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我上位なり

昇段審査って、色んな剣風の人が受けていますよね。
特に六段審査は万国博覧会状態ではないかと。

五段までは各都道府県での審査となるので、同じレベルとは思えません。
七段審査になると、さすがに皆さん六段審査をパスされてきた猛者ばかりなのでそんなにクセの強い人は・・・
たまにいらっしゃいますけど。(笑)

また、六段以上の審査では海外からの受審者もいらっしゃいます。
やはり剣風は日本とは違いますよね。
パワーに頼った剣道をされる方が多いようなイメージです。

昇段審査で合格するには、そんな色んな剣風の人と立ち合って、自分の良いところを審査員に見てもらわなければなりません。

今日は、そんな時におすすめの稽古を紹介しましょう。
ズバリ、格下(下手)との稽古です。
格下というと、ちょっとイメージが悪いのですが、今回だけ便宜上使わせてください。
格下というより、自分よりも段位が下の人だと思っていただければ幸いです。

今日の内容は、もしかすると賛否両論あるかもしれません。
しかし、色んなタイプに対応するという意味では重要なポイントだと考えます。あなたも少しだけ稽古の時に意識してみてください。

先生との稽古では上手く打てるのに

自分より段位が上の人に懸かる稽古が重要なことは承知しています。
少しでも強い先生に懸かりたい。
あなたもそう思われているでしょう。

一矢報いたいと思っているかもしれませんし、教えを乞いたいと思っているかもしれません。
多くの方がそんな感じではないかと思います。

そして、上手い先生に懸かっているときは有効打突にならないまでも自分の中では良い打ちが出たりするものです。
先生から褒められると、数日間は気分よく過ごせるかもしれません。

あなたも、そのような経験があるのではないでしょうか。

しかし、段位が上の先生との稽古では奇麗に打てているのに、自分と同じくらいの実力の人やそれよりも格下の相手との稽古では上手くいかない。
そんな人も多いようです。

先日は、名古屋の審査前ということで、立ち合い稽古をしました。
全員の立ち合いをビデオに撮影し、後から何度も見直して気が付いたことがあります。
それは、打った後に相手と衝突することがほとんどないということでした。
お互いに上手く体をさばいてすり抜けていく感じです。

しかし後日、同じ人が稽古している動画を見てびっくり。
相手の方は、少しだけ段位の低い方でした。
どうやら、格下相手との稽古だとガチャガチャになってしまうようです。

「あれ???」

という感じでした。

結果として、打突部位を捉えていても、次の攻めにつながりません。
きっと、これって昇段審査でも似たような感じになってしまうのでは?
だって、昇段審査で当たる人って、なぜかクセの強い人が多いイメージですよね・・・

格下の人を使う稽古も大切

実は、ぼくが七段で不合格になった時、後輩T君から
「格下の相手と稽古した方が良いですよ」
とアドバイスを貰ったことがあります。

後輩T君は37歳で七段に合格しました。
しかし、彼は六段審査で一度失敗しています。
失敗した時は格上の先生に懸かる稽古ばかりをしていたそうです。

不合格となり、稽古方法を考え直したとのことでした。
そして、格下の人との稽古に取り組んだというのです。

ぼく自身は普段から小中学生と稽古することも多かったのですが、そういう意識で考えたことがありませんでした。

審査の立ち合いは同じ段位の人同士で行ないます。
しかし、同じ段位だからと言って、同じようにやってしまってはいけません。
絶対ダメというわけではありませんが、それだと大勢の中の一人という印象です。

やはり、集団から一つ抜け出ることが必要でしょう。
したがって、

相手の人よりは明らかに上ですよ!

というアピールができればより良いということになります。
あなたは、「そんな偉そうにはできないよ」と思っているかもしれません。
しかし、合格するには、他の人よりもワンランク上でなければならないのです。
審査とはそういうもの。

審査では相手に懸かるような稽古では合格できないと言われます。
つまり「さぁ、いらっしゃい」というゆとりが必要。

そのための稽古が、格下の人との稽古です。
格上の人に懸かる稽古も必要かもしれません。
しかし、同じように格下の人を使う稽古も必要です。

格下の人との稽古はどうする?

実は、ぼく自身も格下の人との稽古は得意ではありませんでした。
中高生には打たれるし、どうすれば良いのだろうかと。
打たれると悔しいので、がんばって打ち返そうとしたり・・・
そうなるともう、悪循環ですl

そこで、ぼく自身が格下の人との稽古で意識している点を紹介します。

  • 先を取る

  • 攻めて相手を動かす

  • 簡単に打たせない

  • 相手の起こりと応じ技を打つ

  • 打ったら打ち切る(打ち抜ける)

  • 先に攻めていれば打たれても気にしない

こんなところでしょうか。文字にすると意外と多い気もしますが、全て基本稽古でやっていることです。それを実際に使っているだけ。

自分より段位が上の先生相手にはなかなかできないかもしれませんが、格下の人が相手ならできて当然ではないでしょうか。

中でも重視しているのは、打つことよりも攻めること。
そして、打ち切る。
打った後には、なるべく相手と衝突しないようにしています。

横に逃げていると言われることもあるので、できるだけ横に行かないように最小限で体を捌くようなつもりで。

中高生になってくると、打突が速くなってきます。
したがって、攻め勝っていても打たれるかもしれません。
でも、まあ、気にしない。
気にしないように、、、しています。(笑)

基本的に、ぼくは小学生相手でもそんなに簡単には打たせません。
それが良いのか悪いのかはわかりませんが、ぼく自身が高段者の先生に懸かるときにわざと開けて打たされるのがイヤだからというだけなのですが。

ですから、打たせるときはワザと感を出さないようにしています。
もしくは、打たせるときは懸かり稽古か打ち込み。
その他はほぼ互角(に見えるように)稽古です。

そして、なるべく、美しく・・・

美しさも重要

こう見えて、ぼくは剣道の美しさを追求しているのですが・・・
なかなか美しい剣道にはなれません。
それでも、「基本が奇麗ですね」と言われることは多いです。

あと、最近は立ち姿も良くなった気がします。
丸太効果ですね。

実は先日、【 剣道審査員の目 】の第3巻を購入しました。
前々から買おうとは思っていたのですが、なかなか買えずにいたのですが、とうとう買っちゃいました。

やはり興味深い内容ばかりです。
というか、興味深い内容しか書かれていません。

中でも、藤井稔範士が書かれている内容は今日のテーマにピッタリです。
藤井稔範士は、「自分の立合を絵にしなければなりません。」と書かれています。気を付けるべきこととして、次の6つの項目を挙げられていました。

・無駄打ちをせず、溜め、打突の機会を重視すること
・無駄打ちをせず、溜め、打突の機会を重視すること
・蹲踞して立ったら「さあ、どこからでもこい」の気持ちを心がけること
・”なせばなる、なさねばならぬ”の気持ちに徹すること
・無心に徹すること</li><li>いかなる場合も油断をしない
・剣道は美の追求であること

剣道審査員の目3

特に『美の追求』です。
ここに納得してしまいました。
全てはこの一言に集約されているのではないでしょうか。

あなたも、ぜひ美の追求を!

我、上位なり

結論としては「我、上位なり」の気持ちで臨むべき。
偉そうにしろとか、そういうことではありません。
いや、そういうことかも・・・

一度だけ、六段審査の午後の部を見学したことがありました。
ぼくが六段に合格した時です。
あの時は六段の合格率が19%とかだったと記憶しています。
先日の七段審査くらいの合格率でしょうか。

恐らく、午後の部の合格者は少なかったのだと思われます。
失礼ですが、見ていて
「あのレベルで五段なの?」
という人も多かったのが事実です。

今回の内容に照らして改めて考えてみると・・・

そういうレベルの低い人は極一部なのかもしれません。
しかし、その一部の人に引っ張られ、同じレベルの立合いをしてしまう。
そういう人が多いのではないでしょうか。

つまり、そういう一部の人に引っ張られないようにするだけで合格の可能性はグンと上がります。

剣道関係の色んな書籍に書かれている通り、

 我、上位なり

という気持ちで立合いに臨めば問題ないでしょう。
その為には、小中学生や下の段位の方とも積極的に稽古して上手く立ち振る舞うことができるようにすべきです。

小中学生には簡単に打たせるような引き立て稽古をされる方も多いと思います。
しかし、小中学生に効果のある攻めの研究は意外と難しいものです。

単純に打突速度で勝つのではありません。
重要なことは、攻めて相手を動かす。
そして、美しく!!


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