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UnpRayableギターサポート(2日目:福岡)

2022年6月4日.5日
広島、福岡でのLIVE出演の為に
遠征を行った先輩のバンド「UnpRayable」のギターサポートを担当。
その詳細について記録を残したいと思い、ペンを持つ。


【今回の文章に登場する人物と名称】
メインメンバー
・Nakamura(Vo)→なかむらさん

・JUNYA(Vo)→じゅんやさん
・Shingo(Dr)→しんごさん
サポートメンバー
・T2o(Ba)→てつおさん
・Ken(Gt)→自分


本文↓


朝起きると自分の体はまるで
石像のように重く固くて、
まともに動ける気がしなかった。

そんな中、僕以外の人は当たり前のように
滑らかに動いて支度をしていた。

(最年少が一番老いてる)


いや、多分見せないようにしてるんだ。
大きい背中を見せてくれてるんだ。
そう自分に言い聞かせた。

てつおさんは朝起きて朝食バイキング食べて
大浴場にまで行ってきたらしい。
そのスタミナが欲しい。


迷惑をかけるわけにもいかないので
体と気持ちにムチを打ち、
すぐに支度をして車に乗り込む。

AM 9:30 
福岡に向けて出発。
外は中々激しい雨だった。

この遠征中は少しでも空き時間ができたら、
この文章を書いている。
覚えているうちにメモを
残すようにはしているのだが…

1日目の記事を読んでもらっても
わかるように、自分は朝が致命的に苦手だ

事実、この広島→福岡に向かう
車内の記憶はほとんどない。

曖昧な記憶の中で覚えているのは、
じゅんやさんが60分ぐらいの
間隔でスマホを見ながら
「熱い!」
と叫んでいたことと、
車内でMIYAVIが流れていた事。

雅-MIYAVI-ではなくMIYAVIだ
↑わかる人にはわかる。

懐かしいな。ド世代だ。
自分の最初のギターヒーローだ。


道が混んでいた事もあり、
会場の入り時間ギリギリに到着し、
急いで機材を運びそのままリハーサルへ。

なんか雨だったからかチューニングしても
音が気持ち悪く聴こえて首を傾げてたら
てつおさんが

「雨やからな。俺も俺の知ってるBが出てない。」

って言ってて納得。

天気や湿度で楽器の出音が
変わるのは紛れもない事実である。



本番よりリハーサルの方が
緊張するというバンドマンは意外と多い。

自分は日にもよるが、基本的には
これに該当することが多い。
が、実際にリハーサルが始まってみると、
この日は会場のギターアンプの音が
めちゃめちゃ良くてそれどころではなかった。

いや、さっき雨の関係で音がなぁ〜
とかなんとか言うてましたやん。

いや違うのよ。
いざ歪ませて弾いてみたら
すごく気持ちよかったのよ。
雨でこれ?晴れの時やばない?
ぶっ飛ぶでこんなもん。
持って帰ろうかなって思った。


リハーサルを終えて前日同様
てつおさんに質問するお時間。
今日は10の質問に40ぐらいで返してくれた。

てつおさんは大好きなバイクのレース
の試合の事で頭がいっぱいのようだった。
なんか悪いように言ってるように
聞こえるかもしれないけど、
普通に10の質問が40で
かえってきてるからね?4倍だからね?
CoCo壱の4辛もそこそこ辛いからね?


リハーサル終わりの少しの自由時間。
じゅんやさんとてつおさんと
天ぷらを食べに行きました。

みそ汁が甘かった。

自分は魚介類が食べられない人種です。
主食は肉です。
肉と洋菓子をこよなく愛します。

おそらく魚をメインで
売り出しているであろう天ぷら屋さんで、
恐る恐る

「魚抜きって可能ですか…?」

と聞くと、慣れた口調で
「はいはいはい」
と言われた。

耐えた。


魚を肉に変えてくれた。
とても美味しかった。



その後、ライブハウスに戻ると
しんごさんは体を整えると言って
サウナに向かった。

自分は正直なところ、
お世辞にも体調が良いと
言える状態ではなかったので、
楽屋前で座っていたのだが、
なかむらさんが

「車戻って休んでていいよ」
と言ってくれた。

思えば初日も自分が頭痛だったり
疲れたなーって思ったりしてる時、
なかむらさんが
「つかれた?」とか
「ホテル戻っとく?」とか
決まって声をかけてくれていた。
すごく周りをよくみている人なんだと思う。
中々できることじゃない。

お言葉に甘えて車に戻らせてもらい、
休ませていただきました…。


結果この判断が吉と出たようで、
体調は回復。

楽屋に戻ったらしんごさんがサウナから
戻ってきていた。
おかえりなさいと伝えると

「フワフワしてる。
もう整うとかじゃない。
これは逆。崩れる

と言って一同大爆笑。


和やかな雰囲気だったが
LIVE前になるにつれて
緊張感が増す。

この日のイベントは感染症防止対策で
楽屋使用が時間制になっており、
出番直前まで楽屋を使用しないスタイルを
とっていた。
直前しかギターを触れないというのは
自分にとっては死活問題だ。

不安を取り除こうと言わんばかりに
ギターを弾きまくっているうちに
出番の時間に。


出番直前
全員で円陣を組む時、

直前の円陣。


しんごさんが

「まずはけんくん、今回はありがとう。
最後まで楽しんでな。」

と言った。

正直ここでもう泣きそうだった。

そう、自分はこのLIVEで
普通に泣いている。
サポートなのに、泣いてる。
お客さんからしたら意味がわからない。
理由は後で説明する。


LIVEが始まると、そこには
沢山のお客さんが。
そして、大盛り上がり。

てつおさんに言われた改善点や
意識することを頭に置きつつLIVEを行う。


するとどうだろう。


今まで見えていなかった感覚が見えていた。
文では説明できない、複雑な事だけど
それでいてとてもシンプルな事。
精神論と言われればそこまでだけど、
でも自分の中では明らかに見えたもの。

今までこんなに大事なものを
見ずに演奏してたのかと思った。


そして、その瞬間に楽器を演奏する
しんごさんとてつおさんが神に見えた。


しんごさんはこんなにも細かくて繊細な事を
しているのか。
そしてそれにてつおさんが
完全にアジャストしている。


そりゃ楽しいに決まってる。


俺もそこに行きたい。



必死にやってみた。
とにかく必死だった。


いつも全体の音をよく聴こうと
意識はしているが、さらに聴こう
としたんだと思う。

じゅんやさんとなかむらさんの歌が
すごく鮮明に聴こえた。
そして、テンションもいつも以上に
伝わってきた。

これ本当にすんげぇ気持ちいいの。
楽しいの。
一生やってたい。

結果として自分が
その感覚を持てたのは
持ち時間の中で2.3回程度だったが、
その度にてつおさんが
(できたやん。それそれ。)
って感じの満面の笑顔で
こっちを見てくれた気がした。

体はバキバキ。
昨日より全然体は動かない。
それでもこの空間が楽しくて。
無我夢中で。

この感覚忘れたくないな。
自分のものにしなくちゃ。




そう思った頃には残り2曲だった。


そこで我に帰った。
【終わってしまう】

そう思った瞬間に、
今回の遠征、つまり
ここまで読者が読んでくれた内容が
走馬灯のように頭に流れ込んできて
わああああああとなった。
聞こえる音が急に立体音響になった気がした。


STAND BY MEという楽曲
歌詞とメロディ共に
僕が1番好きな部分

君が守りたい大切なもの
背負って僕はまた走り出す
あの日の涙が未来へと繋ぐよ



つまり俺的【エモい】部分を演奏した時、
自然と泣いていた。
そして一緒に熱唱していた。
これまで歌ってみたことも
歌詞カードを見たこともない。
でも歌えた。
俺歌詞覚えるのすごい苦手なのに…。
(それは今は別にいい)


この瞬間の自分は多分
演者というよりリスナーだったと思う。

同じステージで歌う歌と歌詞が
自分に刺さっていた。

これだから音楽は生で聴くべきだと
言う人が絶えないんだと思った。
身をもって体験した。
その現場でしか感じれない空気は
確かにある。


噛み締めるように
最後までやりきって出番終了。
正直最後の2曲は泣かないように
しなきゃとかちゃんとしなきゃって
雑念だらけだったし、
手も足もぶるぶる震えて、
本当に情けなかったけど、
不思議と満足感と達成感に包まれていた。
いやよくないけど。


LIVEが終わって放心状態が続いて
ほとんど直後は何もできなかった。
だからもうここからは
ほとんど写真がないです(笑)

そしてほとんど記憶もない。
メモもとってない。
これ音楽界の賢者モードです多分。

唯一覚えている事。


ライブ終わりにみんなで
うどんを食べに行った時、
向かう道中での会話。

うどんでノリノリサポートな2人(撮影:しんごさん)



しんごさん
「福岡はラーメンじゃなくて
わかってる人はうどんを食べるねんで」

てつおさん
「じゃあ知る人ぞ知るって感じですか?」

しんごさん
「いや、みんなこれ言う。みんな言いすぎて
もう知る人ぞ知るじゃなくなってる」

一同大爆笑



うどんは本当に美味しかった。
達成感も最高の薬味に
なっていたかもしれない。

ごぼう天肉うどん。最高だった。



日を跨いだ0時30分
帰りの車が出発。

小室やらレッチリや長渕やらが
流れていた。

今回の2日間の事を
詳細に記したnoteは、ほとんどの
文章を、この帰りの車で書いた。

メモを見直し、写真を見返しながら
消えていく記憶を頼りに。


空が明るくなり始めたところで
頭も体も限界を迎え、
ほぼほぼ気絶に近い形で眠りに入り
起きたら解散場所についていた。

ほとんど記憶はない。
朝は記憶が曖昧だから。



それでも1つだけ
帰り際に言われた言葉だけは
鮮明に覚えている。



-また絶対サポート頼むからな-


今回の遠征で、演者としてもそうだが
人としても成長させてもらった気がする。

自分が本当に楽しかったのは
文章の長さを見れば言うまでもないだろう。



次にご一緒させてもらえる機会があれば
今より成長した姿を見せられるだろうか。
見せられたらいいな。


自分の活動ももっと頑張らなければ。


そんな事を思って文章を書いていたら
もうバンド練習の時間だ。


エナジードリンクを片手に
スタジオに向かった。






いや、遠征の2日間でタバコ吸いすぎて
声でえへんやん。

これでお酒も飲む人なんて
普通に歌えるわけないですやん。
世のバンドマンほんまにタフすぎやろ。
スーパーサイヤ人かよ。



………。



笑いすぎて、声がでない
と言うことにしよう

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