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県庁通りに想いを馳せる ~第一期リニューアル工事完成、至った先はスタート地点?

普段、何気に歩いている道。あまりにも日常に溶け込み過ぎていて
道へ想いを馳せる?」など、考えたことはありませんでした。

道はどこにでもあります。
でも、「道があることは当たり前なのか?」と、改めて考え、世界を上から覗き込んでみると、道がある(しかもきれいに舗装されている!)ことは、それだけでも実は、十分に幸せなことなのだろうと、想像するのです。

話が、少し遠くへ行ってしまいましたが、「県庁通り」は丁寧に時間をかけて作られました。大きく変わったところは、車道を二車線から一車線へ減らし、歩道を広げたところです。これまで、車が中心であった通りから、人が安心・安全に歩け、まち歩きを楽しめる、人が中心となる通りに生まれ変わりました
2021年春に第一期工事が完成しましたが、長い時間がかかった分、人がかかわった分だけ想いがあることを知りました。

と、いうことで、私自身も過去の資料とにらめっこし、担当された方にインタビューしながら、学びながら書きまとめ、「県庁通り」という一つの通りに注がれた想いを、みなさんにお伝えできればと思います。


愛着を持ってもらえる「県庁通り」へ

そもそも道のデザインはどのように決まるのだろう?
私にはまず、そこからでした。

本来?通常?という、言い方が正しいのかも分かりませんが、現場の状況や求められる役割などを考慮しながら、行政や設計会社がより細かい耐久性、安全性、予算を踏まえて決めているみたいです。今回の県庁通りはそこに「まちの人たちの声」も入っています。

素人的な視点では、歩いている道をみても代り映えしないようにも思えていました。でも、人が関わっていることですから、素人には拾うことのできない、ステキなポイントがあるのかな…と、今回まとめていく中で、少し私の考え方も変わっています。

さて、県庁通りについてです。
県庁通りには4つのデザイン方針がありました。
安心・安全
賑わいを創出できる空間
都会的なイメージ
沿道の店舗や活動する人が主役となれる」です。

最初の「安心・安全」はもちろんですが、県庁通り特有のデザインポイントは後の3つにあります。これらは、地域の方や沿道事業者の声をデザイン案に落としたもの。ここが他と大きく異なるところかもしれません。

県庁通りをリニューアルするため、社会実験・講演会・ワークショップを重ねました。そこで地域の声を聞いて、アイディアとして組み込むことで、多くの人に愛される「県庁通り」を目指しました。詳細は後日、別記事でご紹介します。


s公開会議Vol.1②

少しでも多くの方に関心を持っていただくために、閉鎖的な会議室ではなく、県庁通り沿いの駐車場を借りての、公開会議を開きました。道行く人が立ち止まってくれたことが印象的でした。


地域からの声を少し書くと
「賑わいを創出できる空間」
とはイベントではなく“日常的に活用”できる要素が欲しいということ
「都会的なイメージ」
とは、県庁通りは昔から「岡山で最初に〇〇ができた」「アパレルのお店が多かった」など、岡山の情報発信をする最先端だったからという意見でした。

また、地域からの声に対して、日常的に賑わいを創出できる仕掛けとして、オープンカフェ等、歩道の活用ができる仕組みを作りました。
でも、沿道事業者に「歩道をオープンカフェとして使っていいよ」と言っても「どこをどれだけ使っていいの?」と曖昧になります。なので、店舗側から1mの舗装をヘンリーボーンのデザインにすることで、利用できるスペースを明確にする工夫をしました。


s加工1m

ヘリンボーン分かりますか?この模様の部分まで、沿道事業者は活用することができるようになりました。歩道活用についても、後日詳細記事でお伝えします。


なにごとにも余白が大切

過去の資料を読んでいると、“人”への配慮が感じられる部分が多くありました。
特に「シンプルにデザインすることで、人がおもしろく楽しく活用しやすいよう、余白を残している。」と、いうところに共感します。

余白って何事にも大切ですよね。

本を読んでいても「・・・・・」ここにある思いは何?と想像し、料理でもお皿に残す余白は肝です。そして、「県庁通り」にも余白が必要だったのか!と、私には新しい学びです。

そしてこれが「沿道の店舗や活動する人が主役となれる」歩道デザインのイメージになっています。

s加工オープンカフェ

まちにあらわれた1mの余白がオープンカフェを生み出してくれました。


まちには人との出会いが必要

「県庁通りのリニューアル工事で、何が一番大変でしたか?」と、担当者に聞いたところ、「車線を減らし一車線化することだった。」そうです。確かに「車線が減ると車が渋滞するのではないか?」など、車社会である地方都市では反対が起きそうな部分です。でも、「車での移動しか選択肢がないのはどうだろう?」という問題提起も大切なことだったと思います。

車は便利です。目的地までドアtoドアで向かえます。車もいいものですが、でも、歩くことで味わえる楽しみってたくさんありますよね。
まちを歩くことで人と人の出会い、関わりが持てます。そして、出会いや関わりがまちを育て、そのまちで人も育つのだと思います。
親に連れられてまちを歩き始め、成長して友達と歩く。そして、恋人やのちに家族を連れて歩く。
人が成長するように、街も変わります。また、歩いて楽しめるところがまちなのではないでしょうか?ぜひ、みなさんに県庁通りを歩いて、出会いを楽しんでほしいです。

s1車線前

県庁通り、2車線から1車線化したところです。ずいぶん印象が変わりました。

インタビューしていると、楽しい想いが2割、大変だった想いが8割とのお話でした。
でも、お話からは、つくることの楽しさが伝わるのです。人は楽しかったこと嬉しかったことは忘れてしまいやすいですよね。なんか、ちょっと忘れてないですか?苦労の記憶の奥にもっと楽しいがあったんですよね?と、推測をしています。

なぜなら、書き終えた記事を読み返してみると、このnoteここから熱量(思い入れ)を感じる部分が始まるのです。私が単純で感化されやすいのか?聞いた分だけ、私は驚き感動するので、みなさんへ伝えたくなります。そして、結構な長文となってきていますが、まだ現在五合目です!長いかな?この記事まだつづくのです・・・


聞いてみたら想いがいっぱい溢れていた。~道を作るのも熱い!熱いってカッコいい。

これまで夜が暗くて怖いといわれた県庁通りですが、安心して歩いてもらえるように、しっかりと明るさを確保し、さらに優しく温かみのあるオレンジ色っぽい灯かりにしました。

そして、照明柱にもこだわりがあり、設置場所により微妙に配色が違えているというのです。それは照明柱だけではなく、標識柱、車止めなども置く場所により配色を変えています。

配色を変えることは何を意味しているのでしょうか?何のサインかな?想像の余白を持たせているのでしょうか?できれば私も正しい答えが知りたいです。デザインした方に伺いたいです。

s加工柱たち_3133

わかりますか?ビミョーに色がちがうんですよ。よく見てくださいね!


 そして、点字ブロックを配置するにも、様々な色や形の点字ブロックをつくり、県庁通りのデザインに合うものを選びました。現在の色がどのように選ばれたのか、興味深いです。(設置するまで何種類もの点字ブロックのサンプルを作られたそうですよ。)歩かれた際には見てほしいです。どのようなものでも、聞いてみないと、わからないこだわりがあります。

s点字ブロックIMG_3129

少し優しい色の点字ブロックになっています。


まだ、想いは続きます

 植栽のよくあることとして、はじめは良かったけれど、成長したら建物に当たる、バスに当たるようになってしまった時には剪定を行います。この剪定で思うような樹形にならないことがあるようです。

県庁通りの植栽も、小さい木では緑の印象が薄れてしまうため、まちの中でも自然を感じられる大きな木を植えたい。そして風格のある木。考えた結果、たくさん並べるのではなく、一本一本を丁寧に育てられるよう、歩道幅の広い場所にのみ配置しました。
街路樹に選んだのはアヤケヤキという木で、ほうきを逆さにしたような樹形美が特徴です。大きく育ち木陰を作ってくれる日が楽しみです。

加工アヤケヤキ

2021年2月に植えられたアヤケヤキの幼木も少しずつ成長しています。


こだわりの最後なのですが、県庁通りに配置されたベンチを見ていただきたいです。イロコウッドという固い材質で船や海水中の構造物などにも利用されていて、野外に置いても耐久性があります。
ベンチを配置することはただ、休憩してもらいたいのではなく、人の流れをちょっと止めて、おしゃべりや、ゆっくりとお店でテイクアウトしたものを楽しんでいただき、まちの景色にみなさん自身がとけこんでしまえるツールとなれば!とのイメージで選びました。

s加工ベンチ

前を向いて座っていただいても、後ろ向きに座ってもらっても、座りやすい形になっていました。


 子どもの頃、皆さんにもあったかと思いますが、わたしもレゴブロックやシルバニアファミリーが好きで世界を作って遊んでいました。レゴやシルバニアは自分だけの世界ですが、そこから飛び出して、人々の生活に対して提案することや、想いをくみあげ作り上げること、出来たものもそうですが、それまでの過程もすごいことだと思います。


第一期工事が完成して見えてきた世界 そのつづき

 県庁通りは2021年春に第一期リニューアル工事が完成しました。
完成して聞こえてくる声は「夜間暗くて怖かった通りが、明るくなってよかった。」「歩道に設置しているベンチを利用して打ち合わせしてみた。」

 一車線化となり、気づいたこととして、「まちは車で通りすぎるのではなく、歩いてくれた方がいいよね。」という声もありました。まちの醍醐味は楽しく歩くことです。四季を感じ、人・モノ・コトと出会えることだと思います。

また、第2期工事区間に入っている沿道事業者からは、完成した通りを見て「今から利用方法をイメージして楽しみにしている。」などありました。


「実際、一期工事が完成してどんな感想がありますか?」担当者に聞いてみました。
「まちの中の風景が1つ生まれるのはうれしいけれど、この県庁通りミーティング協議会が生まれて、そういった人との繋がりが持てたこと、それも楽しかった。ただ、ここからが県庁通りはスタート。きれいになったとは思うけれど、活用されるようにここから作るものがある。いろんな方に見ていただいて、楽しんでいただけるようにしたいですね。」

と、いうことで、県庁通りという一つの通りが出来るまでをまとめました。

担当者の言葉にあったように、ここからどのように活用されていくのか、大切な(腕の見せ所?)ところです。ですが、この県庁通りミーティング協議会が誕生したことは、「県庁通り」にとっても大切な一歩になっていると思います。
でも、まだようやくスタートしたばかりです。スタート位置についたところでしょうか?

二期工事完成まで、少しずつでも歩みを進めていきます。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。
今後も、“岡山市「県庁通りミーティング協議会」まちづくりnote”より、県庁通りのこれまで、これからを記録していこうと思っています。

更新の際にはfacebook『県庁通りミーティング協議会』にてお知らせをしています。ぜひ、facebookの方もチェックください!よろしくお願いします。

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