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J-R&Bオタクが選ぶ「令和に聴きたい平成のアルバム100選」Part.1

【最初にお知らせ】
新メディア「JBSGROOVE」を立ち上げました。日本のR&Bを中心に、邦楽の”カッコイイ”を探究していきます。よろしければ。
http://jbsgroove.com

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「令和」という字面にも慣れつつある今日この頃。ちなみに平成が元号の座を明け渡す瞬間、私はカラオケで「だんご三兄弟」に興じていました。なんでやねん。

さて、いよいよ迎えた新時代。どんなムーヴメントがいかなるアーティストを連れてくるのか、早くも気になるところですが、僕としてはまず、自分が過ごしてきた平成を今一度振り返っておきたいと思いました。その集大成が今回お届けする「平成のJ-R&Bアルバム100選」です。

文字通り平成時代に発売されたアルバムの中から「これは外せねぇな」と思う作品を100作選び、一つ一つ紹介文をつけました。

主な選出基準は以下の二つ。

・内容の品質が極めて高く、各時期のJ-R&Bをシンボライズする作品
・エポックメイキングな側面を持ち、その後のJ-R&Bの概念に影響を与えた作品

50作分のレビューなら以前にも書いたことがあるのですが、その倍の量は完全に未知なる世界。本当はもっと早くに公開したかったんですけどね…。

ただ、書き終えた今だからこそ言えます。
「名盤多すぎだろ!むしろそのさらに倍は紹介したいわ!」

文量が多いので僕史上初の二本立てです。
平成30年分のJ-R&Bを、たっぷり楽しんで帰ってくださいまし!

※先日公開した「J-R&Bと平成」のプレイリストも合わせてどうぞ。
https://itunes.apple.com/jp/playlist/j-r-b%E3%81%A8%E5%B9%B3%E6%88%90/pl.u-111masVyxLN

◆平成のJ-R&Bアルバム100選 1〜25作品◆

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AI『2004 A.I.』(2004)
Def Jam Japanに移籍後、着実にファン層を拡大していたAIが2004年にリリースした快作がこちら。自身の代表曲「Story」も手がけた2SOULとの共作のほか、T.Kuraや今井大介も参加。アップからバラードまで手広く構える中、AFRAとTUCKER客演の「WATCH OUT!」では切れ味鋭い弾丸ラップも披露し、好事家からの株をさらに上げることに。ちなみに僕はEDの「Dreaming Of You」がお気に入り。https://itunes.apple.com/jp/album/2004-a-i/76121753

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akiko『crazy about you』(1995)
数年前、とある音楽関係者が「日本におけるメロウは彼女が先駆けではないか」との持論を話してくれたのですが、まさしく。Lowrellのド定番「Mellow Mellow Right On」 を使用した「Mellow Mellow」や、コード進行にニヤリとするしなやかなタイトル曲など、紛う事なき90’sの趣。黄金時代の煌めきをここ日本で、それもブームになる以前から謳歌していた稀有な存在です。

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ACO『Kittenish Love』(1996)
最大ヒット「悦びに咲く花」から遡ること3年、彼女を司るプラットフォームはスムースなヒップホップ・ソウルでした。いじらしい乙女心を猫撫で声でアウトプットする様は、さしづめCharaの系譜。原点にして方向性を決定づけた「不安なの」、ユニークな言い回しがリフレインする「凍っちゃったんだわ」など、女の子のメルヘンな側面をことごとく映し出した世界観がとかく愛おしい。
https://itunes.apple.com/jp/album/kittenish-love/1063949901

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azusa『Life is Colorful』(2017)
発売当時は全く話題になりませんでしたが、鑑賞する価値は大いに有り。長野県のクラブを拠点に活動する女性シンガーで、本作のレコーディングは出産などの合間を縫って行われたとのこと。注目すべきはトラック面で、ヒップホップ/R&Bシーンであまねく重宝されてきた必殺ネタをふんだんに使用。ここまで熱心なのも今時珍しく、意外性だけで十分楽しめるはずです。
https://itunes.apple.com/jp/album/life-is-colorful/1287436103

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安室奈美恵『PLAY』(2007)
『STYLE』(2003年発売)でヒップホップ/R&Bに生きる決意をエネルギッシュに体現し、女帝としての威厳を強めた『Queen of Hip-Pop』(2005年発売)では野望を湛えたキラーチューンで再燃した人気を不動なものに。からの、本作。かねてからのクリエイティブ・パートナーであるT.Kura/michico、そしてNao’ymtの才腕はいよいよ神々しい域に突入。アルバムの安定感も一層極まり、安室奈美恵が志向する一級品のエンターテインメントがダイナミックに駆け巡る。大衆支持が根強い「Baby Don’t Cry」収録とあって、安室入門としても薦めやすい一枚。

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ARIA『ARIA』(2006)
元々はAsukaの名義で活動していたものの、2005年に改名し再デビュー。1stシングルは、Rich Harrisonが得意とする”通称・ドカドカ系ビート”を敷いた「Beautiful Life」で、当時のJ-R&Bではかなり革新的でした。手がけたのは、ARIAで実質的なプロデュース・デビューを飾ったSTY。ARIAの身のこなしも押し並べて鮮やかで、両者のR&B愛が巧妙に結実した作品だなと。客演陣も豪華で、とりわけKayzabroとの「I To I」は何とも言えない哀愁を誘います。
https://itunes.apple.com/jp/album/aria/183186750

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w-inds.『Blue Blood』(2015)
前作『Timeless』でレトロモダンなる古き良きマナーを標榜し、大きな音楽的進化を遂げたw-inds.は、本作でその解釈をさらに拡張。80’sディスコ・チューン「In Love With The Music」、 世界的ヒット曲「Blurred Lines」路線のおしゃれファンク「Show You Tonight」など、無条件で高揚するナンバーが軒を連ねます。一方で、TinyVoice Productionの面々が拵えた「I’m all yours」ではホーンの音色と橘慶太のファルセットが心地よく揺れ、一瞬で恍惚の極致へ。
https://itunes.apple.com/jp/album/blue-blood-%E9%80%9A%E5%B8%B8%E7%9B%A4/1010522377

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UA『11』(1996)
今に続くJ-R&Bの始祖とも言うべき衝撃作「情熱」も収録した、UA初のフルアルバム。アシッド・ジャズ文脈のリード「リズム」、Charaも手がける大庭良治によるコズミックな打ち込みが展開する「落ちた星」、アンニュイなドラムンベース「バラ色」など、一曲ごとにガラリと世界を変え、それぞれがスケール感のあるポップネスを提唱。いやに俗っぽいメロディ・ラインの「ランデブー」がかえって異質さを放つほど。ただやはり「情熱」の余韻があったからか、他のアルバム作品よりもR&B/ソウルとの距離感は近め。
https://itunes.apple.com/jp/album/11/111155188

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宇多田ヒカル『First Love』(1999)
本作の爆発的なセールスによって、完全に時の人となった宇多田ヒカル。先んじてMISIAらが築いていた国産R&Bの地位を急速に押し上げた張本人であり、高校生とは思えないセンシティブな感性と先鋭的な作曲能力で、青春の真っ只中にある純真無垢なマインドを描き出しました。「Automatic」や「First Love」の素晴らしさは言わずもがな、メッセージ性も強いミドル・グルーヴ「time will tell」、Sting「Shape Of My Heart」のギターフレーズを引用した「Never Let Go」など、どこを取っても瑞々しいポピュラリティとグルーヴ。この彼女の”ナチュラルな感覚”が、当時の日本にとってどれだけ斬新だったか。
https://itunes.apple.com/jp/album/first-love-2014-remastered/811254484

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