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ボルトアクションライフルの基礎知識 〜 構造の観点から銃を考える

本稿は『けもの道 2019秋号』(2019年9月刊)に掲載された記事を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。


ボルトアクションにはいくつかの種類があり、それぞれ違う特徴をもっている。メリットとデメリットをよく理解して自分にあった1 丁を選ぼう。

写真・文|小堀ダイスケ
取材協力|ガンルームシモン豊和精機製作所

※本稿写真に登場する弾はすべて模擬弾を使用しています。

アクションの基本的種類

ボルトアクションライフルは、アクション(機関部)の構造的な違いによっていくつかの種類に分けることができる。そのうち、狩猟用として一般的な物をあげるとすれば、大きく4つに絞れるだろう。

まず、すべての基本となる「モーゼルアクション」、その進化形ともいえる「ウィンチェスターアクション」、コストパフォーマンスにすぐれた「レミントンアクション」、そして、独自の特徴を持つ「サコーアクション」だ。

モーゼルアクションの歴史は古く、1890年代後半頃にドイツで完成されて以降、世界中で実用化されたあらゆるボルトアクションのルーツとなった。黎明期には各国メーカーが試行錯誤を繰り返し、日本の三八式小銃などは、ボルトを戻して閉じる際に撃針が起きる「コックオンクロージング」方式が採用されていたが、現代ボルトアクションでは、ボルトハンドルを起こすときに撃針が起きる「コックオンオープニング」方式がほとんどとなっている。

コントロールラウンドフィードとプッシュフィード

これらアクションの特徴を考えるとき、まず理解しておくべきなのが「コントロールラウンドフィード」(以下、CRF)と「プッシュフィード」(以下、PF)の違いだ。

CRFの場合、弾倉から上がってきた実包でなければ薬室に装填できない。したがって、1発しか撃たない場合でもいちいち弾倉に実包を込めなければならないのだ。

モーゼルやウィンチェスターのボルトヘッド。包底面の下側に「アゴ」がなく、弾倉から上がってきた薬莢を保持するコントロールラウンドフィード(CRF)

いっぽう、PFなら弾倉からはもちろん、薬室に実包を直接入れても閉鎖して撃つことができる。つまり、獲物を見つけてとっさに装填する場合、PFの方が若干だが早く射撃準備が完了するというわけだ。

レミントンのボルトヘッド。包底面の外周が壁でおおわれており、弾倉とは関係なく薬室に押し付けることで薬莢を保持するプッシュフィード(PF)

だが、ボルトを閉鎖する前に獲物に逃げられてしまったとしたらどうだろう。CRFならボルトが常に実包をくわえている状態なので、そのまま引けばすぐに実包が抜ける。しかし、PFではボルトと実包が離れているため、銃を傾けたり振ったりしないと薬室から実包が出てこない。これでイライラした経験をお持ちのハンターは多いのではないだろうか。

エジェクター方式の違い

もちろんどちらの場合でも、ボルトをいちど閉鎖すれば実包は抜ける。しかし、ここで問題となるのがエジェクターの違いだ。

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