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劇団天PASSION リモートYouTubeLIVE vol.11 詩の朗読

「トイレにアブがいた」

ジョボジョボと小気味良い音が狭い部屋に響いた
いつからだ、我慢していたのは。
コーヒーとクーラーのせいだろう、下腹部に溜まる水分は限界まで膨れ上がっていた。

鼻から息がもれる
体の力が抜け、至福と言うと大袈裟だが、心地良い気分になる
その時、首筋の後ろで、けたたましい音が通り過ぎる。

羽が高速で擦れ合う音
虫だ、どんな!? 小さくないぞ! 
危険な物体ということを〇〇年の人生が教えてくれる
体が反射神経をフル稼働して避けようとしたとき、それを僕の「理性」が制御した。
そう、、、今、俺は用を足しているのだ!

反射のまま身を屈め体をよじれば、下腹部から描かれている放物線は場外へと向かうだろう。
上手く上半身だけひねると、そいつを視野で捉えられた。
その形、大きさ、、、この環境下で生息するそいつは、アブである。

できるだけ早くこの場を離れたい
しかし、放出できる水量は急いだところで変わらない。
あまりに不利な闘いだ。
子供の頃、奴の餌食になった、その痛みの記憶が蘇り、脳内麻薬がかけめぐる。

長期戦を覚悟し、集中力を研ぎ澄ます。
何度か近くを通り過ぎる奴。
下半身と分離した俺が闘う。
そして、ある時、羽音が止んだ。
壁に張り付いているのだ。
よし!…
ちょうどその頃、決壊寸前のダムはほぼ放水を終えようとしていた。

できるだけ空気を乱さないよう、ジッパーの奥へゆっくりしまいこむ。
手を洗い、紙を取った時、またけたたましい音を立てて奴が飛び立つ!
手を拭くか拭かないか、その刹那に全身の運動神経を動員する

ドアを開ける、通る、ドアを閉める。
己の予想以上のスピードと音を立てて、その動作は一瞬で行われた。
……
最後に奴と視線を交わす事はなかった。

緊張感が解ける
席へもどろう
何事もなかったかのように振る舞うのが男の性だ。
二階から一階へ、すれ違うのも難しい狭い階段を降りる
ひと仕事終えたような僕を迎えてくれたのは、怪訝な顔をした店主の姿だった。

https://youtu.be/gqmjntGUoBI
1:49:20〜

前作とは違って、くだらねぇアホな詩にしてみました。
情景を思い浮かべて、クスってしてください笑

今後も書いていこうかなと思います。
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