、新たに「累積度数」中2では今までは高校学習内容であった「四分位範囲・箱ひげ図」などを学びます。また、「素因数分解」が中3から中1へ移動しました。

・日常生活の問題を数学的に理解する
学習内容を活かして日常生活などで、数学を使うという場面設定の問題が扱われています。具体的には、時差や地図の問題掲載など他教科との関連性も見受けられます。

【中学1年生】
素数 小5から中1へ
素因数分解 中3から中1へ
確率 中2から中1へ
累積度数 新規
誤差や近似値、a×10n乗の形の表現 中1から中3へ
平均値、中央値、最頻値、階級 中1から小6へ

【中学2年生】
反例 新規
四分位範囲や箱ひげ図 新規
確率 中2から中1へ

【中学3年生】
誤差や近似値、a×10n乗の形の表現 中1から中3へ
素因数分解 中3から中1へ

【理科】

・学習単元の再編と学習順序が変わった
① 顕微鏡の扱い→教科書によって分かれた。本文、巻末、扱いなしなど
② 2年生では、今まで1年生で扱われていた「圧力」が移動してきます。(水圧は中3へ移動)
③ 3年生で「イオンへのなりやすさ(イオン化傾向)」を比較する実験、「ダニエル電池」が追加。

・主な用語の変更
「哺乳類」「は虫類」「脊椎」「脊髄」が多くの教科書で漢字に
「元素」という用語が追加
「化合」という用語が削除
「同位体」という用語が追加
「イオン式」という用語が削除
「優性」「劣性」
→「顕性」「潜性」に変更

【社会】

・地理が5時間減(120時間→115時間へ)
地理の配当時間が5時間分減ったことにより、ボリュームが減少

・歴史は5時間増(130時間→135時間へ)

横のつながりを意識した世界史内容の充実
世界史のボリュームが増えています。ヘレニズム文化の形成要因がアレクサンドロス大王の東方遠征によるという内容、モンゴル帝国の広がり、ムスリム世界の交易を扱うことでユーラシアの東西世界のつながりを意識させるなどの構成が多くみられます。

・公民は時代を反映した新しい言葉が出現

「人工知能」「ビックデータ」「IoT」などの情報に関する用語が多く掲載されています。

例(上記以外)「フィンテック」「クラウドファンディング」「仮想通貨」「SNS」など


お読み頂きありがとうございました

参考資料:『ウィズティvol.19」

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