見出し画像

涸沢カールの印象



ナナカマドの赤色、ダケカンバの黄色、ハイマツの緑に覆われた3000メートル級の山々に囲まれた窪みへ菜月と2人で行ってきた。その場所は涸沢カールと呼ばれており、積雪が大きな氷になり重力によって流動して削られてできたくぼみだ。紅葉を見に出かけた。

妻と河童橋にて
七竈
七竈の紅葉、黄葉
涸沢名物のテント



 涸沢カールまで長野県の上高地から片道を徒歩で6時間ほどで着くらしいのだが、8時間ほどかかった。道は険しい。奥上高地とも呼ばれている。

 出発してすぐの上高地付近では微かに残る夏に目がいく。標高が上がるにつれ、草木の様子が変わっていく。歩が進むたびに季節が少しずつ変わっていく。それは山を歩く楽しみでもある。

 北アルプスの空気を心ゆくまで吸った。山芍薬を甘くしたような匂い、湿った土の匂い、動物の匂い、樹木が発するフィトンチッドの匂い。場所や標高が変わることでさまざまな香りを楽しんだ。中でも高い標高で森全部の匂いが内包されたかのような匂いはもう一度嗅ぎたいな、と下山した今も思う。山自身の匂いなのだろうか。良かった。

 植物のないいわゆっくりと歩いて山小屋により、ソフトクリーム。岩の道を歩きながら木陰に座り羊羹。そして涸沢カールでおでんとビール。格別だった。

 本格的な山登りは初めてだった。小屋で一泊した。夜は寒く、いくら着込んでも寒い。寝て起きると、日の出をみる。涸沢カールでの日の出は直接お日様を見ることは叶わない。東から太陽の赤い光が山筋を照らし、山脈や雲が赤く染まる朝焼けのことを指し、山がもっとも美しく見える現象の一つとされている。太陽で照らされた山を背に下山をする。危なっかしくはあったが、ペースを上げ6時間で麓まで戻れた。急な道中も文句を言いながらついてきてくれた菜月には感謝している。1人でなく菜月と帰ってこれたことに大きな意味があるように思う。食べ物が血肉を作るように、見たもの感じたものが感性を作る。 2人で色々なものを見て歩きたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?