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無職の職業倫理-「君は就職した方がいい」と説得したOB訪問の思い出


気づけば、周りには無職ばかりだ。


5年前、就職せずに大学を卒業した。類は友を呼ぶとはよく言ったもので、無職からのDMが5年間ずっと来続けている。

こんにちは!慶應義塾大学4年の○○と申します!××を学んでいて、□□に興味があります。□□をインターネットで発信して食っていきたいので、僕も堀元さんみたいに就職しないで生きていこうと思っています。もしよろしければアドバイスをいただけないでしょうか?

そんなDMが来たのは、2年と少し前だっただろうか。

いつもは無視するか「相談は有償でのみ受け付けております♡」と回答するのだが、この時はなぜか「相談に乗ってみよう」という気分になった。多分、2つの理由が挙げられる。

ひとつめは、彼がやっていた学問の××にちょうど興味があったことだ。本を読んでもピンと来なかったことを、直接話せるのはありがたい。

ふたつめは、母校が同じであることだ。同じ母校の後輩から、「就職せずに生きていきたい」という相談を受けること。これは実質OB訪問である。

僕は訪問したこともされたこともないからよく分からないが、世間にはOB訪問という文化があるらしい。同じ大学を卒業した先輩で、自分が関心のある職種の人に、就職活動のアドバイスをもらいにいくことを指すようだ。

であるとするなら、「無職になることを検討中の後輩」から、「かつて無職になった僕」が相談を受けるのはOB訪問だと言っていいだろう。

多忙を極めるコンサルや商社の人々も、OB訪問はなるべく受けると聞く。「かつて自分が受けた恩を、後世に還元しなければ」という使命感からだろう。立派な大人の考えだと思う。

僕も母校への恩返しが全くできてないというか、母校の就職率を下げてしまったという負い目があるので、せめてOB訪問の責務ぐらいは果たそうと思ったのである。


「君はやめた方がいいね」

当日、相談相手の後輩は指定したカフェに15分遅れで到着した。さすが、これから無職になろうというヤツは気概が違う。マトモなOB訪問でこれをやったら怒られるだろう。無職OB訪問には無職標準時が適用されているのかもしれない。

ちなみに、僕は遅刻するのが嫌いなので20分前には着いていた。無職タイムをわきまえずに来た僕の方が悪いのかもしれない。


さて、彼の話をアレコレ聞いていく内に、色々なことが分かってきた。

15分も話を聞けば十分である。結論として「君はやめた方がいいね。就活をしなよ」と伝えた。

ある意味、普通のOB訪問よりもずっとやりやすかっただろう。僕は会社の看板を背負ってないので、どれだけ辛辣で率直なフィードバックをしても構わない。某大手toC企業の人は「OB訪問で辛辣なことを言うと企業としてのイメージが悪いから、ダメなヤツはテキトウに褒めて帰らせる」と言っていたが、そういう気遣いは全く必要ない。


そんなワケで、今日は彼の思考形態と、僕が行なったフィードバックについて書いてみようと思う。彼の思考形態は典型的なしょうもない無職志望のものであり、無職的な進路を歩むのに不向きなものである。だから、興味深いケーススタディにできると思う。最後に、彼のしょうもなさを反面教師にして、「無職の職業倫理」を導く。形容矛盾に思えるが、これはきっと実在すると思う。

ちなみに、僕はこれまで40人くらいの無職の進路相談に乗ってきたし、自分も無職なんだか自営業者なんだか分からない期間を長く過ごしてきたので、無職の思考回路について割と詳しい。願わくばもっと高尚なテーマについて詳しくなりたかったところだが、人生はままならないものである。

ともかく、せっかく得た知見はアウトプットにまとめた方がいいので、今日は記事を書く。


ということで、以下具体的な話が出るので、有料になる。

単品購入(300円)も可能だが、定期購読(500円/月)がオススメだ。いつ入っても当月に書かれた記事は全部読める。11月は5本更新なので、バラバラに買うより3倍オトク。


では早速見ていこう。彼の思考形態の特徴は、これだった……。


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