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[書評]東急線沿線で引越しを繰り返した理由がわかったまちづくりがわかる1冊「私鉄3.0」 東浦 亮典

東急電鉄一筋でまちづくりを進めている現役執行役員の東浦さんが書いた一冊は、東急線沿線に住んでから引っ越しを同じ沿線で繰り返した自分が、住んだ街をなぜ好きになったのかを知れる本でした。

東横線沿線に住んでから、引越しをするにも東急沿線周辺を繰り返しています。買い物は東急ストアで買い、カードは東急カードでポイントを貯めて、東急〇〇には何かしらお世話になることが多い毎日です。

そもそも東急電鉄はどういう成り立ちでできたのか?詳しく知りませんでした。名前だけ知っている渋沢栄一や五島家のつながりをはじめとした東急電鉄の成り立ちが、社史のような形式的な形ではなく、現役の執行役員の人が私説で自分なりの意見を入れて買いてあるのはとても読みやすく、理解しやすい内容でした。

いろんなタイプの街の成り立ち

そして、いかにして田園都市の街が作られたかやニュータウンのように計画的に作られた街の成り立ち。自由が丘のように中の人たちが盛り上げてできた街、現在進行形の川崎市が主導して始めたまちづくりである武蔵小杉の街。などぼくたちのように住んでいる人にはなんとなくのイメージで感じている街のことが克明に綴られています。

書籍の中で語られている私鉄1.0のころの、線路を伸ばしてグループ会社で宅地を作り、グループの百貨店と食品スーパーの店舗で住んでいる人に利便性を提供するまちづくりの基本路線を忠実に守りながら拡大を続けた時代が生々しく語られています。

引越しをする基準って商店街や街の雰囲気で選ぶことが多く、知らず知らずのうちに「あの街はおしゃれだな」「あの街に住んでみたいな」と思うことにはちゃんと街の成り立ちや計画があってのことだと知りました。

そこには東急電鉄さんのような私鉄の会社が何もない場所を、地主さんを巻き込んでまちづくりをして、色々なお店や企業を誘致したからこそ生まれる魅力もあるんだなと思いました。

これからも住みたくなる東急沿線のために

そしてこれだけ街や交通網が発達し、インターネットをはじめとしたインフラも整った今だからこそ、東急電鉄さんが危機感を感じ、スタートアップをはじめとしたアクセラレータープログラムなどの試みも楽しみです。

そんな自分の知らない世界を垣間見れる素敵な一冊でした。

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