原発事故は全然終わっていない

2021年1月13日に、坂本龍一さんのインタビュー記事が朝日デジタルで掲載されました。

「原発事故は人類の悲劇、まだ終わっていない」

全くその通りです。むしろ終わっていると思っている人がいるとすれば、一度考え直して頂きたいと思います。

未解決の課題は山ほど有ります。

例えば、被害回復はどうか。いまだに数万人の人が避難しています。それなのに、賠償は次々と打ち切られています。東京電力もADRの和解案を蹴るようになっています。その結果、多くの人々が集団訴訟に立ち上がっています。

被害を受けた人が、わざわざ国と対峙しなければならない。東京電力は、福島のためにと大々的に宣伝するわりに、訴訟の現場では信じられない態度をとり続ける。こんな状況がいまだに続いています。

福島第一原発敷地内はどうか。ALPS処理水だけでなく膨大な放射性廃棄物が発生しており、燃料デブリの取り出しどころか、その処分の目処は全くたっていません。30〜40年で廃炉作業を終えるとした政府の計画は、絵に描いた餅に終わるでしょう。

発生した放射性廃棄物の量は桁違いです。単純に比べられませんが、例えば低レベル放射性廃棄物のなかでも数十メートル地下に処分しなければならないもの(L1)をとりあげましょう。それでみると、事故を起こしていない原発の廃炉を基準にして、その1000倍を超える放射性廃棄物がでてきます。

ここでは「L1」についていいましたが、燃料デブリなどというものは、他の原発から出てこないので、いわば「無限大倍」とも言えます。

どれほど深刻でも、私たちは非常に長い間、放射性廃棄物を管理していかなければなりません。ALPS処理水など流せばよい、除去土壌(汚染されている土)は再利用すれば良い、などとやっていると、何から何までいい加減に扱われてしまいかねません。

これらは一例です。情報がバラバラになっていて、一般市民にはわかりにくくなっています。「不可視」になっているのです。

福島原発事故は人類の悲劇。二度と繰り返してはいけないし、全然終わっていないです。

メッセージを送ってくださった坂本龍一さん、また、このインタビューを行ってくださった朝日新聞の小森敦司記者に心から感謝します。

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