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「同じところをガイドして飽きないですか?」

仕事でガイドをしていてよく聞かれる質問があります。

「同じところをガイドして飽きないですか?」

多分どんな職業でも同じだと思いますが、飽きるか飽きないかはその人次第なんじゃないかと思います。突き詰めればキリがないのはどんな仕事でも同じです。大事なのは追求していく気持ちで、それがある限りは飽きることはないと思います。

ガイディングに関していうと、個人差はあると思いますが、時間配分とか話す内容がまとまってくるとある程度は慣れてきます。とはいえ、お客さんは毎回顔ぶれも人数も違いますし、外の場合は気候条件も晴れと雨では大違いです。また、ピークシーズンとなると思うように移動できないということもしばしばです。

それに加えて、その日の調子もあります。思うように言葉が出てこないとか、喉の調子が悪いとか・・・体調管理をしっかりしてもそれはやはり起きます。

そういうことを踏まえると、その日その日でやっていることは実質的に同じでも、全く同じ展開になることはなくて、ガイドの仕事はとても奥の深いものだなと思います。

知識の面でいうと、実際のところ同じ場所を100回、200回とガイドしても、その場所は世界遺産や重要文化財に指定されていたり、または長い歴史のある場所なわけで、突き詰めればそれだけ知らない世界がまだまだあるということです。そして、色々と調べていくと、見慣れたはずの建物がまた違って見えてきます。昔の建物でも考古学の研究が進むと新たな発見があったりするので、常にアンテナを張っておくことが大事だと思います。

また、長い間仕事をしていると前にガイドしたお客さんに当たるということもあります。そうなると流石に同じ内容の話だけをするわけにはいきません。なので、私の場合は普段から少しずつマイナーチェンジをしていくようにしています。

少しだけ内容を変えたり、構成を変えたり、話し方を変えたりして、お客さんの反応を見てさらに修正を加えるといった具合です。ガイドの仕事はお客さんがいて初めて成り立つものです。その視点を大事にしながら、下調べしたものからシナリオを作り、演出、実演、場合によっては通訳を全て自分でやる・・・ある意味でガイドの仕事とは誇張して言ってみれば舞台監督兼俳優みたいなものかもしれません。

そのせいか、ここだけの話(と言ってももはや公になっていますけど)、いまだに初めて会う人をガイディングをする前は少し緊張します。段取りを頭の中でシュミレーションしたり、お客さんの姿を想像したり、まさに舞台に上がる前のようなそんな気分にいつもなるのです。

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