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ハック思考を読んでみた。

◼️選定理由

①ティール研修の学びを現場でアウトプットするため

上記が選定理由になります。前提条件として5つの柱があり、信頼が担保された上で代替案を出すことが重要にはなってきますが、社内は課題はあれど比較的信頼関係ができている状態。その上でこれから期の変わり目かつ1人ひとりが「大人」として活動していく上で変化が求められることを考えると今まで以上に意見の交換やコミュニケーションが必要になってきます。

そうなってくるとそもそも今までのルールを「Why?」と疑う。そういった場面を増やしていかないといけません。その際にアワードでも紹介されていた本書が有効になると思ったため選定しています。

※また先週読んだ書籍「他力思考」にも重なるところがありますが、1日24時間、1年365日の限られた時間の中で成果を上げていくために、本書で言うところの転換効率を上げ成果へのリバレッジを上げる。他書評サイトで読んだ要点を重要だと感じたことも選定理由の1つになっています。

※前半部分=Hack(ハック)の仕方、後半部分=著者の経験と大別されています。前半のHow to にも触れつつティールの内容に近い後半部分に着目しています。

◼️書籍情報

書籍名:ハック思考 最短最速で世界が変わる方法論

著者名:須藤憲司 (すどう けんじ)
Kaizen Platform Co-founder & CEO。

■時間×お金=成果

著者いわく、我々を取り巻く世界のルールは非常にシンプルに出来ています。仕事も、勉強も、スポーツにおいても皆がかけがえのない人生の時間や時にお金を投じて、何らかの成果を得ようとしています。

世界のルール : 時間 × お金 → 成果

個人だけでなく、法人も同様に、従業員の時間とお金を投じて何らかの成果を得ようとしている点は変わりありません。

そして同じインプットから大きな成果を得られるように転換効率を劇的に高めることを本書では「Hack(ハック)」と呼んでいます。

※上記引用部分の「→」部分、ここの転換効率を上げるイメージです。

最短最速で成果を上げるための考えHack(ハック)について本書でその紹介が下記なされています。

■Hackを活用した著者の実績

創業して3年間でお客様の売上を総計約2億ドル(約240億円/当時のレートで換算)増やしています。

ハック思考で実現したトラックレコード
(会社員時代)
・雑誌の部数が毎年10%落ちている時代に、担当30誌の販売部数を2年連続で昨対30%増
・20万UUくらいのサイトを4ヶ月で500万UUに増やす
・新規事業を立ち上げ、4年間連続で売上2倍成長(2×2×2×2=16倍に)
・営業職でもないのに、大手営業表彰を受賞
・4種類ある全社表彰(大手営業、イノベーション、新規事業、経営論文)を全て獲得
・リクルート史上最年少執行役員に(当時) 
(その後退職し、シリコンバレーで起業)
・退職するとSNSで告知したら、Google、楽天、ヤフー、KDDIをはじめ、様々な企業から勉強会の依頼が殺到
・起業時に30社のVCが出資したいと手を挙げ、3社を選ぶ
・累計で資金調達を34億円以上実施
・JAL、ネスレ、クレディセゾンなど国内外500社の大企業が次々と、事業を成長させるために開発したサービスを導入
・創業から3年で240億の顧客の売上成長を実現
・毎年50以上の経営会議に呼ばれ、アドバイスを求められる

著者いわく、多分にチームや仲間があっての事だから、自分一人の結果ですとは到底言えない、もちろん幸運も偶然もあるが、それらすべてが単なるラッキーだけではないと述べています。

ではどうやって著者が世界をHack(ハック)する方法を見つけたのか?どうやってビジネスをHack(ハック)し、成長をHack(ハック)してきたか?を深堀りしていきます。

■2つのステップ

著者は幼少期漫画が大好きでした。その歴史上の偉人のストーリーに共通していたのは「世界を、世の中の人とは違った目で見つめていて、その支店が正しいと後から世の中の人が気づいた」ということでした。

歴史を学んだ著者が幼いながらに「世界を疑ってみたほうがいい」ということに気づいたのです。そしてその視点を2ステップにまとめています。

①世界を違った角度から見つめ、他人が気づいていない規則性や法則に気づく
②その規則性や法則を構成するシステムの隙間に介入する

上記2つのステップを下記本書内の事例がわかりやすく解説していたので引用します。

事例①

例えば、「エレベーターの待ち時間をどのように最小化するか?」という有名な問題があります。

話の舞台は、ある大きなオフィス・ビル。
そのビルの管理会社は、「ビルに設置されたエレベーターの待ち時間が長い」と借主から多くのクレームを受けていました。
困った管理人は、エレベーター・システムの設計の専門家をよんで、実態を調べることにしました。専門家たちは、詳細な分析を行った結果、下記の解決策を提案しました。
 1)エレベーターの増設
 2)より高速なエレベーターへの機種変更
 3)新たに開発されたエレベーター制御装置の設置

要するに、専門家たちは、大幅なコストをかけないかぎり、クレームの解決は行えないことを明らかにしました。
同時にその投資費用は、このビルの収入からすると大きすぎて投資回収が出来ない事も発見し、この問題は、完全に「デッドロック」したかに見えました。
管理人は、部下を招集し、事態を相談しました。
長時間の会議が開かれ、皆が疲れてきた頃、それまで口を開かなかった新人が、おずおずとひとつの提案を行いました。
「各階のエレベータの前に、大きな鏡を置きませんか?」
2週間後、エレベーターに対するクレームは、一件もなくなりました。


そうです、ここで考えるべきはなぜ、「エレベータの前に鏡を置くこと」で、「エレベータの待ち時間が減らす」という「問題」が「解決」したのか

それは、「エレベータの前に置いた鏡によって、エレベータを待っている人が、そこを覗き込み、身だしなみを整えたり、後ろにいる魅力的な異性に目をやったりする時間が増えたから」です。

その結果として、「エレベータの待ち時間」 - 正確に言うならば、「エレベータの待ち時間として認識される時間」は、激減することになりました。

かくして「問題」は解決されたという事例です。そもそもの問題は、「待ち時間」そのものよりも、「待っている事を認識している時間」だったという事になります。

問題の所在をどこに置くのかによって解決方法は大きく変わり、結果低コストでの問題解決が可能になったという事になります。

世界をハックするためのたった2つのステップ
①世界を違った角度から見つめ、他人が気づいてない規則性や法則に気づく
②その規則性や法則を構成するシステムのスキマに介入する


先ほどのエレベーターの例を元に世界をハックする2つのステップを元に更に紐解いてみましょう。

①因果関係を疑い、真の因果を解明するステップ
(待ち時間が長いから、クレームが起きている → 待っている事を認識している時間が長いから、クレームが起きている)

②その規則性や法則を構成するシステムのスキマに介入してハックする
(他に暇つぶしになるものを用意するために鏡を置いて、待っている事を認識する時間を減らす)という事になります。


やっている事は非常にシンプルでくだらないかもしれません。ですが、効果的でした。これが、Hack(ハック)の威力です。

本書ではこの他に、レオナルド・ダヴィンチもこのHackを使い人体構造のメカニズムから理解する事で、人体そのものの書き方や建築物の構造や遠近法を把握していたことが事例として上げられています。

■ハックするために必要な4つの力

ここまで読んできていざHack(ハック)をしてみようと思う人も多いはずです。しかしその前に前提条件として、実はすべての物事がHack(ハック)できるわけではないことを覚えておきましょう。

なぜなら規則性や法則がないもの、つまりルールが無いものはHack(ハック)できないからです。ですのでまずは既存のルールを知るということが重要になってきます。

そして目の前の課題をHack(ハック)するための第一歩として「観察、考察、推察、洞察」の4つを使うことで察するチカラを身につけることができるようになると著者は朝顔の事例を使って解説しています。

■皮膚感覚の知恵

また暗黙知や皮膚感覚をそれぞれ”視点”、”方法”、”勇気”という3つのネタの引き出しに整理してHack(ハック)思考を下記で解説しています。

■視点の引き出し

3つのメガネ

世界を違った角度から見つめるといっても、どんな角度から見ればよいのか?はどんなに考えても一朝一夕には出てきません。ですが、モノゴトの見方にもパターンはあります。まずはそこを知ることから始めることを著者は推奨しています。

・鳥の目:高い視点、広い視野、全体観
・虫の目:深い視点、狭い視野、詳細把握
・魚の目:流れを読む、客観、相対性、大局観

この3つのモノゴトの見方があるということをまず理解しておくだけで、視点の幅は広げることができます。

個人的には虫の目強く、鳥の目、魚の目での視点を鍛える必要があるなと本書を呼んでいて感じました。

※本書の中では上記それぞれの目でみた際の事例が記載されています。

■方法の引き出し

実際の仕事や生活で最も役に立つのがこの方法の引き出しとされています。Hack(ハック)を仕掛けるのは構造に対してです。その構造やメカニズムに対する知識や理解を深めることで取れる策の幅が広がってきます。

著者はその方法の引き出しを下記5つずつ、各章筆者の経験や体験談などの事例を用いて紹介しています。

言葉:どんなに考えても言葉にできなければ無駄
身体性:視覚聴覚など5感部分への訴え方
お金と時間:シチュエーションや課題に対してより有限なもの、より希少性の高いものから考えた方が良い
組織:いかに素晴らしいチームをつくることができるか
認知:自分の認知を変え、望ましい方向へ進む

■勇気の引き出し

これまでの内容から著者自身が特別に優れていた人と思われがちですが、そんなことは決して無く、一歩踏み出す勇気が無くて情けない思いをしたこともあると本人も述べており、それを踏まえても実際に動き出す際に重要なのは思い切りであると、この章では事例を用いて解説されています。

すべて書くと膨大な量になるため一部抜粋していますが、著者のリクルート時代の悩み、経営者になってからの悩みとそれを突破してきた際の思い切りが事例として紹介されています。

・自己組織化する組織を目指す

起業するにあたり著者が会社をどんな組織にしていきたいか、構想してきた仮定がまとめられています。最初のコンセプトとしてリクルートという会社のシステム化、仕組み化された組織の逆(ツッコミどころ満載の会社)に挑戦にする。要はよくできたシステムよりも自分たちがハンドルしてデザインできるシステムをつくっていくことから始まりました。

そのなかでカウフマンが唱えた「自己組織化と進化の倫理」にでてくるNKモデル=人類はなるべくしてこうなった。「無償の秩序」という考え方に乗っ取り、マネジメントの原点が性悪説や大人を子供として扱ったりするものではなく、自立したプロとして仕事をし、ニガテな部分は助け合える。そんな自己組織化する組織を目指して動き始めました。

・「バカになれ。かわいがられるバカを目指せ」

努力をいくら重ねても、スキルがどれほどあっても自分一人でできることは小さいもの。完璧な経営、制度、仕組みなんてものも存在しません。だからこそそれらリスク(弱み)をオープンにすることで自然と助けられ、リスクを補うための作用が発生する。

スタートアップの経営をしているからこそでてくる根源的な問い、「この事業で何を実現するのか、それは本当にしたいことなのか」。完璧な答えがない中だからこそ、自身が大事にしたいことや過去経験した引き出しを元に前進する。前進するからこそ成功や失敗がわかるわけなので、勇気を持って前に進む思い切りが大事であることが重要だということがこの章ではまとめられています。

■観を鍛える

行動が生み出した経験、本書では世界をHackするための引き出しと呼ばれるものですが、この引き出しを増やすときに重要なことが観を鍛えるだと著者は述べています。人生観、仕事観、恋愛観、結婚観、人間観などが当てはまるでしょう。

この観を起こってしまった出来事と自分との間におく。

物事の見方や考え方、自分自身の哲学をいつも鍛えているという感覚を持つことで人生で起きるすべての出来事を血肉にしていく=引き出しを増やすことができると著者は述べています。

個人的には、上記の観を鍛えるには良質な質問力が欠かせません。書籍後半でも触れられていますが「いかに問の質を高めるか?」が鍵になってくるはずです。

また「スタンスを決める」(過去読了した書籍内の表現「言語化力」)と類似しているなとも感じました。自分は○○だ、というスタンスをまずしっかりもち、スタンス=観を持つからこそ良質な問を生み出すことができるはずです。


■健全な偏り

経営者が一人で考えるよりも、メンバー全員が10%ずつ会社のことを考える方が強い

また書籍内では経営者は必死、しかし会社全体をコントロールできているわけでも無く、特にベンチャーやスタートアップ企業であればあるほど社員が会社に依存するよりも「従業員皆経営者主義」でないとヤバいと表現しています。

「国があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何ができるか考えようではありませんか」

ケネディが述べた演説を引用して記述されていますが、上記は国家だけでなくベンチャーやスタートアップにも当てはまります。

・自分たちが尊敬できる、一緒には働きたいと思えるメンバーを集め、
・個々が心から面白いと思えるビジョンを掲げて、
・一人ひとりが、必ず少しずつ会社のことを考えているチーム

著者は上記3つの条件が揃っている良いチームには常に危機意識や怒りがあるはずと述べています。このままじゃいけないとかこうした方が絶対良くなるであるとかそういうぶつかりあいが、チーム内に気流や気圧を生み出し、組織やチームが自らの意識を持って動き出すのです。

著者は上記を「健全な偏り」と表現し、そういうヘルシーなチームで有り続けたいと述べています。

■まとめ

本書を読んでみた率直な印象としてはティールと似ている章が多かったということです(特に採用に関する章が該当します※ティールを学んだばかりだからカラーバス効果でその点共感が多かった可能性もありますが、、)

Hack思考に関しては現場でのコンサルワークの中でも活用できます。既存の枠組みを取り払って考えることで成果の拡大もできます。

ただその既存の事象に対して虫の目を持ち対処していくのも重要ですが、今後の組織を運営拡大していく上で、まだまだ自分を含めて本書でいう「健全な偏り」や「自己組織化」は拙いのでは?と感じる部分が多々ありました。

時間はかかってしまう部分ではありますが、まずは自分から組織を良くしていくためにできることのアウトプットから初めていきます。

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