見出し画像

dosというTK時代の知る人ぞ知る申し子

少し前まで、小室哲哉関連の楽曲をよく聴いていました。かつての小室哲哉は、J-POPのヒットメイカーとしての活躍の傍ら、日本でのR&Bの実現にも積極的に熱を注いでいたプロデューサーの一人なので、全盛期が過ぎた今なお無性に聴きたくなることがままあります。

彼が送り出したアーティストの中で特に印象的だったのが、1996年にデビューを果たした3人組ダンスボーカルグループ、dos。後にモーニング娘。やCHEMISTRYらを輩出した「ASAYAN」の出身で、メンバーはアイドルから同グループのメインボーカルへと成り上がった西野妙子ことtaeco、後に小室哲哉と結婚(そして離婚)することになる現シンガーのasami、そしてタレントとして現在もお茶の間に広く知られるKABA.ちゃんことkabaの3人(今見ると随分とカオスなメンツ・・・)。実質的な活動期間は1年ほどと短いものでしたが、R&Bをモチーフとしたグルーヴィーかつ艶っぽいサウンド・プロダクトが主体のdosは、当時数多いた小室ファミリーの面々の中でも異彩を放つ存在でした。

たとえばこれ、デビュー作の「Baby Baby Baby」。抜けの良いメロディ・ラインと吸い付くようなミドル・ビートを掛け合わせた、TK流フロア・アプローチ。そもそもdosは、あらかじめ”和製TLC”を標榜した上で結成された節があり、特にこの「Baby Baby Baby」に関しては『気付いてくれ』と言わんばかりに、あえて本家を匂わせる手法を多く採用しています。サウンドの質感は言わずもがな、タイトルはTLCの出世作からの露骨過ぎる引用だし、MVでのパジャマっぽい衣装には全米No.1ソング「Creep」を想起させられたり。楽曲の着地点こそ、当時の小室哲哉カラーを反映した王道たる出来ではあるのですが、こうやって世界規模のトレンドを敏感にキャッチし、貪欲に(時には実験的に)楽曲にしちゃうところは、今も昔もさすがだなと思います。

ついでと言っては何ですが、TLC。現在のJ-R&Bシーンの背景にブルーノ・マーズやクリス・ブラウンらの姿があるように、90年代のJ-POPシーンには、当時のトレンドセッターであったTLCからインスパイアを受けたとされる楽曲がいくつか存在します。

高視聴率月9ドラマ「ロング・バケーション」の挿入歌を担当した女子3人組、Section-Sの「little by little」。dosと同時期に活動していました。歌唱のほどはさておき、バック・トラックが笑っちゃうぐらい「Waterfalls」です。

あいにく動画がなかったのですが、Crystal Kayの2ndシングル「TEENAGE UNIVERSE~Chewing Gum Baby〜」は、同年一大旋風を巻き起こした「No Scrubs」系譜のメランコリックなバロック調リフを一部使用。手元に音源がある人は、ぜひ聴き比べてみてください。

もっともこれに関しては、「No Scrubs」を手がけたシェイクスピアからのインスパイアの面が強いかな。デスチャでも似た曲調あったし。

これとかもモロだね。

SPEEDの第一期ラスト・シングルも、この辺の流れにちょっと影響受けていると思うんだけど・・・さすがに強引?笑


この頃のJ-R&Bは流行としての確立を急いでいただけに、洋楽からのリファレンスを色濃く感じさせる曲がほかにもたくさんあります。お時間のある方は、いろいろ探してみてくださいませ。ちなみに、2006年にデビューしたFoxxi misQは”和製Destiny's Child"がコンセプトでした。時代は巡るんだぜ!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?