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すべての仕事は「問い」からはじまる-たった1秒の「問題解決思考」-を読んでみた。

◼️選定理由

質問力をもっと高めるためです。既存クライアントに対するヒアリングを行っていると時たま論点からズレる(脱線してしまう)事があります。また自分の癖として、問いかけが長くなってしまう事があり、「結局伝えたい聞き出した"骨"の部分が隠れてしまう事もしばしばありました。そこから、限られた時間内でクライアントと自分双方の思考の枠組みを外し、今見えていない解決策や本質部分を引き出すためにも、より刺さる質問力が必要だと考えたためこちらの書籍を選定しました。

◼️書籍情報

書籍名:すべての仕事は「問い」からはじまる -たった1秒の「問題解決思考」-

著者名:大嶋祥誉(おおしま さちよ)

◼️優れた問いには、4つの型がある

確信を突く優れた問いには著者曰く4つの型があるといいます。マッキンゼーのコンサルタントや優秀なコーチが身につけているそれら4つの型(①問いは1行、②自分の判断を入れない、③ポジティブにする、④視座を高くする)についてそれぞれ掘り下げてみます。

①問いは1行:問いは一行で表せるくらい「短く本質に迫るもの」でなければなりません。文章に起こした時に何行にもなるようなものは、自身の思考が堂々巡りになっているか、自分の主張を問いのかたちにしているだけで相手に押し付けている可能性が高いです。

人の脳はシンプルな「問い」であるほど、多くのシナプス(脳の神経細胞の結合部)が活発に動き、思わぬ思考のジャンプが起こりやすくなる性質を持っています。

例えば「本当はどうしたい?」といった、短い問いを自他に投げかけることで、「前提」や「思い込み」、「固定化された視点」を打ち破ることができます。また1行(ワンセンテンス)の問いにこだわれば、必然的に大事なことに焦点が当たり、余計なものに思考を邪魔される事が少なくなります。

②自分の判断(ジャッジ)を入れない:例えば営業活動がうまくいっていない人が、上司に「○○だから結果が出せないんじゃない?」といった問いをぶつけられるとどうでしょう、出るやる気も出なくなってしまうはずです。一方、「今、何が気になっている?」と問われると、問いかけた側の判断や誘導が入っていないため、問われた相手は、素直に問いを受け止める事がで切るはずです。

問われた人に「スッと入って」きて、モヤっとしていたものを晴らし、前向きなアクションを起こしたくなるような問いこそ「良い問い」だと本書では述べています。

③視座を高くする:視点や視野とも似ていますが、それらを含め「どんな立場から見ているか」を指します。

厳密に言うと「型」ではありませんが、うまく活用する事で色々な立場から物事を問うことができ、その場に流されず、広い視野から正しい判断ができるようになります。

例えば、ある物事に対して、自分の視座だけでなく、経営者やユーザーなど、さまざまな視座から問うようにすると、これまでと違うものが見えてきます。またこの視座は、本を手に取り、目次をざっと見て「この本で得られる大事なポイントは何か」といった問いを立てる方法でトレーニングする事ができます。

④ポジティブにする:「どうしてうまくいかないのだろう?」といった、ネガティブな問いには気をつけましょう。なぜなら「自分のやり方・能力に問題がある」という前提に焦点が当たり、無意識にネガティブな感情を引き起こしてしまうからです。一方で「どうしたらいいか」といったポジティブな問いを立てれば、未来に意識が向かい「他のやり方を試せばうまくいく」という思考に導くことができます。

この思考法はPMA思考と呼ばれ、ポジティブなマインドセットを持つための発想としてマッキンゼーのコンサルタントも取り入れている手法になります。

◼️良い問いは4つの方向性のいずれかに属している

続いて、問いにはまず「方向性」というものがあるという事を覚えておきましょう。この問いの方向性が正しくなければ、まず良い答えは導けません。そしてこの良い問いは全部で4つ、①根本を問う、②未来志向の問いである、③枠を外す問い、④インスパイアする、の方向性のうちいずれかを備えている事が条件になります。

①根本を問う:問題の核心をつくという方向性を指します。主に「Where(問題のありか)」「Why(原因)」「How(対策)」の3つの切り口を使い考えることで、物事の本質(根本)へ至る事ができます。

例えば、「社内で業務改善策が浸透しない」というケースを考えてみましょう。上記の切り口を使ってこの事例を紐解いて行きます。

まずこの問題の根本となる「Where」を問いかけましょう。すると「業務改善の必要性は無く、従来のやり方でも全然構わないと考える社員がいる」事がわかりました。この問いによって業務改善策が浸透しない原因(場所)が"どこ"なのかを明らかにする事ができます。

続いて「Why」を問いかけます。そうする事で「新しい取り組みの中にチェック機能がないから」といった業務改善に反発的な社員の考えている抵抗原因を明らかにする事ができるようになるわけです。

そして最後にそれらを踏まえ「How」を問うと「新しいやり方で成果が上がった事例を共有する」といった、核心を突いた対策が見えてくるわけです。

順番: Where → Why → How

ここで注意したいのはいきなり「How」を問わないこと。なぜなら問題の根本がズレていれば、いくら「Why」や「How」を見出しても根本解決につながらないからです。

②未来志向の問いである:こちらは物事を過去の延長線上で考えるのではなく、本来のあるべき姿から逆算して考えることで、実現したい未来に近づくという方向性を指します。

例えば、自分を変えたい場合は自分自身に「変化を起こすことを止めているものは何か?」と問います。(前提:自分は変化を起こせる)

そのほかにも行き詰まった状態から抜け出したい場合は、「自分の持っている力で、この状況から抜け出すには何を使えばいいだろう?」と問いかけます。(前提:自分は既に抜け出す力を持っている)

いずれもポジティブな前提が重要になって来るため、問いを行う際はネガティブな前提を排除して行うようにする事が大事です。

※この部分に関しては以前読んだ書籍「すごい無意識」に通ずる部分がありました。

③枠を外す問い:コンサルティングの世界では、未来を開いていくようなグッと来る視点や仮説に対して「筋がいい」という表現をします。そして、筋の良さはいずれも既存の「前提条件を疑えるかどうか」に左右されます。

こちらはそれまで当たり前とされていた前提条件に対して「果たして、本当はどうなのか?」といった疑問を問いかけ、それにより今まで見えていなかった「この方法もありなのでは?」といった可能性を広げる事を目的とした方向性になります。

「良い問い」をするには子供のように無邪気に、過去の失敗や前例を一度無視したニュートラルな視点で問いを立ててみる事が効果的と本書では述べています(著書ではこれを「ゼロ発想」と表現しています)※

※この方向性は「ラテラルシンキング」と同義だと思います。

④インスパイアする:相手をインスパイアさせるような質問をしたいときは、その人の判断基準となる「信念体系(信念や思い込み)」をまず覆すことが求められます。

例えばよく遅刻をしてしまうAさんがいるとすると、普通であれば「目覚まし時計を変えた方が良いのではないですか?」といった問いかけをしてしまいがちです。しかしこれば目の前の事象に対する問いでしかありません。

このインスパイアするという方向性に乗っ取って考えると、そもそも「Aさんが遅刻してしまう信念体系には何があるのか」問う事に注目します。

例)いつもどんな気分で仕事に向かっているのか? → 実は仕事に対してネガティブな気持ちを持っている → 仕事に行きたくない気持ちがトリガーになって遅刻が発生していた。(この最後の気持ちの部分を本書では「感情の出来事」と呼びます)

つまり、物事には「①表面に現れる部分」の背景に「②信念体系」とそれを構築するに至った「③感情の出来事」が必ずあり、この中で一体どの部分に働きかけるのかを意識して問いを立てることで、相手の枠を外すことが可能となるわけです。

◼️仕事の悩みも問いで解決する

何か仕事を依頼されたとき、成果を上げるには、次の3つのステップを意識するとよいと本書では述べています。それは①状況をちゃんと見る、②仮説を問いの形で立てる、③仮説を検証するという流れです。

①状況をちゃんと見る:まず顧客から求められた資料を提出するとします。ここでの第1のステップは「5W1H」の問いを活用して、その資料が必要とされている背景、つまり仕事の本質をつかむことが鍵になります。「外してはいけないポイントは一体なんなのか?」といった問いを駆使し、このステップでは、論点やアイデアを広げるための「拡散させる問い」を意識するとよいでしょう。

②仮説を問いの形で立てる:第2のステップでは、これまでの流れから「顧客は社内会議で検討用に資料を使うはず。で、あれば比較用データがあったほうが会議で通りやすいだろう」といった仮説を立てることが当てはまります。ここでは①で拡散さえる問いで広げた論点やアイデアを「収束につながる問い」を使い、最も注目しなければならない点の見極めを行います。

③仮説を検証する:そして最後の第3ステップでは、②で立てた仮説に基づいて、仮説が正しいかどうかを検証します。実際に「他社との比較データがあったほうがよいか?」といった問いを投げかけることで「そこは外さないでもらえると助かる」といったように、相手が必要としていた答え(本質)を引き出す事ができるようになります。

◼️プロアクティブな問い

一般的に問いは、すでに表面化した問題に対処するために投げかけられることが多く、これは「リアクト(反応)型」と呼ばれています。

一方、「そもそもどうしたいのか?」「本来あるべき姿は?」というように、自ら仮説を立てて「表面化していない問題」を問うのは、「プロアクティブ(率先)型」と呼ばれ、優れたビジネスパーソンは必ずこのプロアクティブな問いを立てていることを心に留めておきましょう。

こうしたプロアクティブな問いを生み出すには、リサーチで「真のニーズ」を探ることが求められる。そこで役立つのは、問いで明らかにしたい物事のシーンを具体的に尋ねることだ。「いつ、どんな場面で、誰が、どんなものを、どのように、どんな理由で」というところまで明確にすることがポイントとなる。

◼️愛のある問い

仕事の悩み=人間関係の悩みと言い換えても良いと、本書の中ではアドラー心理学を引用して書かれています。この悩みの根本になりがちな人間関係の悩みに対して、解決の糸口となるのは、相手に対して「愛のある問い」を投げかけ、相手の存在を認めていると伝えることだと本書では述べられています。

「愛」とは、相手の価値観を尊重し、理解することを意味する。

例えば、自分の依頼したことを相手がきちんとやってくれなかったときに、「どうしてやってくれないのか?」と問うと、相手に対してネガティブな判断を下してしまっています。その代わりに「そのやり方をしたのはなぜ?」と、ニュートラルに質問すれば、相手は自分のことを理解しようとしてくれていると感じ、素直に課題と向き合いやすくなるはずです。

良い問いができるようになるために最も重要な資質は、「関わる人に対する愛」だと言っても過言ではないと本書では述べられています。

◼️まとめ

本書を読んでみて自身には下記3つ+事前のセットアップが欠けていた事に気づきました。

①未来志向

②ポジティブ

③愛のある問い

①②に共通する事ですが、過去を振り返り何が原因だったか、悪化要因を特定する事はできていると思っているのですが、そこからクライアントが求めているビジョンに対して未来を見せてあげる事が今までできていませんでした(一言でいうと相手をワクワクさせられていない+〇〇しますと断言するための覚悟が決まっていなかった)

また③に関しては細かいデータに頼り切る分、「ロジカルに考えて〇〇が足りないのになんでわかってくれないんだろう?」といった相手の心情や悩みに寄り添うための共感部分がかけてしまっていた事ができていなかった事が要因だと気づく事ができました(よく社内で聞く彼氏コンサルが当てはまると思います)

また事前にこの問いをぶつける前の考察の時間を普段の仕事の中で設ける事が少なくなりがちだったことも起因していますので下記を本書を読んだ後のアウトプットとして取り組んで行きます。

Todo

・クライアントからの急な電話は折り返し対応をする:連絡要因がわかる場合はなぜその連絡をしてきたのかを掘り下げ可能な限り①②③を使った返答をする。

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