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「根拠のない理論武装」のメリット

人の話をよく聞いて、努力を繰り返すことができる人が、私のまわりには多いようです。

私が史上最高齢でけん玉道六段を取得したり、けん玉ワールドカップで50歳代世界一位になったりしているからかもしれません。
繰り返しの努力を惜しまない人
が多い印象です。

そんな真面目な人。努力を繰り返しできる人にあえて今回は伝えたい。
成功する自信がない時は、練習よりまず自己理論を持とう
というお話です。

努力は結果につながる・・とは限らない

練習で苦手を克服しよう、本番に挑む前にとりあえず練習せねば・・普通そう考えます。
スキルが必要なスポーツの試合、会社でのプレゼン、機械操作、訪問営業、、ありとあらゆる場面で練習をしようと考えます。

スキルの習得にはある程度の努力が必要ですし、繰り返さないといけないスキルがあることもわかります。
でも、繰り返しの努力をはじめるまえに、まずここを確認してください。

・そのスキルは繰り返さないと忘れてしまうこと?
・そのスキルは繰り返しの努力だけで習得できるもの?

真面目な人ほど忘れがちですが、この2点を事前にしっかり確認していないと、人一倍努力をしていても失敗を繰り返すだけで、効率が悪いどころか、その繰り返しは「”本番で失敗するため”の練習」になってしまいます。

How toは挑戦する人によって変わるという事実

けん玉を手にした人の大半は「大皿」という技に挑戦しますが、その技の成功までのHow toを例にしてみます。
公開されている情報をたよりに練習をはじめようと「けん玉」「大皿」「やりかた」というワードで検索すると

①大皿

  1. グリップで、玉を下にたらす

  2. 玉を引き上げる前に、いったん膝を曲げてけん玉を少し下げる

  3. 膝を伸ばしながら、体全体を使って玉をまっすぐ上に引き上げる

  4. 玉をよく見ながら、膝を曲げながら、落ちてくる玉を大皿でキャッチする

と検索結果に出てきます。
おそらくどこかのHow toからの引用で、正しいことが書かれてます。
しかし
あくまで「正しい動作」なだけで、多くの初心者が挑戦するHow toの内容としては、問題点が多すぎます。あまり参考になりません。

例えば「玉を引き上げる前に、いったん膝を曲げてけん玉を少し下げる」と書かれていますが、これは成功確率=再現性を上げるための動作です。
まったくの初心者にこの動作だけを伝えても、意味もわからず膝を曲げることに気がいってしまい、他の大事な要素がおろそかになります。
結論、
・なるべく短時間で
・大皿を成功させるだけ

をまず成功したいのであれば、膝を曲げる必要はありません。

その証拠に、音楽フェス会場でのけん玉体験ブース運営を数年実施していた時の経験では
手だけの動き(条件付き※下記写真参照
のほうが、初心者の大皿成功率は高かったのです。

「上げる動作はこれだけ」と伝えてからトライしてもらいます。

この方法は本に載っていたり、動画で紹介していたりするわけではありません。そのHow toを考え出した時の環境は、本来、音楽を聴きに来ている方々向けで、多くが
・技の習得より即成功を希望している
という条件があったからです。こちらとしても、より早く成功してもらったほうが良いにきまってます。
様々な模索をした結果、1分で大皿に乗せる方法を伝授するなら

1、皿グリップで、玉を下にたらす
2、グリップしている剣を胸元からゆっくり下げる
3、手の大きさ位の小さなストロークで力強く素早く引き上げる
4、玉の落下地点を想像して、脱力しながら大皿を下方に添える
(「キャッチ」は伝えない。手にチカラが入り、玉がこぼれる原因になる)

という感じでしょうか。

つまり、環境や人によって、How toは全く違うのです。

How toを自分でつくる感覚

けん玉の初歩である「大皿」でも条件によってこんなに違うのですから、難しい技や他のスポーツ、スキル全般を身につけるためのHow toは、人によって全く変わってくると言っていいでしょう。
だから、前述したようにまずは自分という条件を踏まえて、自分用にHow toをカスタマイズすることが必須なのです。つまり
自分の練習のしかた=努力説明書
を作るわけです。
けん玉の場合は、技ごと・動作ごとに必要でしょう。ここで必要になってくるのが
根拠のない理論武装
です。
本にも書いてない、勉強もしてない。けど、こうなるはず。こうに違いないという仮定が必ず必要で、けん玉の場合はそれの試行錯誤も楽しさのひとつです。

そして、それを踏まえてトライすることが、上達への近道なのです。
けん玉に限った話ではありません。経験則をこじつけでも理論化して身につける。間違ってるとわかったら潔く修正してブラッシュアップする。そして可能ならそれを人に伝えて試してもらう。
・再現性があれば根拠になる
・トライに失敗しても理論の実践確認だけになるから時短になる
・完全再現を繰り返しても成功しないなら理論の間違いが確認できる
と、効率的なトライアンドエラーのためにも「根拠のない自己理論」は必要なわけです。
一見、「いいかげん」に見えるかもしれませんが、再現性があればいいのですし、人に迷惑をかけない範囲であれば憶測が大事なこともあります。

根拠のない理論武装のデメリット

ある程度の経験則が必要なことと、言語化能力も必要です。
それと人に伝えた時、あまりにも的外れで指摘を受けた場合は恥をかく。
でもそのくらいでしょう。
でもむしろ、理論武装がない、自信がない状態で挑戦を繰り返すデメリットのほうが、非常に大きいはずです。
時間を浪費し、失敗が身につき、モチベーションが下がり続けます。

現代の大人の時間を有効に活用するためにも、自分の「努力説明書」を更新すべく「根拠のない理論武装」をどんどん拡張していきましょう。


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