自分から記述へ。この人化。
一人称を「この人」にして、自分から記述へと変化させる。この人化させていく。
この人はお粥を食べている。お粥に醤油をかけると卵かけご飯と同じ味がする。この人は普段から物をあまり噛まずに食べるから、そういうことがよくある。
この人は天気を確認するのに、窓よりアプリを確かめる。だから今日の小雨を知らない。
自分が記述になっていくとまず自分の背中が見えて、右上に番組名のテロップが入る。自分自身と一拍置かれると、霜焼けあがりの足指も蒸れた股間もパラフィン紙に包まれたように感じる。
この人のこの試みは目的がない。
この人の視点は、この人を飛び越えていく。そして、この人の正体は逃れられなさだと気づく。
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