真鍋淑郎氏のノーベル物理学賞受賞
ご本人も周囲の人も皆驚いていたようだ。ノーベル物理学賞といえば、最近は素粒子分野、宇宙分野および物性系が対象という印象があったからである(蛇足乍ら物性は化学と分けづらい処がある)。
日本人にとって余計意外なのは、日本の教育(就中高校物理)において、気象・気候関係及び海洋は物理学としては扱わず、地学又は地理の対象だからであろう。しかし乍らよく考えれば地球物理学という分野がある。例えば仮に地震予知が汎用的に精度高く予想可能な理論を組み立てることができれば、ノーベル物理学賞の受賞対象になってもおかしくはない。
ともあれ、気候変動・地球温暖化が世界的な問題となっていることも、今回の受賞対象になった背景の一つだと思う。
さて、学問で国籍の議論は無用とは言え、また、日本人の誇りではあるものの、真鍋さんはあくまでUSA国籍としての受賞である。世界の物理学者から天才と呼ばれる南部陽一郎と同様、日本人のノーベル受賞者のリストには載らない(日本出身のノーベル賞受賞者としては載る)。
真鍋さんが会見で日本の大学の研究態勢に課題があるという話をされていた。また、最近の新聞道で「世界の研究論文における引用数で、日本の大学のそれの順位が相当下がっており研究能力低下が懸念される」という記事もあった。更には日本の高校から直接、英国、米国の大学に直接行く人が増えている。教育と安全保証を繋げるのはよくないことかも知れないが、経済安全保証の観点からも日本の研究態勢・研究への投資の見直しが必要ではないだろうか。
ところで、
経済学は正式にはノーベル賞ではないようだが、物理学、化学、生理学・医学、文学、平和はノーベルの遺言だから仕方ないとは言え、①平和賞はこれまでいい加減な人が少なからず選ばれているので無しでいい、②文学賞も基準が曖昧なので無しでもいいのではないか、と思っている人が多いのでは?
蛇足:
ノーベル文学賞をとった 私の好きな作家、カズオイシグロは、日本人のノーベル賞受賞者として入らないのは当然として、日本出身のノーベル賞受賞者と敢えて言わなくてもいいと思っている。
『The Remains of the Day』は英国人(=イングランド人)より英国らしいもの。イシグロは英国人。
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