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[工場見学] 生地の捺染機械メーカーさんが本気で作る靴下専用デジタルプリンターを見にいく

デジタルプリントが好きで、仕事柄よく工場見学に行きます。
世の中には普段みんなが見ることがないデジタルプリント技術がたくさんあります。

これまでは印刷機は印刷工場が買うものでしたが、印刷技術の進化と様々なメーカーがプリンター開発をすることにより、印刷工場ではない製造工場にもデジタルプリンターの導入が進んでいます。

そんなマニアックなプリンターの話を聞いてみたい。みてみたいという人が周りにも多かったので、noteを書いていこうと思います。

生地機械メーカーが作る靴下専用デジタルプリンター

染色工場の設備を作る機械メーカー東伸工業株式会社

社長から話を聞いたところによると、創業者の一ノ瀬久吉さんが特許を100件くらい持っていて、その中の一つがこれまで手で印刷をしていた生地の捺染で人が動くのではなく、生地をベルトコンベアに載せて動かして印刷する方式を開発して機械を作り始め、今では日本だけでなく、中国やブラジルなど世界中でICHINOSEというブランドで展開しています。

どうやって靴下を印刷するのか?

今回の目的の一つは捺染機ではなく、靴下専用プリンターをみにいくことでした。靴下プリンターは筒形で一体どんなふうに印刷するのかさっぱり見当もつきません。

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テストなので、本物の靴下ではなく紙でテスト印刷していますが、本番も靴下をこの筒に被せて準備をしておくようです

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靴下を履かせた筒をこの機械の中に差し込むとあっという間に印刷がされます。数十秒で印刷が終わります。

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と言ってもいまいちわかりにくいと思うので、この動画が一番わかりやすいです。

まずは作ってみる文化がある会社

今回ロボットアームで筒を差し替えしている試作機を見せてもらったのですが、開発者が特に指示されるではなく、アイデアを出しながらまずは作ってみる事を重要としていて、頭ごなしに否定することは一切ない様です。

それどころか、社長自らもいろいろな開発の陣頭指揮をとってやっているようで、以前に聞いていい意味で「ヤバイ雰囲気」を感じた手作業でシルク印刷する工程をロボット化した機械を思い出しました。キーワードはセクシーな機械が大切ということです。

もちろん安定の既存事業

新しいことだけをやっているのではなく、もちろんこれまでのシルクスクリーン捺染機の製造もしており、広い工場には世界中に出荷を待つ機械が一度バラされ出荷準備されていました。

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海外に送る前に国内で一度完成させて精度を確認してバラして梱包するという手間をかけて送っていました。

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jugo(融合)アナログ捺染機とデジタルプリントユニットのいい所を合体

もう一つ面白いのはアナログなシルクスクリーン印刷とデジタル印刷のいい所を合体させたjugo(融合)です。
単色などのベタの色はインクジェットよりシルク印刷で特色をベタ塗りするほうがくっきり出ますが、写真や多色の柄や色変えはデジタルの方が向いています。それなら二つをくっつけてみたらいいよね。ってことで開発したのがこのプリンターです。


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これも普通の人はさっぱり意味がわからないと思うので、動画をどうぞ

かの有名なハイブランドを虜にするオーダーメイドインクジェットプリンターの世界

アパレルなどの生地のインクジェットは急速に伸びてきていて、東伸さんも30年前くらいからデジタルプリントに取り組んでいて、誰もが知っているブランドの工場にも導入されています。

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いい雰囲気の工場はみにいくとわかる

工場内を歩く度に社内の人が大きな声で挨拶をしてくれます。開発の人のアイデアを大切にしていて、まずは思いついたらいろいろ作ってみて、反応を見ながら意見を聞いたり、販売までいくか検討したりしている様で、すごく雰囲気も良くて気持ちいいメーカーだなと思う1日でした。

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