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【2001-2003】ラッパー×シンガーの珠玉コラボを振り返る

先日のdosに続き、今回も懐かしい音楽ネタを。

MISIAや宇多田ヒカルらの台頭によって、90年代末期のJ-POPシーンがR&Bに沸いたのは、その筋の音楽ファンなら誰もが知るところでしょう。ですが、個人的に日本のR&Bが一番面白かったのは、世紀が変わった2001年から2003年あたりにかけて。この頃になると、ブームの引き金となった一連の”歌姫ショック”は落ち着きを見せ、代わってヒップホップとの密な融合を掲げたフロア志向のアーティストが続々と頭角を現すようになります。旬なラッパーと手を取ったコラボレーションものが劇的に増えただけでなく、巷のB-BOY/B-GIRLの支持にも一役買うなど、ファッション性にも長けた音楽として、J-R&Bは着々と洗練を辿っていきました。

同時期にはアメリカでもラッパーとシンガーの共演作が爆発的なヒットを飛ばしており、日本もそのフォーマットに少なからず乗っかる格好にはなりましたが、元より互いに作用しながらムーヴメントを形成してきたジャパニーズ・ヒップホップとR&Bのコンビネーションは、商業的なそれを感じさせないほどのユニークな存在感と気概にあふれていました。むろん、この時期に送り出された曲はぐうの音も出ない名曲ばかり。ヒップホップとの連携によって円熟へと向かうJ-R&Bのもう一つの黄金期を、これから紹介する作品で感じ取ってみもらえたら幸いです。

まずはこの曲。Crystal Kayの出世作「hard to say」です。プロデューサーにm-floの☆Taku Takahashi、ラップと作詞にSPHERE of INFLUENCEとRIZEのJesseことSORA3000が参加した鉄板のコラボ・アンセム。ロング・ヒットを記録したこの曲によって、R&B×ヒップホップの方程式はよりポピュラーなものへと発展しました。

SPHERE繋がりで、kazamiのシングル作「リズム」。メロウな上モノとマッシヴなビートの取り合わせが幸せを運ぶ1曲。こないだ公開した僕のMIX作品にも入れさせて頂きましたー。(聴いてね!)

もういっちょSPHERE関連をチョイス。こちらは本人名義でAIが客演の「LUV YA」。ラヴァーズ・レゲエのサウンドが色っぽいグルーヴを生んだ名曲。基本的にSPHEREとシンガーのコラボものは外れなしです。

お次はAI繋がりでこちら。安室奈美恵がブラックミュージックに傾倒するきっかけとなったSUITE CHICの「Uh Uh,,,,,,」。今や歌い手として広く知られるAIですが、下積み期はこうしたラッパーでの登板が多々ありました。

こちらもMCなAI嬢。メインを張るのは、今なお現役のシンガー傳田真央。確かスキー用品のCMソングでした。

ZEEBRAやSPHEREと並ぶコラボ・キングとして一世を風靡したDABO。中でもHI-Dを招いた「恋はオートマ」は正真正銘のクラシック。アンニュイな掛け合いが最高です。

dosの記事にも登場したTylerが歌う”二股もの”。にしても彼女が相手する男性がDABOとBIG-Oって、後にも先にもない超濃厚なコンビでっせ。

またまたDABO。このいかにもB-BOY/B-GIRLなスタイルが当時めちゃくちゃ流行ったわけで。

ラップ・クラシックも多いBIG-O所属のSHAKAZOMBIEからこの曲。フックにてエキゾチックな節回しを披露しているのは、我らがmichico様。

当時B-GIRLの教祖的な立ち位置だったDOUBLEと、東海の雄である故・TOKONA-Xのクールネスたっぷりのコラボ作「Disturbance」。

DABOやS-WORDからやや遅れてソロデビューを果たした、NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDのXBS。Tinaをフィーチャリングした本作は、ブルージーに波打つ隠れた名曲。

ご存じ、F.O.H(現Full Of Harmony)とRhymesterの直球コラボ作「S.E.X」。銀行強盗に扮したMVも話題になりました。個人的にはフィーチャリングが入れ替わった「ウワサの真相」の方が好きだったな。

そして、やはりこの人は欠かせません、時代を作ったシマウマことジブさん。このシングル曲ではF.O.HのHIROと鯔背な掛け合いをかましております。当時のジブさんはキャリアの中でももっとも商業的に成功しており、ゴールデンの音楽番組にも普通に出演していました。

ラストは、先ほども紹介したHI-Dのメジャーデビュー作「Girlfriends」。色香立ち上るHI-Dの立ち振る舞いを援護するは、ZEEBRAによるリズミカルなフロウ。FIRSTKLASによる涼しげなトラックも◎。


という感じで、何曲か取り上げてみました。こうして見ると、主要なアーティスト数組による総当たり戦のように感じなくもありませんが、裏を返せばそれだけ、シーンの中核に居る人たちの足並みが揃っていたということ。後年の泣き歌コラボ・ブーム一つを取っても、彼らの鮮烈な功績なくしてはきっと実現しなかったんじゃないかな。

この時代にはほかにもたくさんのハーコーな名作が生まれていますが、挙げ出すと本当にきりがないのでまたの機会に書きたいと思います。R&Bシンガー単体の作品も取り上げたいしね!

ちなみにこの時期、巷の波に影響されて4LのTシャツとか着ていました。今となっては微笑ましい思い出。ではでは!

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