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半側空間無視

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半側空間無視の概要、神経機構、評価、リハビリテーションおよび神経機構から考える半側空間無視の評価とリハビリテーションを急性期、回復期、生活期に分けて私の見解を説明しています。
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記事一覧

半側空間無視の概要

半側空間無視は注意障害の一種であると言われており、日常生活にさまざまな支障をきたす疾患です。 ここでは半側空間無視の概要について説明していきます。 半側空間無視の説明をする前に注意機能について簡単にまとめます。 注意の種類 注意は、持続的注意、選択的注意、分配的注意、転換的注意の4つに分類されます。 持続的注意は、言葉通りある物事に対して一定期間注意を持続することを言います。 選択的注意は、さまざまな感覚情報の中から自らが選択して注意を向けることを言います。この選択的注意の

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半側空間無視の神経機構

2つの注意経路 注意経路には主に背側注意経路と腹側注意経路の2つの経路が存在します1)(図1)。 背側注意経路は頭頂間溝や上頭頂小葉の頭頂葉領域から前頭眼野の前頭葉領域を繋ぐ経路です。この経路は解剖学的に上縦束で繋がっています。上縦束は3つの線維束から構成されており、上縦束Ⅰは主に運動制御、上縦束ⅡおよびⅢが注意に関与しており、上縦束Ⅱが背側注意経路を構成していると報告されています2)。機能は、トップダウン的注意や選択的注意、持続的注意に関係していると報告されています1)。

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半側空間無視の評価

一般的な机上評価 半側空間無視を評価するために最も一般的に用いられている机上の評価はbehavioral Inattention Test (BIT) 1)です。BITは通常検査と行動検査があります。通常検査は線分抹消試験、文字抹消試験、模写試験、線分二等分試験などが含まれます。また、行動検査は写真課題や電話課題、時計課題など日常生活場面を模した検査が可能です。 このBITは机上で容易に検査ができる一方で、机上検査では点数が良くても実際の日常生活場面になると机上検査の点数より

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半側空間無視のリハビリテーション

半側空間無視のリハビリテーションは主にトップダウン的アプローチとボトムアップ的アプローチに分けられます。 トップダウン的アプローチ トップダウン的アプローチは被験者自ら意図的に注意を誘導する方法です。 高いレベルの認知処理に作用することにより,知覚および行動を改善することを目的としています。 しかし、重度の無視を呈している場合は,適応が難しい場合があります。 ボトムアップ的アプローチ ボトムアップ的アプローチは感覚刺激や感覚-運動関連にアプローチすることで感覚運動レベルに

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神経機構から考える半側空間無視の評価とリハビリテーション

「半側空間無視のリハビリテーション」の記事でこれまで報告されてきた既存のアプローチについて説明しました。 しかし、最も効果的であると報告されているプリズム適応や経頭蓋磁器刺激は一時的には改善するが長期間の効果はありません。また、プリズム眼鏡や経頭蓋磁器刺激はどこの病院でもあるわけではなく、また経頭蓋磁器刺激は医師の監視が必要になってきます。 そのため、既存の方法で半側空間無視へアプローチができる環境が整った病院や施設は少ないと感じます。 また、「半側空間無視の神経機構」の記事

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