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取材Vol.3/「自分にしか提供できない価値をGIVEしたい」取材ライター・落合達也さん

ライターがライターに取材する、ありそうでなかった企画の「見聞図書館」。5月初旬に発足してから、興味を持たれた方にどんどん参画いただいています。

今回の取材では、取材ライターとして活躍中のWebライター・落合達也さんにお話を伺いました。

「正直なところ、Webライターに取材の仕事はなかなか入らない」と語る落合さん。

キュレーション記事を手がけるWebライターから取材ライターへと転身するきっかけ、さまざまな趣味の話を通して落合達也さんの魅力に迫ります。

落合達也さんのプロフィール

落合達也さん

東京生まれ東京育ち。趣味は、クラフトビールを飲むことと散歩、甘いものという落合さん。

大学をご卒業後、会社員として13年以上の経験をお持ちです。一番長く勤めたのは、広告代理店での営業職。広告代理店で任された仕事は、『バイトル』や『タウンワーク』のような求人広告の作成だそう。

大手の広告代理店であれば細分化されているような業務も、一から十まで自分でこなさなければいけなかったのだとか。

「そのおかげで、アポイント、取材、記事作成、デザイン、編集といったさまざまなスキルが身についた」

2018年の春、会社をやめようと思い立ちます。

「文章を書く能力はお金になるのか?」

そうして始めたのが専業Webライターの仕事。現在は、取材ライターとしても活躍され、2020年春からは、企業や個人を紹介するオンライン取材に特化したWebメディア『Shuzap(シュザップ)』の運営にも力を入れています。

Twitter:@lancerman5
Facebook:https://www.facebook.com/Shuzap-105951441045986
YouTube:オンライン取材のShuzap
『Shuzap』ホームページ:https://shuzap.online/


VERTERE(バテレ)のクラフトビールは年中旨い

クラフトビール

──クラフトビールを飲むことがご趣味とのことですが、『春』にぴったりのクラフトビールがあれば教えてください。

夏に飲みたいクラフトビールと聞かれれば、ガツンとパンチの効いたものをお勧めできるけれど、春はふわっとしているので何を飲んでも美味しいです。

なかでも僕のおすすめは、東京の西の果て、奥多摩町にあるVERTERE(バテレ)というブリュワリー(醸造所)が作るクラフトビールです。

東京には、僕が知っているだけでクラフトビールの醸造所が6~7か所あり、それぞれに個性があります。僕はVERTEREが作るクラフトビールが本格的だと思っていて、抜群に好きなんです。

──クラフトビールにハマったきっかけは何だったのでしょうか?

そもそもクラフトビールを好きになったのは、とあるバーでPUNKIPA(パンクアイピーエー)というビールをドラフトで飲んだからです。初めて飲んだとき、すごく衝撃を受けました。

PUNKIPAは、スコットランドにあるブリュードッグという醸造所が作っています。IPA(アイピーエー)という種類のビールで、そのIPAの特徴が強い香りと強い苦みなんです。

僕は、ホップが発酵して作りだす柑橘系の風味にハマってしまい、クラフトビールの虜になりました。

普段ビールを飲まれるんでしたら、まずはPUNKIPAをぜひお試しください。酒屋さんで買えます。


『春』に散歩するなら、早朝の桜

桜_ウェザーニューズ

画像引用元:ウェザーニューズ

──散歩もご趣味だそうですが、『春』におすすめの場所はありますか?

四ツ谷駅から上智大学の横を通って赤坂見附方面へ向かう土手です。遊歩道になっていて、有名なお花見スポットになっているんです。とてもたくさんの桜の木が植わっていて、春には桜並木のトンネルができます。

四ツ谷駅から逆方向の市ヶ谷駅に向かう道も同じように土手になっていて、長い距離で桜を楽しめます。

──素敵な景色が目に浮かぶようです。おすすめの時間帯などはありますか?

お花見スポットには、早朝に行かれるのをおすすめします。空気が新鮮で、さわやか。その中で花びらがフワッと舞っているのが、メルヘンチックでとてもいいんです。朝早い時間の散歩、最高ですよ。

その近くの会社で働いていた時は、わざわざ早い時間の電車に乗って行き、二駅分の桜のトンネルをくぐって出勤していました。

転職で通勤経路が変わってから行かなくなりましたが、春になると、そこに行きたいなと思い出します。


お菓子づくりへのチャレンジは、実験しているようで楽しかった

手作りプリン

──甘いものもお好きだとか。コロナの影響で外出自粛を強いられた『春』でしたが、おうち時間で甘いものを楽しまれましたか?

お菓子作りに挑戦しました。作ったのは、焼き団子、みたらし団子、チーズ団子、チーズケーキ、プリン、牛乳プリンです。

焼き団子を作ろうとして、みたらし団子になるという失敗もありました。ついお砂糖を入れてしまったという単純ミスなんですが。

失敗すると次は失敗しないぞと、もう一度挑戦したくなるんですね。次に作ったものは香ばしく焼けて美味しかったので、さらに挑戦したくなりました。

──お菓子作りって実験のようですよね。

不思議な食感になったときもあるけれど、気に入った歯ごたえになったときは思わずガッツポーズが出たほどでした(笑)

使っていた団子粉が白玉粉と上新粉を混ぜたものだったので、白玉粉と上新粉を買ってきて配合を少しアレンジしたりして楽しんでいました。


学生時代のアルバイトで、貢献することは気持ちイイと知った

──学生時代の思い出で、『春』といえば何を思い浮かべますか?

大学生の時の、新中学2年生と3年生を対象にした塾講師のアルバイトですね。30人~40人ほどの生徒の前で教壇に立っている自分の姿は、今でもはっきりと思い出せます。

でも、ふりかえると講師の仕事は自分で思っていたほどには向いていなかったようです。どちらかというと、家庭教師のほうが性に合っていました。

というのも、ひと通りのアルバイトをして、一番長く続いたのがマンツーマンで教える家庭教師だったからです。向きあって教えることも、教えたことができるようになったと分かることも、ものすごく面白かったですね。

──家庭教師のアルバイトでの経験が、今の落合さんに何か影響を与えていることはありますか?

生徒の成長に貢献できたことでしょうか。達成感が得られましたし、何より光栄でした。それともう一つ、自然にPDCAサイクルを身につけることができたのも良かったですね。

家庭教師として、志望校合格までの計画をたてます。生徒には計画にそって課題に取り組んでもらうんですが、なぜか成績が上がらないことがあったんです。僕からの課題では正解しているのに、テストで似たような問題が出ると正解できなくて。

──それはどうしてだったのでしょうか?

コア部分の理解ができていないのかも知れないと思って、生徒本人が理解できるまで改善を続けました。

なぜだろうと考えて、別のやり方をためし、良くなるまで繰り返すんです。
そして『合格』という結果に結びついた時は、ほんとうに嬉しかった。

貢献することは気持ちイイです。PDCAを回せることは、今でも僕の強みです。


文章をかく能力がお金になるか試してみる

落合達也さん

専業でWebライターを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

会社という組織で働くことをやめたい、と思ったことがきっかけです。学生時代から日本式のチームワークが得意ではなかったんですね。転職はしたことがあったから同じことの繰り返しになると思い、独立を視野に入れて何ができるか考えました。

また、広告代理店で文章をずっと書いてきたので、この文章を書く能力がお金になるかどうか試してみようとも思ったんです。

とにかく3か月は様子をみるつもりで、Webライターの世界に飛び込みました。1文字0.2円や0.3円の案件で生活できるかどうか試してみたんです。2か月目で収入が15万円を超えたとき、これで生活できると判断して、今に至っています。


SEO対策はGoogle先生のためにするんだ、と理解したら面白くねえなと意気消沈した

──Webライターのお仕事は、どのように受注されていったのでしょうか?

クラウドソーシングには、キュレーション記事を書く案件が常にたくさんあるので、応募しまくって書きまくっていました。

そうしているうちに、実績がつく。クラウドソーシングであれば、どんな案件をこなしてきたかも一目瞭然ですし、現在稼働中かどうかも分かります。すると、クライアントからの直接依頼がどんどん来るようになったんです。

ライターを始めてから半年後には、文字単価が2倍以上になり、クラウドソーシング公式からも案件がくるようになりました。このとき、収入は40万円になっていました。

──それはすごいですね。

収入が安定してくると、疑問が湧くようになったんです。

「これ、ずっとやってくの?」

食いっぱぐれない。けれど、Webの情報を一次情報として利用して、二次情報を生成しているだけだよね、と。

誰かの役に立っているのかと考えたら、もちろん、発注者さんや読者さんの役に立っているとは思うんですが、究極のところ、Googleロボット向けに書いていると理解してしまった。

レギュレーションがガチガチに決まっている記事は、誰が書いても同じじゃないか? 自分じゃなきゃ提供できない価値は何かな、と考え始めたんです。そんな時、初めての取材案件が僕のところに飛び込んできました。


手を挙げたのきっかけでWebライターから取材ライターへ

──それまで取材案件を手がけたことはなかったのですか?

ライターとしては、ありません。営業マン時代にクライアントとの打ち合わせから記事を作っていた経験があったため、これは対応できるなと思って。「取材できます」と引き受けました。

そうしているうちに、求人関係の媒体からブログ記事や経営者インタビュー記事の依頼がきて。さらには、セミナー取材の依頼も来るようになりました。

取材の依頼が増えてきて、仕事を請けるスタイルや組み立て方が一気に変わったんです。非常に大きな転機になりました。

正直なところ、Webライターさんに取材の仕事はなかなか入らないと思っています。もともと出版関係だったとか、編集プロダクション出身とか、業界出身者が取材のカテゴリーを占めている感じがします。

だから、僕は運がよかったなと思うんです。


現地へ行かなくても取材はできる

──取材の案件を重ねられてみて、何か感じたことはありましたか?

最初、取材って現地に行くものだと思っていたんです。でも、北海道の会社からWebでの取材を依頼されて、そういう方法があるんだと気づきました。

工場の様子やお店の人の動きを見るなら、現地に行く必要があるでしょう。料理をしているところなどは、実際に見たほうがいいですから。でも、特定の人物へのインタビューを記事にするなら、Webで大丈夫だと思います。

例えば、新入社員へのインタビューなら、現地で上司が同席するよりも、Webで個人的に話したほうが本音を聞けるわけじゃないですか。

──そうですね。では、落合さんはWebで取材をされるようになっていったのでしょうか?

今年の3月までは現地取材の仕事をしていたんですが、日に日にコロナのニュースが大きくなり、現地に行けないなと考えるようになりました。

周りの取材ライターさんに聞くと、仕事がなくなった、延期になった、という話しばかりに。実際に、僕も取材の案件がなくなりました。

そんな状況の中だけど、僕は「それでも取材はできるよね」と強く感じていて、この状況をチャンスだと捉えることにしました。


文章の力をWebで生かせる方法を考えて考えた末に

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──それで思いつかれたのが、オンライン取材サービスの『Shuzap(シュザップ)』ですか?

そうです。直契約のライターなら、もしくは僕自身が法人なら、取材の仕事はいつでもできると気づいたんです。コロナを理由に記事のアップを止める必要もありません。むしろ、外出自粛の影響でWebの閲覧率は上がっているんですから。

同時に、読み物として面白いものを書きたいという思いも強くなってきました。文章の力をWebで生かせる方法は何だろうと考えたとき、読み物として面白いことが必要だと思ったからです。

──落合さんが考える『面白い読み物』とは、どんなものでしょうか?

やはり一次情報ですね。情報源から聞いたものをコンテンツにした記事のほうが面白い。SEOを高めるためだけの文章では、一次情報の魅力を提供できないと感じています。

情報源から聞く手段としてのWeb取材、つまりオンライン取材をサービスにし、パッケージ化して提供したらニーズがあるかも知れない。そう思って、『Shuzap』のサービスを始めました。


Webメディアを運用する人になるために

──『Shuzap』を始められてから、ご自身の中で何か変化はありましたか?

ありましたね。『Shuzap』を広めたくて、今年の春にYouTubeチャンネルを開設したのですが、開設したら自分に足りないものが分かってきました。ブランディングだったり、コンテンツに発信力がないと説得力がないといったことだったり。

ライターは外注なんです。何かあったら、真っ先に切られる可能性が高い。だから、ランサーズやクラウドワークスから仕事をもらうのではなく、直接の仕事を得るために顔を出していくと決めました。

メディアを運用するために使えるコンテンツは、画像も動画もあるんです。そしてSNSも。そうしたWebに関することを全て経験したい。これからも、メディアを作り上げるうえで必要なことを全て手がけたいと思っています。


【取材後記】

たくさんのお話を聞かせていただく中で感じたのは、これまでの努力を糧にされている方だということ。それだけでなく、面白い記事を書くことで人と社会へ貢献されたいと考えており、それをWebメディア運営で実現する行動力もお持ちでした。

いろんなコンテンツを手がけるために、しっかりとPDCAサイクルを回して、ご自身にできることを貪欲に突き詰めていく姿に、私自身学ぶことも多かったです。

特に印象に残っているのは、取材ライターの落合さんに取材して、反対に、私が取材のノウハウを教えてもらったこと(笑)

取材やインタビューでよく言われるのは、インタビュイーの情報をたくさん仕入れること。ですが、情報を仕入れすぎると、思い込みが先走る可能性があるそうです。

取材やインタビューでもっとも大切なのは、インタビュイーに興味をもつことだと、落合さんから教わりました。フラットな気持ちで、興味をもって、話を受けとめるといいですよ、と。

たくさんお話を聞かせてくださって、ありがとうございました。とても勉強になりました。


取材者プロフィール

大杉おれんじさん

大杉おれんじ

大阪生まれ大阪育ちの54歳(取材当時)。夫が心不全で働けなくなったため、本業の給料だけでは不安になり、2018年春に副業でWebライターを開始。現在は、本業が忙しく、ライターは休憩中。

将来的には自分のメディアを作り、そこでインタビュー記事を載せたいと考えている。改めて、落合達也さんと、館長の浜田みかさん、副館長の本田もみじさんに感謝申し上げる。

Twitter:@4150orange2017

<過去執筆記事>
別居中の夫の電話がきっかけで、51歳で副業ライターになった話(ベストライターズCafe)
【2018風疹が大流行】医療ライターがワクチン未接種世代の男性に知ってほしいこと(ベストライターズCafe)
「梅田の献血ルーム」は、景色が最高と聞いたので15年ぶりの献血に行ってみた!(大阪キタじゃーなる)

(本文中の画像:落合達也さまよりご提供)

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