米国株マーケット考察 2021.2.26

マーケットサマリー

米国株式市場は大幅下落。ダウ平均は559.85ドル安の31402.01ドルと5日ぶりの大幅反落、ナスダックは478.54ポイント安の13119.43で3日ぶりの大幅下落で取引を終了しました。ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比9279万株増の13億2956万株。

最新週の新規失業保険申請件数は前週比11万1000件減少の73万件(予想:845,000)と、改善は2週連続で市場予想を下回ったり、追加経済対策や新型コロナワクチンの普及による景気回復への期待が下支えとなったものの、7年債入札の結果が不振で長期金利が急上昇したため、引けにかけて下落幅を拡大しました。

長期金利の指標である10年債利回りは昨日、米国債入札の低調な結果を嫌気して0.2%上昇し一時約1年ぶりに1.6%台を超えました。株式市場は急に配当利回りと債券利回りの接近に嫌気し出しました。これまで低金利を背景に買われてきたハイテク銘柄の割高感が強まった他、金融緩和の長期化観測を背景にダウ平均が前日も史上最高値を更新しており、利益確定の売りに押されやすい状況が続きました。VIX指数は31.16まで上昇し2月初旬来の高水準となりました。

IT・ハイテク株はほぼ全面安となり、グロース株に利益確定売りが強まっているほか、景気循環株にも売りが強まりました。1月と同様、月末になって相場の調整色が強くなった模様です。このレベルでは、まだセクターローテーションを中心にした、健全な調整の範囲内だと思われます。

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用語解説


#新規失業保険申請件数 ー失業者が失業保険給付を始めて申請した件数を集計し、季節調整を加え発表するもの。

本指標は景気の動向に敏感に反応するといわれており、景気先行指数として用いられています。米労働省雇用統計局が毎週集計し、集計期間の翌木曜日に発表。米雇用統計の基準日である12日を含む週の結果は、それ以外の期間よりも注目度が高いです。

#VIX指数 (恐怖指数)ー米シカゴ・オプション取引所(CBOE)が、S&P500種株価指数を対象とするオプション取引のボラティリティ(変動率)を元に算出、公表している指数。英語では別名Volatility Index(略称:VIX)と呼ばれています。

将来の相場に対する投資家心理を反映する指数とされており、一般的にVIXの数値が高いほど投資家の先行き不透明感も強いとされます。 通常は、10から20の間で推移することが多いですが、相場の先行きに大きな不安が生じた時には、この数値が大きく上昇するという傾向があります。

#グロース株 ー企業の売り上げや利益の成長率が高く、その優れた成長性ゆえに株価の上昇が期待できる株式のことで、「成長株」とも呼ばれます。

革新的な商品やサービスを通じて市場シェアを拡大し、増収増益を続けているような企業が多く、一般に投資家の人気が高いという特徴があります。ひところのIT株のように、ほんの数年で株価が数倍~数十倍に上昇するものも珍しくありません。

#景気循環株 ー景気動向によって、業績が大きく変動する銘柄のこと。「景気敏感株」と呼ぶ場合もあります。鉄鋼、化学、紙パルプなどの素材産業や工作機械などの設備投資関連などの銘柄が該当します。

好況時にはモノが売れるため、多くの素材や設備、工場が必要になりますが、不況時には在庫調整で需要が低迷し、生産が落ち込むことなど、景気の波によって受注が大きく左右され、業績に直結する銘柄群のことです。

#セクターローテーション ーこれから儲かりそうな業種の銘柄に投資する対象を切り替えていく投資戦略のことです。

景気循環において、景気が最も悪化している状態にはインフラ関連の銘柄の株価が伸びやすいですが、より景気が改善した際には他のセクターの業種の銘柄の株価は上がりやすい傾向があります。

注意点としてよく挙げられることは、同じセクターの中でも銘柄によって業績や性格が異なるため注意が必要とされています。


立沢賢一とは

元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。
・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi


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