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台本②

Twitter上での企画である、「#おうちで読もう」へ向けた台本その②になります。こちらも以前自分が書いていた舞台台本である「ヴォン・ヴォヤージュ」と言う作品からの抜粋になります。

設定は死者の魂が転生への列車に乗るホームで語らう男二人の魂が会話をしているシーンです。

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剛三 「悲しい話だ。その『死』と言う概念が今も昔も未来有望な若者に定着してしまっている。」

男 「おっしゃる通りで・・・。」

剛三 「そう思うじゃろ?何故こんなにも簡単に死を選ぶ若者が増えているのかお前さんは考えた事ないか?」

男 「・・・たぶん、死が何よりも魅力的になってきているのではないでしょうか。」

剛三 「死が魅力的・・・?」

男 「はい、誰でも一度は考える事です。『楽になりたい』とね・・・。ですから何もしなくていい、もう何も悩まなくていい『死』と言う楽園の様な
向こう側の世界に憧れてしまうのではないでしょうか。人は窮地に立たされると善悪の判断の感覚が鈍りますからね・・・。」

剛三 「なかなか鋭い指摘じゃな。」

男 「ですが私も彼らの心を全て理解する事はできません。私は彼らではないのですから。ですが、思っている事は皆同じはずです。」

剛三 「なるほどな。だが、どうして人は『生きる』と言う概念に魅力を感じないのだろうね。」

男 「『生きる』事自体が辛いと言う考えの人もいますし、何より人は楽な方へと向かっていきますからね。今の機械化された暮らしもその影響の一つではないかと思います。なにより『人』と言う生き物は身近にあるものほど、その本来の大切さに気づかない種族ですから・・・。」

剛三 「面白いな、実に面白い。」

男 「どうも・・・。」

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