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単発銃のロマン 〜 単身元折れ銃で標的射撃

本稿は『けもの道 2020春号』(2020年4月刊)に掲載された記事を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。


取材協力|茨城県狩猟者研修センター
文・写真|小堀ダイスケ

単発銃の可能性

水平二連に上下二連、自動、スライド、ボルトにレバー。散弾銃の形式は数あれど、単身元折れの単発銃ほどストイックな銃はないだろう。

連続して撃つことができないわけだから、ともすれば最新式の自動銃などに比べ、捕れる獲物が限定されるようなイメージがあるかもしれない。

だが、本当にそうだろうか。

実猟において、散弾銃の最大装弾数である3発を余さず有効に使える場面というのはそう多くはない。上空をカモの大群が通過するといった大チャンスは別として、鳥であれ大物であれ、結局、1発しか撃たなかったというケースの方が多いのではないだろうか。

特に、わなか犬を使って単独のイノシシ猟をやるというハンターであれば、いざというときに1発だけ撃てればそれで十分なのだ。

そう考えると、単発銃の有用性も決してバカにはできない。シンプルで扱いやすく、とにかく軽い。そういった意味では水平二連なども使いやすいが、ボクなどは、単発銃ならではの「1発で勝負する」というところにロマンを感じずにはいられないのである。

もちろんロマンだけではなく、その銃をよく理解して使いこなせれば、スラッグの命中精度や散弾の撃墜力において、連発銃にも決して引けを取らないだけの性能を実際に発揮できる可能性があるはずだ。

そこで今回、単発銃を使う5名のハンターに集まってもらい、各種の標的射撃をすることになった。銃は4丁が元折れ式で、もう1丁は元開き式の単発銃だ。口径は12番が1丁、20番が2丁、そして410番が2丁。さらに12番の自動銃を使う2名のハンターをゲストに迎え、性能面での違いを見る。

大阪、京都、栃木、2府1県より集結した単発銃野郎たち。各人が1発に込める思いには並々ならぬものがあるのだ
通常の上下二連用を切り詰めて自作したという大道さんの単発銃用ケース。コンパクトで持ち運びもラクだ
「よく見ると違うんですね」。一見よく似ていても、各銃のディティールの違いに興味シンシン
調整可能なライフルサイト付きの単身元折れ銃もある
銃はすべてハーフライフリングなしのスムースボア

標的射撃で性能の違いを見る

種目は50mのスラッグ射撃と、10mのトラップ射撃だ。

単発銃で50m先の大物を撃つことなんてまずないよ、などと笑うなかれ。わなの見回り中、遠くにポツンと立っているシカに出会った経験や、ちょうど良い距離を飛ぶヤマドリを見送ったという経験を読者の皆さんもお持ちではないだろうか。そんなとき、普段から射撃練習をしておけば、悔しい思いをせずに済むかもしれない。

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