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「サファイア」

前々から気になっていたAudible。お試しキャンペーンでプライム会員は3ヶ月無料となっていたので入会した。
1冊目は何にしようかとコンテンツを眺めてすぐに目に留まったのが「サファイア」だった。
映画やドラマきっかけで好きだった湊かなえの作品にこれを機に触れていきたいと思ったし、永作博美の朗読にも心を引かれた。

「サファイア」は短編集で、各エピソードに宝石の名前がつけられている。

あなたに、いつか「恩返し」をしたかった──「二十歳の誕生日プレゼントには、指輪が欲しいな」わたしは恋人に人生初のおねだりをした。
「やっと、自分から欲しいものを言ってくれた」と喜んでくれた彼は、誕生日の前日、待ち合わせ場所に現れなかった……(「サファイア」)。
人間の不思議で切ない出逢いと別れを、己の罪悪と愛と希望を描いた珠玉の物語。
表題作他「真珠」「ルビー」「ダイヤモンド」「猫目石」「ムーンストーン」「ガーネット」全七篇。

Audible版『サファイア 』 | 湊 かなえ

「真珠」、「ルビー」と聴き始めて、読書と朗読を聴く楽しさを感じた。
短編だけど展開が読めなくて面白い。
永作博美の朗読がすごく良い。表現が本当に上手い。
文字を読む疲れもなく、目をつむって物語に没入できる。なるほど、これがAudibleか。素晴らしいなぁと。

現代のおとぎ話のような「ダイヤモンド」は主人公に自分を重ねて感情移入した。結婚できない男には沁みるエピソード。
「猫目石」はゾワ感が強くて面白かった。

一番好きなのは「ムーンストーン」。ボロボロ泣いた。
学校での話はやっぱり心に刺さるというか心をえぐられるというか。
繊細な描写も泣ける展開も物語構成の仕掛けも思い切りハマって味わえた。
検索してみると、「ムーンストーン」は2016年に「女性作家ミステリーズ 美しき三つの嘘」と題したドラマスペシャルで三つの中の一つとしてドラマ化されていた。
主人公を演じたのは永作博美。なるほど…!
そしてそのドラマを何とか見る事ができたのだけど、またボロボロ泣いた。
仕掛けは映像で演出が効いていてそれも見事だった。

表題作「サファイア」と「ガーネット」はこれもまた素晴らしかった。
悲しい出来事、運命的な出来事、それに対する主人公の思いが描かれる度に感動して泣いた。
この2作の構成も良くて、まさに宝石のような綺麗な作品で、湊かなえは本当にすごい。
そして繰り返すけど、永作博美の朗読がすごく良かった。

サファイアは9月の誕生石。
という意味でも素敵な本に触れられて良かったなぁと。

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