見出し画像

J-R&Bオタクが選ぶ「令和に聴きたい平成のアルバム100選」Part.1

「令和」という字面にも慣れつつある今日この頃。ちなみに平成が元号の座を明け渡す瞬間、私はカラオケで「だんご三兄弟」に興じていました。なんでやねん。

さて、いよいよ迎えた新時代。どんなムーヴメントがいかなるアーティストを連れてくるのか、早くも気になるところですが、僕としてはまず、自分が過ごしてきた平成を今一度振り返っておきたいと思いました。その集大成が今回お届けする「平成のJ-R&Bアルバム100選」です。

文字通り平成時代に発売されたアルバムの中から「これは外せねぇな」と思う作品を100作選び、一つ一つ紹介文をつけました。

主な選出基準は以下の二つ。

・内容の品質が極めて高く、各時期のJ-R&Bをシンボライズする作品
・エポックメイキングな側面を持ち、その後のJ-R&Bの概念に影響を与えた作品

50作分のレビューなら以前にも書いたことがあるのですが、その倍の量は完全に未知なる世界。本当はもっと早くに公開したかったんですけどね…。

ただ、書き終えた今だからこそ言えます。
「名盤多すぎだろ!むしろそのさらに倍は紹介したいわ!」

文量が多いので僕史上初の二本立てです。
平成30年分のJ-R&Bを、たっぷり楽しんで帰ってくださいまし!

※先日公開した「J-R&Bと平成」のプレイリストも合わせてどうぞ。
https://itunes.apple.com/jp/playlist/j-r-b%E3%81%A8%E5%B9%B3%E6%88%90/pl.u-111masVyxLN

◆平成のJ-R&Bアルバム100選 1〜25作品◆

AI『2004 A.I.』(2004)
Def Jam Japanに移籍後、着実にファン層を拡大していたAIが2004年にリリースした快作がこちら。自身の代表曲「Story」も手がけた2SOULとの共作のほか、T.Kuraや今井大介も参加。アップからバラードまで手広く構える中、AFRAとTUCKER客演の「WATCH OUT!」では切れ味鋭い弾丸ラップも披露し、好事家からの株をさらに上げることに。ちなみに僕はEDの「Dreaming Of You」がお気に入り。https://itunes.apple.com/jp/album/2004-a-i/76121753

akiko『crazy about you』(1995)
数年前、とある音楽関係者が「日本におけるメロウは彼女が先駆けではないか」との持論を話してくれたのですが、まさしく。Lowrellのド定番「Mellow Mellow Right On」 を使用した「Mellow Mellow」や、コード進行にニヤリとするしなやかなタイトル曲など、紛う事なき90’sの趣。黄金時代の煌めきをここ日本で、それもブームになる以前から謳歌していた稀有な存在です。

ACO『Kittenish Love』(1996)
最大ヒット「悦びに咲く花」から遡ること3年、彼女を司るプラットフォームはスムースなヒップホップ・ソウルでした。いじらしい乙女心を猫撫で声でアウトプットする様は、さしづめCharaの系譜。原点にして方向性を決定づけた「不安なの」、ユニークな言い回しがリフレインする「凍っちゃったんだわ」など、女の子のメルヘンな側面をことごとく映し出した世界観がとかく愛おしい。
https://itunes.apple.com/jp/album/kittenish-love/1063949901

azusa『Life is Colorful』(2017)
発売当時は全く話題になりませんでしたが、鑑賞する価値は大いに有り。長野県のクラブを拠点に活動する女性シンガーで、本作のレコーディングは出産などの合間を縫って行われたとのこと。注目すべきはトラック面で、ヒップホップ/R&Bシーンであまねく重宝されてきた必殺ネタをふんだんに使用。ここまで熱心なのも今時珍しく、意外性だけで十分楽しめるはずです。
https://itunes.apple.com/jp/album/life-is-colorful/1287436103

安室奈美恵『PLAY』(2007)
『STYLE』(2003年発売)でヒップホップ/R&Bに生きる決意をエネルギッシュに体現し、女帝としての威厳を強めた『Queen of Hip-Pop』(2005年発売)では野望を湛えたキラーチューンで再燃した人気を不動なものに。からの、本作。かねてからのクリエイティブ・パートナーであるT.Kura/michico、そしてNao’ymtの才腕はいよいよ神々しい域に突入。アルバムの安定感も一層極まり、安室奈美恵が志向する一級品のエンターテインメントがダイナミックに駆け巡る。大衆支持が根強い「Baby Don’t Cry」収録とあって、安室入門としても薦めやすい一枚。

ARIA『ARIA』(2006)
元々はAsukaの名義で活動していたものの、2005年に改名し再デビュー。1stシングルは、Rich Harrisonが得意とする”通称・ドカドカ系ビート”を敷いた「Beautiful Life」で、当時のJ-R&Bではかなり革新的でした。手がけたのは、ARIAで実質的なプロデュース・デビューを飾ったSTY。ARIAの身のこなしも押し並べて鮮やかで、両者のR&B愛が巧妙に結実した作品だなと。客演陣も豪華で、とりわけKayzabroとの「I To I」は何とも言えない哀愁を誘います。
https://itunes.apple.com/jp/album/aria/183186750

w-inds.『Blue Blood』(2015)
前作『Timeless』でレトロモダンなる古き良きマナーを標榜し、大きな音楽的進化を遂げたw-inds.は、本作でその解釈をさらに拡張。80’sディスコ・チューン「In Love With The Music」、 世界的ヒット曲「Blurred Lines」路線のおしゃれファンク「Show You Tonight」など、無条件で高揚するナンバーが軒を連ねます。一方で、TinyVoice Productionの面々が拵えた「I’m all yours」ではホーンの音色と橘慶太のファルセットが心地よく揺れ、一瞬で恍惚の極致へ。
https://itunes.apple.com/jp/album/blue-blood-%E9%80%9A%E5%B8%B8%E7%9B%A4/1010522377

UA『11』(1996)
今に続くJ-R&Bの始祖とも言うべき衝撃作「情熱」も収録した、UA初のフルアルバム。アシッド・ジャズ文脈のリード「リズム」、Charaも手がける大庭良治によるコズミックな打ち込みが展開する「落ちた星」、アンニュイなドラムンベース「バラ色」など、一曲ごとにガラリと世界を変え、それぞれがスケール感のあるポップネスを提唱。いやに俗っぽいメロディ・ラインの「ランデブー」がかえって異質さを放つほど。ただやはり「情熱」の余韻があったからか、他のアルバム作品よりもR&B/ソウルとの距離感は近め。
https://itunes.apple.com/jp/album/11/111155188

宇多田ヒカル『First Love』(1999)
本作の爆発的なセールスによって、完全に時の人となった宇多田ヒカル。先んじてMISIAらが築いていた国産R&Bの地位を急速に押し上げた張本人であり、高校生とは思えないセンシティブな感性と先鋭的な作曲能力で、青春の真っ只中にある純真無垢なマインドを描き出しました。「Automatic」や「First Love」の素晴らしさは言わずもがな、メッセージ性も強いミドル・グルーヴ「time will tell」、Sting「Shape Of My Heart」のギターフレーズを引用した「Never Let Go」など、どこを取っても瑞々しいポピュラリティとグルーヴ。この彼女の”ナチュラルな感覚”が、当時の日本にとってどれだけ斬新だったか。
https://itunes.apple.com/jp/album/first-love-2014-remastered/811254484

URATA NAOYA『TURN OVER』(2009)
近頃、巷を騒がせた彼ですが、作品に何ら罪はありません。と言うのもこのアルバム、今井了介率いるTinyVoice,Productionが全面的に関わっており、R&B濃度が非常に高い。Timbalandよろしくフューチャリスティックなエレクトロ趣味が至るところに反映されているほか、「I’m think I’m in love」「Too Late」といった鉄板スロウ・アプローチ、さらには中近東テイストのダンス・チューンまで、ソロデビュー作にしてはあまりにも完璧なお膳立て。URATA自身のボーカルも遊び心たっぷりで十分な及第点なので、ぜひ聴いてもらいたいです。
https://itunes.apple.com/jp/album/turn-over/302154576

AK『AK TRILOGY』(2002)
上品なAORに興じるアーティスト”というイメージを、R&B/HIP HOPとの邂逅によって塗り替えたのが1998年発売のアルバム『yes』でのこと。本作は、それからおよそ4年間におよんだセルフプロデュース期の集大成とも呼ぶべきベストアルバム。ロンドンやニューヨークといった異国の地で制作されたウェットなメロウ・トラックの数々と、Ciaraを彷彿とさせる抜けの良いウィスパーボイスの妙は聴き手に癒しをもたらします。

F.O.H『F.O.H Ⅱ』(2001)
現Full Of Harmony。本場アメリカと遜色のないR&Bを歌うグループとして一目を置かれ始めた彼らが、満を持してリリースしたのがこの2ndアルバム。収録曲の大半をAKIRAが手がけ、重厚なハーモニーがディープな世界へと引き入れる「It makes the worldgo around」から、「さよならが言えなくて」や「myシンデレラ」のようなメロディアスなラブソングまで幅広く提供。Destiny’s ChildやAaliyahらのソングライターであるVincent Herbertも、HIROのソウルフルなフェイクが映える「All I Want」で才腕を発揮。
https://itunes.apple.com/jp/album/f-o-h-ii/295366836

EMI MARIA『EUPHORIA』(2015)
作品ごとに商業主義の、言わばメロディアスなR&Bを尊重してきたEMI MARIAが、自らを内省するかのようにエキセントリックな領域へと躍り出たのが本作。公私ともにパートナーであるSEEDAを客演に招き、ダウナーなロートーンを響かせるリード曲「91」に顕著なように、SZAを思わせるやや不穏かつエレガントなオルタナティブR&Bを全体にわたって謳歌。これぞ新時代の調べ。音数を削ぎ落とした世界で、彼女のニヒルじみた節回しは遂に正当な昇華を迎えたのです。
https://itunes.apple.com/jp/album/euphoria/991251978

EMYLI『Flower Of Life』(2003)
m-floとの共演で一躍スポットライトを浴びたうら若き女性シンガー。本作発売当時の年齢は、宇多田ヒカルのデビュー時と同じ15歳。堪能なフェイク技術、聴覚のど真ん中を射止める表現力など、まさに早熟すぎる才能を持つ歌姫でした。楽曲にも恵まれ、ティーンの失恋模様を描いたデビュー曲の「Rain」、真摯に歌い上げる清廉たるミドル「Luv Me Right」など、大人びた歌唱を悠々と解放させたものばかり。のちに安室奈美恵のボーカルディレクションなど裏方で活躍する彼女ですが、願わくばまたいつか表舞台にカムバックしてほしいところ。

m-flo『Planet Shining』(2000)
「LISAの声が若い!」という感想もそこそこに、デビューして1年足らずでこの完成度というヤバさにいつもハッとする。HIP HOP?R&B?結局彼らって何なの?感。今でこそ当たり前となったそのカオスを、天才肌の3人がものの鮮やかにアートへと束ね上げていく。最高じゃないですか。歌もの視点では「Come Back To Me」「L.O.T.」「been so long」などが根強い人気に。ひときわハーコーな「Quantum Leap」のラップ合戦も捨てがたい。
https://itunes.apple.com/jp/album/planet-shining/1156378198

L.L BROTHERS『Back Again』(2004)
ダンス・ブームにまたがって90年代初頭に一世を風靡した彼らが、まさしく再び台頭を果たすべく制作したのがこちら。筋骨隆々のビジュアルはそのままに、南部サウンドとの融合で持ち前のダンス&ボーカルはますます豪快に。当時流行していたcRunk&Bを採用した「Big Butt, G-Cup」、豪遊生活を妄想するワイルドな「That’s My Life」と、独自の”シャレ”も含みつつ男のロマンを体現。おまけに「Forever」のようなバラードまで絶品なのだからため息が出ます。

荻野目洋子『Chains』(1997)
なぜ「ダンシング・ヒーロー」の姐さんがこのエントリーに?と思う方もいるかもしれませんが、このアルバムについては本当に別格なのです。プロデュースには、あの大沢伸一やMONDAY満ちるが参加。当然、音楽性はR&B、ファンク、ヒップホップなどのクラブ・ミュージックが主体で、ゴージャスなホーンセクションを従えたUA作詞の「LOOK UP TO THE SKY」、Chara「Junior Sweet」を彷彿とさせる大沢カラー全開ミドル「NEVER CRY LIKE A RIVER」など、洗練されたトラックがズラリ。普通に今聴いてもカッコいいし、当の荻野目さんも色気の大盤振る舞い状態で最高にクール。
https://itunes.apple.com/jp/album/chains/923915691

ORIGINAL LOVE『変身』(1999)
かつての渋谷系におけるソウル担当と言えば、ラヴ・タンバリンズとORIGINAL LOVEを思い浮かべる人も多いのでは。今回は、個人的に断トツで好きな「プライマル」が収録されたベストアルバムを選出。小西康陽との疾走感十分な共作「夜をぶっとばせ」、甘美に揺れるギターリフが印象に残る「ヴィーナス」、さらには代表曲であるアーバン・ソウル「接吻」ももちろん収録と、現在のBRADIOなどに続く軽妙なファンク志向をとくと楽しめる一枚。「プライマル」に関しては、Vol.田島貴男が醸す繊細で寒々しい情緒がただただ良い。痺れる。

ORITO『Soul Food』(1997)
メンフィス・ソウルの重鎮であるWillie Mitchellがプロデュースしたアルバム『SOUL JOINT』で逆輸入的にデビューを果たしたORITOの2nd。全編日本語詞で構成され、「De Ja Vu」のように温もりあるソウル・ムードを湛えた楽曲から、90年代らしいアーバン・ポップ「そして僕を愛して」まで親しみあるラインナップ。彼のしゃがれた歌声が映えるファンク「Upside Down」が、やはり頭一つ抜きん出て黒いか。以後もJ-HIP HOP/R&B界においてユニークな功績を打ち立てた彼ですが、2008年に急性心不全で逝去。現代での活躍も是非とも見てみたかった。

KAITA『KAITA』(1996)
ボーカル・能勢海太の朗らかな歌いっぷりが清々しい6ピースバンド。ファンクとソウルの成分を強く含有したAORといったところで、トータルプロデュースはEarth,Wind&FireのMaurice Whiteが担当。目の覚めるようなパリッとしたプロダクトにも合点がゆきます。破裂音のごとく威勢のいいパーカッションが活躍する「LOOKING FOR LOVE」や「いい感じ」が白眉で、特に後者は全盛期のオザケンよろしく力の抜けたソウルン・ポップ。

加藤ミリヤ『Diamond Princess』(2007)
葛藤や怒りといった自身の本音を言語化し、瞬く間に同年代女子の代弁者となった加藤ミリヤ。古典の引用=サンプリングにも積極的で、本来の拠点であるストリート界隈にも着実に目配せを行なっていました。仲間や家族との繋がりに強くフォーカスが当たった本作は、飛び抜けたキラートラックこそないものの、その分シンガーソングライターとしての潜在能力を自ら試しているような意匠が見られ、総合的な視点ではなかなかクリエイティブ。
https://itunes.apple.com/jp/album/diamond-princess/569857648

KANA『KANA』(1995)
EAST ENDのYOGGYが全面プロデュースを請け負った、知る人ぞ知るヒップホップ・ソウルの名盤。同氏がCDの帯に「わかりやすく言うと『HIP HOP+日本語の歌』ただそれだけです』と寄せている通り、収録曲の大半はオールドスクールの流儀に基づいたシンプルなそれ。YOGGYのほか、世に知られる前の坂間広平(MELLOW YELLOW)やPES(RIP SLYME)らも裏方と客演で参加し、時代的なムードを盛り立てます。若干おぼつかないKANAのボーカルまで含めてアツい。
https://itunes.apple.com/jp/album/kana/313181508

COLOR『RED ~Love is all around~』(2005)
EXILEのATSUSHIの行動によって集まった4人組コーラスグループ。次作からATSUSHIはプロデュースに回るため、彼がボーカリストとして終始参加しているのは本作のみ。「Sweet Memories」や「Dear Mama」など、レジェンドたちの轍を正攻法で辿った芳醇なバラードがいくつも収録されており、鑑賞中の多幸感たるや天井知らず。波のように際立っては溶け込む個性豊かな各ボーカルも瞠目もので、あらためて最高のグループだったと思い知らされました。
https://itunes.apple.com/jp/album/red-love-is-all-around/252586771

清貴『I’ll Be There』(2001)
宇多田ヒカルのデビュー以降、10代で表舞台に躍り出るシンガーも珍しくはなくなりましたが、男子でこれほど脚光を浴びたのは彼が初めてではないかと。ホーンが唸るファンク、'N Syncを彷彿とさせるダンス映え必至のポップ、もちろんバラードも、パワフルかつ繊細な歌声にかかればあれよあれよと一級品に。ヒット・チューン「The Only One」は2バージョン収録。
https://itunes.apple.com/jp/album/ill-be-there/720303543

COOL M.B『Wherever U r』(2007)
ただいまAmazonでめちゃくちゃ高騰しておりますが…名盤なのでご紹介。福岡R&Bシーンの代表的アクトで、DaiheyとYas-Oで構成される兄弟デュオ。2ndフルアルバムにあたる本作には、Full Of Harmony、LL BROTHERS、HI-Dといった全国区の人気者も参加しています。注目は、堂に入ったハーモニーも楽しめるシルキーなスロウ「Wherever you are」、ブルージーなメロディに乗せて勇壮なパワフル・ボイスを聞かせる「Fly Again」あたり。サウンドはややチープですが、男気も内包したテクニカルな歌声で挽回しているので無問題。

久保田利伸『BONGA WANGA』(1990)
誰もが平伏せずにはいられないJ-R&Bの御大は、2019年時点で15作のオリジナル・アルバムを発表(久保田利伸名義のみ)。人によって好きな作品は分かれるところでしょうが、活動初期のアーシーな音使いと、そこから生み出されるとびきりのグルーヴはやはり特筆しておくべきかなと。序盤の「大ボラ of LIFE」から持ち前のハイトーンは絶好調。「MAMA UDONGO 〜まぶたの中に〜」ではアフリカン・ミュージックに接近し、のちにシングルカットされる「Be Wannabe」はチャキチャキのNJS。ファンキーとは何たるかを朗らかに伝えてくれる快盤です。

◆平成のJ-R&Bアルバム100選 26〜50作品◆

久保田利伸『As One』(2000)
二度目の全米リリースを決行した20世紀最後の年、久保田は日本版のアルバムも発表。90年代の頃の作品と比べると楽曲は随分とスムースに洗練され、毎度繰り出されるお得意のレイドバックとの親和性もため息もの。他方、「Party People in The Planet」は活動初期の音楽をセルフリメイクしたような様相で、ひときわファンキー。もちろん、「the Sound of Carnival」と「Always Remain」という”久保田セツナグルーヴ”の二大巨頭もお忘れずなきよう。

倉木麻衣『delicious way』(2000)
方々から「宇多田ヒカルのコピー」というレッテルを貼られていたのが懐かしいところですが、内容そのものは涼しいウィスパーボイスが冴え渡る品行方正な歌ものアルバム。中盤の「Stepping∞Out」から「Can’t get enough」にかけてはディーヴァとしての存在感を強めていたりと、R&Bへの意欲もビンビン感じさせてくれます。個人的には、「NEVER GONNA GIVE YOU UP」がそれまでになかったクールな引き出しで、シングル発売時からお気に入りでしたが、世間にはいまいち刺さらなかったようで残念。

Crystal Kay『almost seventeen』(2002)
ヒット・シングル「hard to say」収録。幼い頃から音楽活動しているがゆえ、アルバムごとに映し出されるペルソナは毎回微妙に異なっており、本作では淡い恋心や他者への思いやりなど大人への階段をのぼる少女のひたむきな姿がビビッドに表現されています。その点で「Girl U Love」や「Boyfriend」はまさしく当時の彼女だからこそ歌えたR&Bだと思うし、エバーグリーンな香りが芳しい。全編を通して、当時狂ったように聴いていました。
https://itunes.apple.com/jp/album/almost-seventeen/576306269

黒川沙良『Prelude』(2016)
クラシカルな香りのするミドルR&B「ガールズトーク」(デビュー作『On My Piano』収録)を聴いて、新人らしからぬ円熟味溢れる存在感にえらく目を見張ったものです。初のフルアルバムとなる本作では、元来より得意としてきたピアノの弾き語りに主眼を置きながら、ソウルフルなグルーヴ冴えるアップ・ナンバーにもトライ。その一つが、高校二年生の時に作ったという「Now Best One」。恋に高まる少女の可憐な心情描写が、MANABOONによる軽快なアレンジとマッチ。ピアノ・ソウルの新たな地平を見ました。
https://itunes.apple.com/jp/album/prelude/1171302033

CHEMISTRY『The Way We Are』(2001)
21世紀に入り、少しずつ沈静してきたJ-R&Bが再び軌道に乗ったのは、彼らによるところが大きかったかもしれません。松尾潔の采配のもと、R&Bと歌謡曲に共通する”ちょうど良い湿り気”を全体をまぶした本作は、都会的な打ち込みサウンドと川畑・堂珍の息の合った応酬で展開され、誰もが認める大ヒットアルバムに。シングル曲に加え、ケツメイシのRyojiが提供した「愛しすぎて」などは、カラオケでも勢いが凄かった。みんな歌ってましたから。
https://itunes.apple.com/jp/album/prelude/1171302033

ゴスペラーズ『FRENZY』(2002)
ターニングポイントとなった『Soul Serenade』と悩んだのですが、シングル「ひとり」の国民的ヒット以降、脂の乗っていた最中にリリースされた本作も負けず劣らずディープなR&B作品。注目は、蜜月にあるRhymesterとのコラボレーション作「ポーカーフェイス」、村上てつやと黒沢薫の色気滴るボーカルに心震えるTeddy Bishop(Usher、Aaliyah等
)関与のスロウ「Body Calling」、三味線の音色をフィーチャーした異色のアッパー「真夜中のコーラス」など。『Soul〜』に続き、K-Mutoが良い仕事をしております。
https://itunes.apple.com/jp/album/frenzy/572824259

THE CLASS『WE R THE CLASS』(2016)
テン年代中期にコアなJ-R&Bファンを沸かせたのがこの4人。Naoki、Yo∞Hey(現Ymagik)、スズキ、Gwanghoの4人はそれぞれソロとしても活動。かねてよりブラックミュージックのオーセンティックたる側面を崇拝し、本作でもBoyzⅡMenリスペクトなバラード「By Your Side」、爽快NJS「One In The Summer」、はたまた今様のトラップ・アプローチ「Troublemaker」など、ボーカルグループの枠組みにとらわれないスムースな立ち回りを披露しています。ズバリ、知らなきゃ損、聴かなきゃ損。
https://itunes.apple.com/jp/album/we-r-the-class-ep/1085400136

SATOMI’ 『Diamondlily』(2007)
UKのレーベルからデビューした後、2006年にシングル「Yesterday」で日本デビューを飾った女性シンガー。弱冠17歳で世に送り出したこの1stアルバムは、全21曲という規格外のボリューム(うち6曲がインタールード)。浮遊感のあるハスキーボイスを駆使したミドルやスロウがとりわけ絶品で、夏の定番J-R&B「Candy magic」、伊秩弘将が手がけた神秘的な趣のラブバラード「Fairy’s Stick」など、糖度高めのメロディラインも器用に乗りこなしています。

椎名純平『椎名純平』(2001)
ライブを中心に今日まで精力的な活動を続けているシンガーソングライター。椎名林檎の実兄としても知られています。D'Angelo系譜のほろ苦いネオソウルと、大都会の夜のごとくソフィスティケートされたAORの中間を取ったような作風で、自在なファルセットとストリングスが抑揚たっぷりに宙を舞う「世界」、アンニュイなリズムがまどろみへと誘う「珈琲屋」など、演奏隊との渾然一体により奇跡的な奥行きを実現。やや粗を残した人情味ある歌声は、大人になった今聴くといっそう沁みます。

J Soul Brothers『J Soul Brothers』(2009)
EXILEの前身としてJSBがデビューしたのは1999年のこと。それから10年が経過し、全く新しいメンバーで二代目JSB(のちに全員がEXILEの一員に)が誕生。「My Place」のようにまんま”エグ印”の爽やかチューンもあるものの、メインを担うのはあくまでもエモーションほとばしる肉体派R&B。T.Kura、Nao’ymt、STYら日本の匠たちがこぞって参加している点でも実に尊い一枚。
https://itunes.apple.com/jp/album/j-soul-brothers/305033378

滴草由実『A woman’s heart』(2013)
日本でいち早くオルタナティブR&Bに目をつけ、モノトーンの世界を謳歌してみせたのがこの滴草由実。正直、本作よりも後発のアルバムの方がその純度は高いです。が、そこに至るまでに自分の情熱をいかに放つのか、少しずつ試行錯誤を行いながら焦点を定めていくプロセスが、このアルバムには生々しく投影されています。「Dreaming」や「feel」あたりの音像を優先にした壮美なトラックは、まさしく本作の象徴。

嶋野百恵『Roots』(2000)
ハスキーな歌声が強い印象を残す嶋野百恵の2ndアルバム。「Hot Glamour」「Next Lounge」といったシングル曲の威力もさることながら、今なおライブで披露される「ためらいの糸」など、アルバム曲も夜更けに聴きたいシックなテイストばかり。そして嶋野百恵と言えば、女性の煩悩を独特のタッチで描き出すその歌詞がとても魅力的。明け透けでありながらも品があり、一歩引いた微かなニュアンスに都度ドキッとさせられる。そういう叙情的な所作も含めて、”オンナ”なんだよなぁ。

清水翔太『PROUD』(2016)
彼にとって、そして彼のファンにとっても、このアルバムは未だかつてない大きな転機になったはず。前年リリースのベスト盤でキャリアに区切りをつけた清水翔太は、自身の内なる声をより忠実に、より誠実に音楽へと落とし込んでいくことに。その証拠に、サウンドの質感はおろかリリックに潜む思想まで段違いにクリアとなったそれは、ラップ交じりに刺激的な攻勢を仕掛ける「Good Conversation」、シミショー流トラップ・ミュージックの源流「Drunk」など数々の名トラックを発信。近年の彼を探りたいなら、まずはこのアルバムから。
https://itunes.apple.com/jp/album/proud/1089811032

GIANT SWING『GIANT SWING DELI』(2007)
T.Kuraファミリーが集結した珠玉のプロジェクト盤。MICHICO、LL BROTHERS、WARNERが和気藹々とポジティブなメッセージを歌うマイクリレー作品「GET UP」が象徴するように、躍動感のあるブラスや美しいループでもってR&Bの在るべき姿を表現。参加アーティストたちの歌唱も見事というほかなく、特にORITOとMICHICOがそれぞれ担当した終盤のバラッドは息をのむほど迫真。

Jine『Classics』(2014)
Nao’ymt、Jun、Eijiの三名で構成される日本屈指のR&Bコーラスグループ。今なお高値で取引される2000年発表の処女作『Jine』を除くと、アルバムはベスト盤的趣向の本作のみという寡作ぶり。にも関わらず根強い人気を獲得し続けているのは、個性豊かに香るボーカルワークとそれらを昇華させる緻密なプロダクションあってのもの。「Bedroom」「If I Said」など、J-R&B史の輝かしきレガシーがこの一枚に。
https://itunes.apple.com/jp/album/classics/834044606

JASMINE『GOLD』(2010)
デビュー作「sad to say」が同世代の女性から共感を呼んだJASMINE。”宇多田ヒカルの再来”とまで囃されたのはあながち大げさでもなく、若者特有の悲痛を口語表現たっぷりに書き殴ったリリック・センスや、レイドバックを自然にこなす個性的なリズム感を知るにつけ、「どエライ娘が出てきたな」と当時かなり驚いたものでした。本作にはJeff MiyaharaやBACH LOGICらが参加。ラップの流儀も存分に重んじるJASの勝気を、多彩なサウンドワークでもって巧みにすくい取っています。
https://itunes.apple.com/jp/album/gold/570057737

JAMOSA『One』(2007)
骨太なビートに乗せて上昇志向を響かせる一曲目「DREAM」から、気高きソウル・ディーヴァの風格がムンムン。セッション感の強い素朴なサウンドが光る「U&Me」では絶望の払拭を願い、そしてDABOとのシリアスなコラボ「手紙」では戦争廃止をスローガンのごとく掲げるなど、社会的な思想も堂々とした姿勢で歌い上げる強者です。個人的には「SO ADDICTED247365」を推薦。ややシャープ気味な音程も含め癖になるハードなヒップホップ・ソウルで、発売当時は「よくこれをシングルで切ったな」と驚きを隠せませんでした。
https://itunes.apple.com/jp/album/one/720485971

SUGAR SHACK FAMILY『SUGAR SHACK FACTORY』(2011)
豪腕な男性シンガーが一堂に会し、クラブシーンからJ-R&Bを牽引した名イベント「SUGAR SHACK」。初のコンピレーションCDとなった本作では、荒涼とした地が目に浮かぶの勇壮な鎮魂歌「リリィ(CIMBA)」、実直に歩いていく姿勢を甘美な歌声で示した「希望の未来(LEO)」、お気楽ムード全開の「Damn Girl!(LL BROTHERS)」など、それぞれの個性を費やした新曲を多数収録。他方、4つ打ちビートがエネルギッシュにほとばしる「Starting Over(TSUYOSHI)」を筆頭に、当人との意外性を感じさせるアプローチも。

Showlee『dualism』(1999)
J-R&B最盛期にデビューを迎えながら、ヒットには恵まれずわずか1年弱でフェードアウトしたShowleeの1stアルバム。内容そのものは慎ましくも完成度の高い仕上がりで、線の細いボーカルが瑞々しく躍動するアップ「12時間前」、IncognitoのBluey提供の熱っぽいジャズ・ファンク「クロコダイル・ティアーズ」、さらには結婚式のBGMとしても最適な深淵たるバラード「FAITH ~Love is in your hands~」まで幅広く収録。彼女はその後、ゴスペルシンガーとして再スタートを切っているので、気になる方は動向を追ってみては。

SIRUP『SIRUP EP2』(2018)
彼のキャリアを長年見守ってきた身としては、大手企業のCMソングへの起用といった面目躍如の活躍ももちろん嬉しい。ただ一番の快挙は、彼が現在に至るまでソウル・ミュージックとの対峙をブレず崩さず貫いてきたこと。ラップ・シングで軽快に躍る先述の話題曲「Do Well」しかりフランクな歌唱で届ける「Maybe」しかり、そしてネオ・ソウルへのビタースウィートな回帰「LOOP」しかり、彼がいかに情熱的に音楽を愛でているかを知らしめる名曲ばかりで、聴くたび胸の火照りが止まないのです。
https://itunes.apple.com/jp/album/sirup-ep2/1409480058

Cindy『Don’t be afraid』(1991)
山下達郎や久保田利伸のコーラスなどでも知られる女性歌手の三枚目。杏里や中山美穂、GWINKOあたりを彷彿とさせる軽やかなブラコン作品で、ドラマティックなミドル・スローを数多く収録。とは言え、本作のハイライトは冒頭の「Tell Me Why」以外に考えられない!ファンキーなビートに否応なく心が高鳴るし、NJSに火がつき始めている今だからこそその聴き応えもひとしお。
https://itunes.apple.com/jp/album/dont-be-afraid/1304288407

CIMBA『Words and Notes』(2010)
優しくて野性味があって、時にセクシー。これら”良い男要素”をメロディー、リリック、歌声でもって自在に操ったのがCIMBAその人でした。”輪廻転成”を感動的に描いた「REPLAY」や宏実とのデュエット「奇跡」などの配信ヒットを経たこの2ndフルアルバムで、彼は孤高とも言えるCIMBAブランドを確立。ラッパー勢を交えたアッパーも、情感豊かなバラードも間違いのない美味しさ。
https://itunes.apple.com/jp/album/words-and-notes-deluxe/1061003066

SUITE CHIC『WHEN POP HITS THE FAN』(2003)
一般的に、「安室奈美恵がR&B路線へとシフトチェンジすることになった契機」と目されるアルバム。事実、彼女はスタイリッシュな現行HIP HOP/R&Bサウンドに波長を合わせるかのごとく低音重視のボーカルを多面で採用し、ブレイクスルーな歌姫へと成長を遂げました。キラーチューンの「GOOD LIFE」や「“Uh Uh,,,,,,”」はもちろん、AKIRA、今井大介、DJ CELORYら豪華クリエイターによるアルバム曲も多彩で、まさに盤石の仕上がり。

Sweep『I’m READY』(2009)
Sweepの歌声を聴くたび、”天性のボーカリスト”という概念が実感を伴って心に飛び込んでくる。ハイトーンがどこまでもクリアなのは元より、ライブでは音源以上に素晴らしいパフォーマンスを繰り出してくるから最高なのです。このフルアルバムは、そんな彼の豊かなバリエーションが玩味できる至高の一作。EDMでもポップでも、いつものSweep節で首尾よくキメるセンスの良さ。アルバムの新作はご無沙汰なので、早くリリースして頂きたいところ(ご本人にはずいぶん前に伝えたんですけども…)。
https://itunes.apple.com/jp/album/im-ready/326800176

Part.2へつづく・・・・・・・・・


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
25
J-R&Bをはじめとする歌モノ狂。もともとはJapanese Black Styleというサイトを7年間やっておりました。
コメント (1)
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。