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プロセスエコノミーの潮流で溺れ死ぬ人たちの実例。あるいは僕らが掘り当てつつある金脈の話。

昨日、31歳になった。この歳になると、誕生日はカレンダーの中の、単なる一日に過ぎなくなる。昨日もずっと収録をしていた。毎月最後の土日は収録をすると決めているから。

「誕生日だから収録をずらそうか」という考えがなかったワケではないが、結局そうしなかった。特別な何かを求めるよりも、ルーティンを崩さないことを優先してしまう。去年よりその傾向は強くなっている。老化だ。誕生日を迎える前から、僕は歳を取っていた。人は誕生日に歳を取るのではなく、刻一刻と老化するものだ。


新規事業を求め続けている

細かいスケジュールのルーティンは守っているが、事業のルーティンはまったく守っていない。次から次へと新しいことを始めているし、リソースは常に枯渇寸前である。パーキンソンの法則(仕事はリソースを食い尽くすまで膨張する)は実に正しい。

今は「ゆる学徒カフェ」という実店舗を出店するために常時てんてこ舞いになっている。最近は内装工事がかなり進んでいて、「あっ無事に開業できそうだ」と思い始めた。6月頭に開業予定。

(この動画は4月半ばに撮られたものなので、実際はもっとずっと進んでいる)


開業準備にあたって、「広告宣伝のためにYouTubeチャンネルを頑張るか」と思い、めちゃくちゃ動画を撮りまくった。ペース配分を考えずに1週間に4本のペースで撮影してたので「編集が追いつくと思ってますか?」と編集スタッフに白い目で見られた。ごめんなさい。

とはいえ、ゆる学徒カフェのYouTubeチャンネルは十分すぎるほど順調に推移している。どの動画も2万回ほどは再生されているし、視聴者の熱量も高い。視聴者の3%だけが足を運ぶと仮定しても、とりあえず600人はすぐ来てくれそうだ。キャパ30人の店なので、この数字はあまりにもできすぎている。

僕は「順調だなぁ」と胸をなでおろした。カフェに紐づいたチャンネルがこれだけ好評を博しているなら、それなりに強い集客源になってくれそうだ。

そして、そうこうしてるうちに思い始めた。これ、もしかして金脈を掘っているのでは、と。


プロセスエコノミー開業

「ゆる学徒カフェ」のチャンネルは、いわば「プロセスエコノミー開業」である。開業までの過程を余すところなく見せている。

最初は工事前なので、物件は見るも無惨な状態である。このルームツアー動画では主に「汚い配電盤」や「何者かが捨てたゴミ」などを見せている。ルームツアーとして成立しているのかどうかについては諸説ある


とはいえ、自分で言うのも何だが、これが割とおもしろいのだ。

基本的に、普段見られない裏側はおもしろい。「工場見学」や「収益構造」などを題材にしたコンテンツは枚挙にいとまがないが、すべて「ビジネスの裏側を白日の下に晒す」という意味で共通している。

そして、その中でも、「事業立ち上げ」はこの上なくネタの宝庫だ。僕らの場合は「内装に思ったよりも金がかかったのでケチれる場所を全部ケチった」みたいな話でよく盛り上がっている。



リスナーも皆これを見ながら「ホントに開業できるんか?」とか「財務計画無謀すぎん?」とか「天井にアスベストついてるのはさすがにヤバくない?」とか好き勝手なことを言いながら盛り上がっている。(上についてるアスベストっぽいやつはアスベストではない。そのことは太鼓判を押せる。8万円かけて検査したから

この過程を踏むことによって、ゆる学徒カフェはあらゆるアイテムが物語をまとったものになる。「これが20万円のデザイナーズ家具をやめて代わりに購入した机かぁ」とか、「これが元々汚い配電盤があった場所かぁ」とか、「これがアスベストのない天井かぁ」とか、そういう楽しみ方ができるようになる。僕は以前、「情報量観光」という概念(下調べをしてから観光地に行って何気ないもののストーリーを楽しむ観光)を提唱したことがあるのだが、それが実現できるのではないだろうか。


許認可さえもコンテンツに

僕がゆる学徒カフェチャンネルに関して、特に手応えを感じたのはこの動画。

「許認可トーーク」と銘打って、店長の黒川くんが許認可を取るために奔走した話を色々聞いた。

これが面白いのである。話してる内容としては「食品衛生責任者を取った」みたいな地味この上ない話なのだが、黒川くんの切り口が良いので、魅力的な話に昇華されている。「記憶喪失性貝毒」の話で笑い転げた。

食品衛生責任者講習に出てくる一番おもしろい言葉「記憶喪失性貝毒」


自分で言うのも何だが、オーナーかつ聞き役として出演している僕の仕事も良い。マジメに資格を取る黒川くんと対照的に、「ギリギリ捕まらないラインを攻めようぜ」などとふざけつつ、「記憶を一番なくせた人が勝ちのイベントやろう」「絶対ダメだよ。お前オーナーなんだからコンプラ気にしろよ」とボケ・ツッコミのやり取りをちゃんと作り上げている。

これは本当にすごい。食品衛生責任者の資格を取った話をここまで上手にコンテンツにしている事例は、恐らく他にない。

上手く料理すれば、許認可を取ったという退屈な話もコンテンツになるし、それができるのならばネタは無限だ。開業に伴う退屈な作業をすべてコンテンツに変換し、それがそのまますべて広告になると考えると、プロセスエコノミー開業は完璧なスキームだと言っていいだろう。


プロセスエコノミー開業は難しい

と、ここまでは胡散臭い「これからの開業の新常識!」みたいな、ビジネス書で出版されそうな内容を語ってきたけれど、ここからはこのnoteにピッタリな、闇の側面の話をしよう。

「プロセスエコノミー」という言葉が定着してしばらく経つが、概念だけが独り歩きして、上手くいっている人はあまりいない。はっきり言って、誰も見ないであろう粗悪なコンテンツを作り続けて、開業前の慌ただしい時期にただ時間と体力を浪費しているだけの人が散見される。今日は具体的に、そんな人を見ていきたい。


※以下、プロセスエコノミーで大失敗してる人の具体例を出すので、ここからは有料になる。単品購入(300円)もできるが、定期購読(500円/月)がオススメだ。いつ入っても今月書かれた記事は全部読める。5月は5本更新なので、バラバラに買うより3倍お得。


それでは見ていこう。プロセスエコノミーの潮流の中で溺れ死んでいる、かわいそうな人を……。

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