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心象風景の旅6 深淵と槍 後編

俺の世界観の象徴の一つである「剣」が変貌した。
俺にとっては内世界の驚天動地の大変革だ。
超新星爆発のようなイメージと共に槍は出現した。

「槍…剣じゃない」
《そんなに珍しいか人の子》
ウルズだ。
なぜか乳白色の岩の上に座っている。

《剣とはなんだ、人の子》
「剣は…俺の…魂というか想いと言うか」
ウルズは口を歪めた。
《聞き方を変えよう、なぜ剣はある》

「戦うものがあるから。」
戦うもの。対峙すべきもの。
俺が対峙すべきものを見出すから剣もまた現れる。

《ならばtrue endは何と対峙する》

そうか。やっと解った。
剣は対峙すべきものがあるから生まれるもの。
つまりtrue  endが対峙すべきものがあった。
それはこの「深淵」だ。

じゃあなぜ槍に?
《相手が化け物の海だからな》

解らない。
こいつの言うことはイチイチまわりくどくて癪に障る。

《せっかちはレディに嫌われるぞ人の子。その槍は元型の影よ》
《言わば水面に映る月。お前の世界が凪いだが故に元型もまた影を落とし易くなったというわけだ》

だからなんで槍なんだよ。

あ。と閃いた。
一点に収束させるためだ。
過去、現在、未来を可能性という実態のない物から「現実」へと収束させるため。

つまり「深淵」はその逆。
さまざまな可能性をその中に孕んでいる混沌。

やっとさまざまに合点がいった。
でも逆に言うとこの「深淵」はそれほど厄介なものなのか?
正直解決方法も解らんしノープランで突っ込むには危なすぎる。

で、何より槍を持てる気すらしない。
指先で触ろうとする。
バチッと放電が起こった。
ほらね。
見た感じ「雷」なんだもん。

厄介そうな海と触れない武器。
まあ「深淵」の侵食がなくなったので燃え残った廃墟の街にでも行ってみるしかなさそうだ。


やっと終わった。

「剣」は俺のココロのアラート機能みたいな事らしい。
良いか悪いかは別として問題解決の象徴かと思ってた。

「剣」のほうは名前が降りてくるんだが、槍は槍なんですよ。
名前がつかないというか、名前を付けるのを躊躇うというか、なんか俺のイマジネーションじゃない異質さは感じたんだよな。

とりあえずどうにも出来ない事が解ったので「深淵」と槍は放置しとくしかない。

収束された現実と可能性の混沌かぁ。
なんかやな予感しかしないんだよな。

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