選択肢は少なくても良い?
バイキングや焼肉の食べ放題へ行くと、必ず食べる料理がカレーです。
家族からは「なんでカレー?」「またカレー?」と言われますが、それでも食べます。特に肉屋さんのカレーは美味しいのでおすすめです。
理由は違えど、似たような人を発見しました。小説の中の話ですが。
『ガラスの海を渡る舟』は「特別」に憧れる妹と「普通」がわからない兄が紡ぐ物語です。
主人公は恐らく軽い知的障害があり、曖昧な表現がわかりません。多くの人が簡単に理解できることも、わかりやすく伝えなければ理解できないことがあります。たとえば、「ノリで」とか「いい感じに」などの表現は伝わらないため、具体的な数値で表さなければなりません。
主人公は家での食事は、毎日同じものを食べていました。選択肢を減らすためです。外でカレーライスを食べるのも「カレーはどこの店に入っても大概あるから」との理由だそう。
私はこれまで、選択肢は多い方が良いと思っていました。勉強にしろ、剣道にしろ、仕事にしろ、選択肢が多い方が有利に違いない……と。しかし、必ずしも選択肢が多い方が正解とは限らないようです。
目指せ!スティーブ・ジョブズ
多くの成功者が毎日同じような服を着るというのは有名な話です。もっとも知られているのは、Apple創設者のスティーブ・ジョブズではないでしょうか。
スティーブ・ジョブズといえば、黒のタートルネックにジーンズがトレードマークのようになっていました。もちろん、制服ではありません。
では、なぜ同じ服を着ているのか。それは、決断の数を減らし、重要な決断に費やすエネルギーを節約するためです。
一説には、1日に選択できる回数は決まっているとのこと。その回数を超えると選択疲れとなり、正常な判断ができなくなるといいます。そうなる前に、スティーブ・ジョブズを見習って、選択回数を極力減らすべきでしょう。
そういえば、選択疲れの苦い記憶が蘇ってきました。
とある練成会で休憩なしで3時間くらい審判をさせられた経験があります。しかも、2審制。2人で主審と副審を交替でこなしましたが、途中から何が起こっているのかわからなくなってきました。有効打突の見極めだけでなく、1本目なのか2本目なのか。時間が来ても、引き分けなのか1本勝ちなのか。完全に脳がバグった状態だったことをよく覚えています。
恐らく、1日の選択回数を大きく上回っていたのでしょう。
剣道で使う技は少なくても良いのではないか?
私はどうやら周りの人に比べて器用なようです。そして、残念ながら器用貧乏。以前のnoteに書いたように、剣道の技も突きと逆胴以外はほぼ何でも打てます。でも、器用貧乏なので試合には勝てません。
中でも、応じ技の稽古は、器用さを際立たせます。
何も考えずに出した技が他の人にとっては難しいようです。
「どうやってるの?教えてよ」
などと言われる機会も多々あります。
しかし、目指すのは「舞の海」のような技のデパートではありません。立ち合いで誰も見たことのないような驚きの技を出す必要はまったく無く、究極は基本の面打ちや小手打ちがすべてでしょう。
応じ技を打つとしても、面に対して、小手に対しての各1種類の技があれば事足りると考えます。
「使える技は多い方が良い」「選択肢は多い方が良い」と考える人も多いでしょう。苦手な技を克服したいと、日々稽古に取り組んでいる人も多いかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか。
Simple is beautiful…
学生時代、物理の先生が「Simple is beautiful」と、ことあるごとに言っていました。剣道も物理法則を応用すれば、きっとうまくいきます。剣道は自然の理なのですから。
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