★「著作隣接権」の件で、中川正春議員と面会してきました!
※この記事は2012年6月8日の記事を再掲したものです
★ ここまでのあらすじ
音楽CDの著作隣接権からヒントを得て、出版社にも書籍に関する「著作隣接権」を自動的に与えちゃおう、という動きが各所で本格化していた。
しかし、国内にしか通用しない権利のため海賊版の撃滅には効果が無く、逆に権利者が多くなって「作品の死蔵リスク」が増すという懸念から、作家側から大きな反発を受けたのだった。
そんな中、中川正春 衆議院議員(内閣府特命担当大臣)が座長を務める
『 印刷文化・電子文化の基盤整備に関する勉強会 』
・・では、「著作隣接権」 → 「出版物原版権(仮)」 → 「(仮)出版物に係る権利」 と名称を変更しつつそのパワーをうまく調整して、いよいよ著作権法の改正試案としてまとめつつあった。
ところが、その勉強会に漫画家が一人もいないこと( http://www.mojikatsuji.or.jp/benkyounaka.html )と、そして漫画家に意見を聞かないまま「議員立法」で成立させられようとしている( http://www.shinbunka.co.jp/news2012/05/120530-04.htm )ことから、漫画家側はますます不信感を募らせるばかりであった・・・・。
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【中川勉強会の中の人に会ってきたよ】
里中満智子先生のお誘いで、上記の「中川勉強会」の中の人とお会いしてきました!
場所は衆議院第一議員会館の会議室。開始時間は、昨日(6/7)の15時から。
勉強会側のメンバーは、中川正春議員と事務局の方、そして担当の弁護士さんです。
マンガ家側のメンバーは、里中満智子先生とちばてつや先生と私、そして手塚プロなど漫画関係者の方々。
まず、議論に移る前に、勉強会側の「言い訳」から。(笑)
事務局の方:
「第1~4回の勉強会にマンガ家が一人もいなかったのは、別に呼びたくなかったわけではなくて、こちらとしては呼びたかったんですけど、声をかけそびれたと申しますか・・・。それに、出版社に訊いたら、”う~ん、マンガ家さんにも色々な意見があるから、呼ばれた先生だって困るだろうし、別に呼ばなくていいのでは?” と言われまして。」
・・・いやいやいや、小説家の阿刀田高さんと林真理子さんはちゃんと呼んでるじゃないですか! 小説家には色々な意見が無いのかよ!?(><)
何だか非常に違和感を感じる我々でしたが、この後、割と和やかに議論は行われました。理由は、思ったよりも 「中川勉強会」 が中立公正な立場であることが分かってきたからです。
出席された、井上雄彦先生の奥様曰く、
「どんな戦いがあるのかと思いましたら、あまりにフレンドリーなので拍子抜けいたしました。(^^;)」
【実は、「最新の改正案」は結構骨抜きになっている】
中川大臣は、文科省の副大臣の頃にこの一件を手がけ始め、別の大臣になった今も勉強会の座長をつとめておられます。別に、出版社に言われて勉強会を始めた訳ではなく、何かもらっている訳でもないわけで、とりたてて誰の味方でもないようです。(あえて言えば「文化の味方」?)
そこで今回、アウトラインが決まってきたので、マンガ家さんを呼んで意見を聞く必要があるだろうと考えたとのこと。
で、出版社側も、最初は「権利はもらうし、中には触れるな」みたいな強気な態度だったのですが、勉強会の方々に色々もまれ叩かれているうちに、割と現実的な路線に修整されていったようです。
例えば、最新の「(仮)出版物に係る権利」のQ&Aでは、以下のような問答が出てきます。 http://www.mojikatsuji.or.jp/pdf/nakagawavol3.pdf
Q : 作家が出版社とケンカしたら、どうなるの?
A : 作家側が、それ以降の重版や電子化を止めさせることが出来ます。(作家大勝利)
Q : 他の出版社で再出版するとき、前の出版社の許諾は必要ですか?
A : 原則として必要ありません。(作家大勝利)
Q : 2次創作同人誌はどうなる?
A : 「(仮)出版物に係る権利」との関係で、同人誌が問題になることは原則としてありません。(同人作家大勝利)
・・・って、おいおい。ぶっちゃけ、現在より作家側が有利になっているような?(笑)
実際には、今も上と同じ権利があるにはあるのですが、こうして改めて明文化されると、「この事実を知らなかった作家が、改めて知るようになる」じゃないですか。すると、「今の出版社が気に入らないから、他の出版社に行こうっと!」とかいう作家が増えませんかねコレ?(^^;)
出版社から見ると、完全に「やぶ蛇」のような・・・。
【参加したマンガ家側も、「これで良いならどうぞ・・」と思っている】
実は事前の打ち合わせで、マンガ家側からも 「こんな弱い権利もらっても、出版社は嬉しくないでしょ。かえって苦労が増えそうだよ。」という意見が出ていました。
里中先生も、「現場で拡大解釈されないように、(新人のために)もっとQ&Aを充実させていって欲しい」など、もう通ったかのようなお話。(笑)
出版社としても、これで満足とは到底思わないでしょうが、ずっと欲しかった権利ですし、まずはこれで行きましょう、ということのようですね。(一応、海賊版対策や出版流通の促進には使えますし。)
今まで、出版社には版面権も隣接権も何も無くて、独占出版契約が切れたらもうホントに何の権利も残っていなかったわけで、大きな一歩と言えば大きな一歩です。特に私は、出版社の「新人育成能力」を高く買っており、出版社にも元気になって欲しいと常々思っていたのです。
ただ、気になるのは、「25年」という著作隣接権の長さ。これに関して、「もしかして書籍版JASRAC化を狙っているのではないですか?」と質問してみましたが、勉強会側から(かなり強い口調で)「ありえない」と否定されました。
また、マンガ家の意見を聞かないまま「議員立法」で成立させようとしていた件は、次の第5回勉強会に里中満智子先生が出席されるということで、一応みなさんOKということに。(^^)
・・・じゃあ、大体これで良いのかな?
【ネットでみんなにチェックしてもらおう!】
いやいや、良くない!
今のままでは、
主に密室で検討されてきたため、市民(読者)がよく理解していない。
ここに参加していない作家が、別に納得していない(かもしれない)。
イメージ的に、出版社が悪者っぽい感じになっている。
まあ、そうですよね。要するに、まだ「広報」が全然出来ていないんです。
で、これらを一気に解消する方法を思いつきました。
議員立法として提出する前に、「出版社側」・「マンガ家側」・「中川勉強会の方」が同じテーブルで話し合い、それをニコ生かUSTで生中継して、みんなに見てもらうのです!!(笑)
・・・これなら、市民や他の作家達にも意見を聞くことができ、透明性もアピールできて、ここまでの密室性は払拭されることでしょう。
赤松: 「・・・どうですか?」
事務局の方: 「いいですね! やりましょう!」
担当の弁護士さん: 「私も出ます!」
赤松: 「え、え~っ?!」
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面会は、2時間半で終了。(※中川大臣は、多忙のためやむを得ず50分で退室。)
帰り際に、その場に立ち会っていたお役人のS氏に聞いてみました。
赤松: 「しかし、出版社側が誰も出てこなかった場合は?」
S氏: 「そもそも出版社が出てこないんじゃ、中川先生含め、あそこにいた勉強会の人達も誰も支持しないでしょう。」
なるほど。まあ、何か後ろめたいことがあるってイメージになっちゃいますしね。
司会は、例によって津田さんかな? 急すぎてちょっと無理かも?
・・・事態は、意外な展開を見せた! さあ、どうなる著作隣接権!
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