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明日10月4日(金)開催~ロバート・スミッソン:脱分化の弁証法

スミッソンのレクチャー開催!

所属ギャラリーの出版部門からのお知らせです。
間際の告知となってしまいますが、明日10月4日(金)の19時15分から、両国のアートトレイスギャラリーにて、ランドアートの先駆者として知られるロバート・スミッソンに関するレクチャーが開催されます。

まだ僅かですが残席があるそうですので、関心がある方は是非ご参加ください。ちなみに私も聞きに行きます。
以下、ウェブページの内容を転載致します(許可済)。

レクチャーの概要

 ロバート・スミッソンは、いわゆるモダニズム以後の芸術を考える上で最も重要な作家のひとりであるだけではない。彼のエントロピーの美学はあらゆる形而上学を批判する原理であり、私たちの文化そのものへ根源的な反省を迫るものでもある。 そうしたスミッソンの射程を総合的に捉える作業はいまだに十分になされていないだろう。 今回のレクチャーでは、ミニマル・アートからアース・ワークに至るスミッソンの作品を具体的に考察しながら、その知覚理論、造形理論、制作理論を抽出し、彼の美学の全容に迫ってみたい。世界を分化し、対比させ、構造化することは、私たちの(造形言語も含め)言語の根本的な原理であり、 安定した世界像を得るため欠かせないものだ。主客の分化は世界を対象化するための条件であり、現象と実体の分化は対象を不安定で動的なプロセスから引き離し、人工物と自然物の分化は形而上学的な文化を自立した世界として打ち立てる。スミッソンの転倒した弁証法は、 こうした対立構造を「脱分化」していく試みとして捉えることができる。 鏡や水鏡の機能を多用した彼の彫刻やアース・ワークは「視覚を見る」というテーマに貫かれている。それは世界を対象化するための否定的媒介として排除された主観的観点を対象化する試みである。対象が主観化され、主観が対象化される場、現象が実体化され、実体が現象化される場、人工物の自然性が暴かれ、 自然の人工性が露わになる場において、スミッソンのサイトは成立する。 そうした「脱分化」の過程は、エントロピー増大過程としての時間の内在的な経験であり、スミッソンの作品経験の核にあるものである。その感性的な経験を様々な資料から再構成し、芸術を含む我々の文化が抱える課題を見直す機会としたい。  

松井勝正

日時:2019年10月4日(金) 19:15~22:00
場所:アートトレイスギャラリー
https://www.gallery.arttrace.org/access
定員:40名
参加費:1000円

参加をご希望の方は info@arttrace.orgまで、お名前と「10月4日レクチャー申し込み」の旨をご連絡ください。
お問い合わせ、ご質問につきましても info@arttrace.org にて承ります。
※定員を超過した場合は締切とさせていただく事もございます。
※当日開始時間にご来場いただけなかった場合、ご予約をされていても立見となる可能性がございます。申し訳ございませんが何卒ご了承ください。
※お申し込みいただいた方には、今後ART TRACEより展示、イベント等の情報を配信いたします。 (今回の参加のみご希望の方は、お申し込み時「情報配信不要」の旨をメールにご記載願います)

講師プロフィール

松井勝正(まつい かつまさ)

1971年生まれ。芸術学。武蔵野美術大学、東京造形大学非常勤講師。 ロバート・スミッソンにかかわる仕事として、論文「《エナンチオモルフィック・チェンバーズ》の立体化」『美史研ジャーナル』2(武蔵野美術大学美学美術史研究室、2015)、共著に『西洋近代の都市と芸術7ニューヨーク』(竹林舎、2017)、『現代アート10 講』(武蔵野美術大学出版局、2017)など。著述以外の活動として「宮城でのアース・プロジェクト:Robert Smithson without Robert Smithson」展(風ノ沢ミュージアム、2015年)など。

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