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”魚谷のらしさ”がもたらしたラストシーン


「ツモ」




オーラスハネツモ条件の萩原は、
その赤5pを力強く卓に叩きつけた。

裏1で条件クリア。その瞬間、視聴者全員が息を飲んだことだろう。

裏が乗ればトップ・・・・・・。

しかし、祈るようにめくったその牌は

「20004000」
トップになることは叶わなかった。

そのあとだった。

雷電のチームは決して良いとは言えない状況で萩原も当然悔しいはずだ。

しかし何故か萩原は魚谷の方を見て笑っていた。

『乗らなかったよ、トップおめでとう』

そんな祝福の笑顔に見えた。

たった一つの牌で勝負が決まってしまうこのゲーム。
萩原はそれを誰よりも”卓を囲んだ仲間”と楽しんでいたのだ。

トップが決まり、安堵して笑みがこぼれる魚谷。

今季一番の印象的なシーンの一つだったと言ってもいいだろう。


しかし、


この印象的なシーンを作ったのは果たして”その裏ドラだけ”だったのだろうか?


違う。

南4局までの魚谷の技術が積み重なった結果、
裏1で決まるそのドラマは生まれたのではないか。


試合後のインタビューで萩原聖人は振り返る。

「魚谷さんに放銃した7sが痛かった」と

東3局、ドラ4の勝負手でリーチした萩原は、

ツモリ四暗刻をテンパイしていた魚谷にめくりあいで負け、
12000を放銃した。

もちろんめくりあいには技術なんて存在しない。


しかし、このツモリ四暗刻テンパイを組むまでの過程には確かに魚谷オリジナル、つまり技術が存在していた。

私はこの局の魚谷オリジナルが大きかったからこそ、
あの印象的なラストシーンは生まれたと考えている。


では記事の趣旨であるこの局の魚谷オリジナルを振り返っていきたい。
自分も同じツモリ四暗刻テンパイになっていたかどうか、
考えてもらいながら読み進めてもらえると嬉しい。

東3局、本当にツモリ四暗刻になるんかいといった気持ちの配牌。魚谷はここから1pを切り出した。全然オリジナル感はない。いたって普通。

2巡目、役牌の東が重なったが、魚谷は下家の空中に浮いている東を鳴くだろうか?
形もそこそこいいので鳴いたらアガリ率は高まるため、
鳴く人、鳴かない人がいると思う。

ただMリーガーは8割ぐらいはスルーだろう。
なぜなら空中に浮いてるときに鳴くのはマナー違反だからである。

なのでここは魚谷もスルー。

ちな当たり前ですが、
ここで鳴いた人はツモり四暗刻にはなりません。お疲れさまでした。


1mを引いて何をきるか。
魚谷はここから

打4p。ほとんどの人が字牌を切るのではないか?

現状この手は4トイツ、魚谷はかなり守備的かつトイツ手を意識していることがわかる。
恐らくだがドラがまず全員が使いやすい6p。
それに対して自分はドラなしで東もスルーしている。ここでブクブクにしてしまうと、手の価値ものないのに将来的に東を鳴いて手を進めていくのは難しい選択が迫られてしまうと考えたのではないか。
(ちなみにふわっと価値のない手を進めてマンガン放銃とかは本当によくある)

恐らくAIは北切り推奨。
しかし人間にとって1000点の捌き手は1000点しかリターンがないのに、そのくせ本当にその後の選択・押し引きが難しくなる。
だからこそ、この4p切りはリスクが高い進行を排除して高い手の時だけいこっかな、という選択だ。

ふんわりと字牌を切るのももちろんいいが、
魚谷クラスだとこの局の将来を見据えて自分の得意な進行で4pを切っていることがわかる(多分)。

次巡7sを引いて打3m。チートイに決めていく。

そのあとの7pツモはどうだろうか?

69pのドラ受けが増え、少しだけメンツ手も復活しているように見える。
字牌4枚が安パイだと考えれば、東がアンコになったときはメンツ手の高打点も見えるが、
ここは1mを切るか、それともチートイに絞るか


魚谷は7pツモ切った。理由は同じ、現状手の価値がない。
また6pツモはチートイドラドラの種になるため、裏目ではない。
69sが場に2枚飛んでいることもあってか、
リスクを最小限に抑えるトイツ手に絞っていく。

正直見ているほうからすれば、あんまり気にもしないような選択だったかもしれないが、

東スルー、
4p切り、
7pツモ切り

など、それぞれ強い人でも少し悩む分岐があったように思える。

もし魚谷と全く同じ手順を追わないと、
例えば東をスルーしてメンツ手も見た進行をしていると、
手牌が下記のようになり10巡目で8s切って69s立直みたいになる。

もちろんこれは結果論なので、良いも悪いもないが、

結論としては、このツモリ四暗刻は決して全員がテンパイできるわけではないということだ。

だからこそ、ここには確かに魚谷オリジナルがあり、
それがあのラストシーンの状況を生んだわけだ。


フェニックスが沈んでいる今、
昨今の醍醐・魚谷の2連勝はチーム復活を感じさせてくれる1日だったといえよう。

これからも彼らにしかできないアガリで、
是非チーム復活を引っ張って行ってもらいたい。




とまぁ、なんとなく仕事がやけに暇だったのなんとなくキンマっぽい記事でも書いてみようかなと思って書きましたw

誰かの暇つぶしになったら幸いです。


ではまた👋


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