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零細事業者が違法なことやっちゃう理由は、YAGNIの原則と野菜の皮むき。【ヒモマッチングサイト休止について】

意識高い系のしょうもないヤツがよく言うセリフは数々ある。

リスクを取らないことが最大のリスク」というのもその一つだ。

このツイート、本当にしょうもなくて最高だ。全然知らない人だけど、しょうもない人なのが一目で分かる。「僕の人生を変えた言葉」とか言ってるけど、これもしょうもない人がよく使う表現だ。お前ら人生すぐ変わるよな。インド行っただけですぐ人生変わるし、ヒッチハイクしただけですぐ人生変わる。人生ペラペラか。そよ風ですぐひっくり返る厚みしかないのか。文鎮持って生活しろ。

あと、「リスクを取らないことが最大のリスク」の類義語に「死ぬこと以外かすり傷」もある。これを言ってるヤツも大抵しょうもない。タビッポとかでインターンしてるしょうもない旅系大学生に多い印象。


……話がすっかり逸れてしまった。今回はリスク管理の話をしたかったのだ。タビッポは今回の記事に全然関係ないのになんとなくディスってしまった。話を戻そう。


僕(零細事業者)のリスク管理

「リスクを取らないことが最大のリスク」という言葉、まあ分からんでもないのだけれど、大抵は普通にリスクを取ることの方がリスクなので、あんまり行動指針としてはアテにしない方がいいよね、と思う。

人生において、なるべくリスクを取らずに上手に避けていく方が偉いのは当然で、懸命な大人は皆それを習慣として身につけている。社会でちゃんと活躍している人はみな、上手にリスク管理をしているものだ。「死ぬこと以外かすり傷」とは決して思っていない。指の骨折は死なないが、決してかすり傷ではないので、避けなければならない。


僕も基本的には同じ発想である。なるべくケガはしないようにしたい。

だけど、零細事業者にはとある原理原則があり、その原則のために、あまり適法でないことをやっちゃいがちである。そういうメカニズムを今日は解説したい。

もちろん、せっかくの有料マガジンなので、たっぷり実例つきで。


ヒモマッチングサイトの休止

前回も扱ったのだが、僕は「ヒモになりたい男性とヒモを飼いたい女性のためのマッチングサイト」というWEBサービスを作った。

kamiyui_トップページ用

https://kamiyui.work/

ヒモマッチングサイトkamiyuiは、予想を大きく上回る反響を頂き、多くの人に利用してもらい、そして一時休止した

画像2

公式発表の文言は、「法的に色々アレなので、しばらく休止します」という程度の解像度である。

あまり解像度を上げすぎると色々なアレが余計に色々とアレになる可能性があり、このくらいの文言に留めた。

だが有料マガジンならば、解像度をバリバリに上げて書いていける。内情を全部明らかにしていこう。


だがその前にまず、前置きをさせて欲しい。一つの原則を紹介したい。


YAGNIの原則と零細事業者の行動規範

「YAGNIの原則」という言葉がある。エンジニアの世界ではよく言われる原則だが、非エンジニアの皆さんには耳馴染みがないだろう。

YAGNIとは、「You Aren't Gonna Need It」の頭文字を取ったものだ。すごく意訳すると「いつか必要だと思って作っている機能が、実際に必要になる日は来ないだろう」という感じになる。

つまり、「今実際に必要な最低限の機能だけを作りなさい」というエンジニアの行動規範である。


そして、この行動規範はエンジニアに限らない。零細事業者においても全く同じことが言えるのである

一つの事業をやろうと思ったら、それに付随する膨大な課題が持ち上がってくる。

例えば、飲食店をやることを考えよう。準備しておきたいことは山ほどある。

きれいな内装・通行人の目を引く外装・カッコいいロゴ・イケてるコンセプト・店の名刺・看板メニューの開発・仕入先の開拓・スタッフの求人・スタッフの育成・ホームページの用意・SNSアカウントの用意と運用・地元住民との触れ合い営業………

「やっておきたいこと」は無限にあるが、これを全部完璧にやるワケにはいかない。全部やろうと思ったら、膨大な時間と金がかかってしまう。現実と折り合いをつけながら、絶対に必要なことだけをなんとかこなしておく。残りは開店後、必要だと感じる度に少しずつ付け足していくしかない。それが零細事業者の日常である。

零細事業者は日々、YAGNIの原則を持つ必要があるのだ。

ちなみに、この「零細事業者はYAGNIの原則を持て」という言葉を言い換えると、「しょぼい起業」という概念になる。

この本の著者で、僕の友人でもあるえらいてんちょう氏はこう主張している。「一般に必要とされている開業のためのお金はほとんど不要である。飲食店は都内でも50万で開業できる。私はもらいものの食器でバーを開業した。看板は紙にマジックで手書きしたもので十分」。これは究極までYAGNIの原則を突き詰めたものと言えよう。

零細事業者にとって、完璧な準備は必ずしも良いことではない。そこに時間や金を費やすことで、身を滅ぼすことの方がずっと多いのだ。


法務とは、野菜の皮むきである。

さて、前置きが長くなってしまった。ここからいよいよ本題に入る。

僕は個人事業主の企画屋として色々な企画を出したり実行したりして生計を立てている。

そんな僕にとって、法務というのはどんな位置づけなのか。それをこれから書いていくのだが、残念ながら無料で書くと社会に怒られるので、以下有料となる。気になる方はお金を出して欲しい。

300円で単品購入もできるが、一ヶ月500円のマガジンを購読がオススメだ。マガジンを購読すれば前回の分も今後の分も読めてお得である。

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