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中小企業×インターネット活用=スケールチャンス。「ネットビジネス・ケースブック」を読んでみた。

◼️選定理由

①同業、かつ上場企業のソウルドアウト。代表の荻原さんの書籍を読んでみました。個人的な課題として、広告運用領域外含めた提案力をよりもっと強化するためには、他者成功事例を知り、学び、現場にアウトプットして血肉化する必要があると考えたためこちらを選定しました。

デジタル時代のマーケティング戦略(過去から現在までのインターネット)の変遷と、新たに事業を立ち上げる上で必要な視点、また事業を走らせた後に起きるマネジメントの課題と解決に向けた取り組み、実践例が8つのケースを用いて書かれており、現場でも生かせる思考法はアウトプットする上で有効活用することができます。

◼️書籍情報

書籍名:ネットビジネス・ケースブック

著者名:荻原猛・田中洋

■マーケティングの変遷

そもそも企業におけるマーケティング活動がどのような変遷を経て、現在の地位を確立してきたのかについて触れていきます。

1960~70 年代:アメリカにてマーケティングの価値が高まり注目された
1980~90年代:マーケティングが重要視されるが故に、マーケティングは担当者でなく、全社で取り組んでいくべきものとされ、マーケティング部署や予算の縮小がアメリカを中心に進行。
2010年~:CMO(マーケティング担当重役)の地位の向上と共にCMOが企業のマーケティング予算を握るようになってきた。在職期間も2006年当時平均23.2ヶ月(1.9年)だったものが、2013年には平均45ヶ月(3.75年)とほぼ倍になっている

IBMは2011年にCMOに関する調査結果を発表するとともに、デジタル革命により多くの顧客データが低コストで活用可能となり、インターネット広告で「よりお金を稼ぐ立場」になったため、マーケティングに予算が割かれるようになったと述べている。

■マーケティングの民主化

マーケティングの復活劇の中で注目すべきキーワードの1つ目は「マーケティングの民主化」であると本書では述べられています。

マーケティングの民主化:多くの企業やヒトが実践するスキルになった。これはインターネットとその技術発達によるところが大きく、スモールビジネスやBtoB企業において導入することが「絵空事」ではなくなったため。

昔はマーケティングを実践する手段として「マス広告」が主流であったが、実施するためには多額の予算が必要であったり、中小企業が取り組むにはハードルが高かったことが由来しています。

かつてネットが無い時代には全国規模で調査を実施しようとすれば、1,000万単位で費用がかかり、レポーティングまで数か月かかることも珍しくはなかったが、今では1000サンプルを回収しようとすると、調査開始の翌日にはデータが納品され、最低34万円から実施することができるようになりました。

また私達が普段使う、Google、Yahoo!のリスティング広告(検索連動型広告)や、Facebook広告などのSNS広告もそのマーケティング手段の一角を担っています。これら技術革新により、マーケティングは文字通り民主化してきたのです。

■顧客はどう変化していのか

こうしたマーケティングの変化を経て、対象となる顧客はどう変化してきたのかについても触れられています。

①:顧客は情報をスルーする                                 ②:情報͡コノソワール化する顧客                                 ③:情報のタコツボ化

①顧客は情報をスルーする

「現代社会は情報過剰である」と言われれば多くの人が賛同するかと思いますが、しかしそれは本当でしょうか。書籍では図解がされていますが、一部を引用するとそれら統計データを見る際は「情報量の算出の仕方」について着目し、果たして上述した言葉が正しいのかを正確に紐解く必要があると記載があります。

「流通情報量の98.5%、消費情報量の73.3%を放送メディアが占めている」なかで、ネットがもたらす情報の割合は「流通情報量の0.8%、流通消費量の11.8%」

上記は2001年から2009年度間のデータを元に算出された統計結果になりますが、こちらを踏まえると情報過多は既に1960年代、約40年前から発生していたことになります。とすると当時から40年経っている現在は溢れかえる情報によって破壊的にひどい状況に陥っているはずですが、本当にそのような世の中になっているでしょうか?

それは一概にYESとは言えません。なぜなら私達人間は身の回りが情報過多な環境であるが故に、情報を上手くやり過ごす術を身に着けているからです。

・自分の役割について、限られたものしか引き受けられない        ・他人と関わらない(人付き合いのルール変更)             ・非日常的な出来事への無反応                     ・他社からの依頼を選択する(認知プロセスの変化)

上記は著名な社会心理学者ミルグリム教授が都会人が環境から来る情報過多のために取るようになった行動として論述している内容になります。

②情報͡コノソワール化する顧客  

こうした状況下では、情報処理に長けた一群の顧客が出現していくと本書では述べられており、著者は彼らを「情報コノソワール」と称しています。

情報コノソワール:情報通。生活分野ごとに存在する。例)クックパッド、Yahoo!知恵袋等

彼らはいわゆる情報発信の「ハブ」的存在であり、我々がマーケティング情報を発信する上では彼らを意識する必要があります。

③情報のタコツボ化

かつて、マスメディアが全盛期だったころは、流行といえば人口の数十%を示すような状態でした。例えるならば日本代表のワールドカップの番組が該当し、つまり数千万人の規模で同時に1つのコンテンツに触れることを指しています。

しかし現在ではその流行、ブームといった現象は小型化しています。例えば2003年に起こった「コップのフチ子さん」というカプセルトイは300万個売上げましたが、これは1人1個買ったとすると人口比にして全体の2%程度の流行現象となります。

かつての流行現象が人口の数十%であったものが、その10分の1程度に縮小しているのです。これと同じことが情報共有化の面でも起こっており、本書ではこれを情報のタコツボ化と呼んでいます。

本書で取り上げられた上記3つの視点に対応することで、今後のマーケティング戦略立案に示唆を得ることができると著者は述べています。

上記のコンテンツ以外にも今後必要とされる顧客との「コミュニケーション戦略」や、スマホの普及で顧客との接点が増え多様化している点について着目した「マイクロモーメント」、マーケティング戦略の変遷(マーケティングオートメーション・サブスクリプション型マーケティング)など、数多くの金言が本書には述べられています。

下記では、それらを踏まえた上で最も重要だと感じた「イノベーションの素となる起業家(企業家)精神」について深い学びを得られたためそちらに触れていきます。

■イノベーションの素となる起業家(企業家)精神

「ベンチャーが成功するのは、多くの場合、予想もしなかった市場で、予想もしなかった顧客が、予想もしなかった製品や、サービスを、予想もしなかった目的のために買ってくれるときである」

上記は経営の神様ともいわれる「ピーター・ドラッカー」が述べた言葉であり、本書の中で取り上げられている8つの企業ケースにも紐づく言葉となっています。挑戦と改善を繰り返し、時には戦略ピポット(方向転換)を行いながら新たな価値創造を成し遂げることとされています。

そして上記の過程で壁にぶつかったとき、その壁を乗り越えるための力になるのがここでいう「起業家(企業家)精神」と称されています。

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またスタンフォード大学教授のシーリング(Seeling.T)が提示した院弁翔央サイクルこそが、その起業家(企業家)精神を養う上で重要だと述べています。

「想像力がクリエイティビティを生み、クリエイティビティがイノベーションにつながり、イノベーションが起業家精神を呼び起こす」
「起業家精神を養うには、粘り強く続けること、周りの人達を巻き込むことが必要である」

不確実性の高い新たな事業を成功させていくには、起業家精神を奉じて事業マネジメントをしていくことが必須になるのです。

■イノベーションに必要な能力の3分の2学習で習得可能

破壊的イノベーションの理論を打ち立てたことで有名なハーバード・ビジネス・スクール教授のクリステンセン(Christensen,C,M)が述べた言葉に下記があります。

驚くべき数のイノベーションが、致命的な技術的欠陥や、市場に即応性がなかった、という以外の理由で失敗する。失敗するのは、事業を構築する責任が、その任務を遂行する能力を持たないマネージャーや組織に与えられるからなのだ。
企業の経営陣がしばしばこのような過ちを犯すのは、持続的イノベーションの状況では、組織を成功へと駆り立てるスキルが、破壊的成長のための最良の構想を意図的に失敗へと導くからだ。

新規事業の立ち上げと既存事業のマネジメント能力は、まったく別の能力であり、クリステンセンは祈βの能力を5つの行動的・認知的スキルとして定義し、「イノベーションに必要な能力のほぼ3分の2が、学習を通じて習得できる」とも述べています。

上記を既存の業務に当てはめて考えると、既存事業はこれまでの運用代行(コンサルティング)領域で、新規事業は御社のWebチームを筆頭に、新たに今後想像されていく事業が当てはまります。

今後の会社の動きを踏まえたときに後者に関しての自信や周りの意識をどれだけ変えられるか。またその新規事業構築能力を如何に伸ばすことができるか。ここが自分に求められてくる課題であり、チャレンジする領域であると思います。

もちろん既存事業にもイノベーションを起こしつつにはなりますが、そのために何ができるか。新規事業と既存事業2つの視点での自己研鑽を今後より強化していきたいと思います。

■まとめ

上記今回の読書を踏まえて、今後月間で取り組んでいく課題(テーマ)を下記として取り組んでいきます。

テーマ:新規事業の開拓

①現在取り組んでいる海外最新情報発信の型(企画)を1つ形にする。

本書(ケース8:ソウルドアウト編)にも記載がありましたが、新規リード獲得をするために実施したオウンドメディア3種のうちの1つに、海外最新情報を発信するキュレーションメディアが含まれていました。結果、達成したい目標(新規リード獲得)とは、流入の質が異なるため辞めたと本書では記載がありましたが、まさしくそちらが、今自分が取り組んでいる動きになります。広告運用代行を求めてくるユーザーではなく、インハウスや同業が注目する情報公開にはなるので、ゴール設計としては実績作り。参加すると海外情報のトレンドがわかるセミナーの開催などとした動きを取り組んでいきます。まずは企画→社内相談→実現に向けたアプローチで動いていきます。

テーマ:既存事業の質の底上げ

①朝研修にて広告運用の社内スキル底上げを実施。

上記同様、本書(ケース8:ソウルドアウト編)にも書かれているのですが、オウンドメディアからインバウンド月200件取れるようになる前に挙げられていた課題が、「事業拡大に伴う新人の採用と育成に大量の工数がかかる」という点に着目しました。ソウルドアウトでは旧態依然の足を使った営業スタイルからの伸び悩みもきっかけになり、社内でインバウンド施策(オウンドメディアを3本稼働※結果LISKLE以外の2つを閉鎖した)が取り上げられていましたが、この状況に関しては弊社の現在の状況とも重なる点がありました。

ソウルドアウトはオウンドメディアを運用し、工数をかけずに新規リード獲得を実現することができましたが、弊社は既に同じ施策を実施済み。その中で新人の教育と今後課題になっていく既存事業(広告運用代行やコンサルティング)の提供サービスの底上げを行っていくために何ができるかを考えた際に必要なのが上記に上げた教育による底上げだと考えました。

朝研修という名目ではありますが、個別に研修(イメージしやすいもの=小島キャンプ)をやってもいいと思いましたので、ここは進行しながら改善戦略ピポット(方向転換)を行っていきます。

②成功要因レポートに取り組む(月3社分析)

上記に関しては、既存クライアントの中で新たな商材リリースなど0→1を創るステージでの依頼が増えてきていることと関係しています。上記を提示された際にどのようにWeb施策を転じていくか、戦略設計を上手くいくことに慣れていないため、まずは既存のビジネスモデルを学び、戦略の引き出しを増やすために取り組んでいきます。

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