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猟犬と猟師のはなし 〜 第2集

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猟犬・猪犬や猟師の世界に興味がある方におすすめ! 狩猟専門誌『けもの道』2018春・秋の2号に掲載された、猟犬・猟師にまつわるコラムや狩猟、競技会レポートなど計19本(+狩猟マン…
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#猪犬

【密着取材】猪咬み止め谷落とし 〜 猪犬と歩く猪単独猟

山梨県は富士山を臨む山中湖。その湖畔に暮らす猪猟師、羽田健志さんの猪狩り、猪犬を連れた猪単独猟に同行した。近年、各地の狩猟イベントで講演を務める羽田さんの、会場では語られることのない実猟の姿を追った。 取材・文・写真佐茂規彦 犬で猪と勝負する羽田さんは主に本川系四国犬(以下「本川犬」)を好んで使い、それをベースに繁殖させている。本川犬とは、四国犬の一系統であり高知県|本川村を発祥とする。 「本川の犬は訓練所でも山でも同じ動きで、(猟)芸は安定してる。鳴きも咬みもあるし

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【当世猪犬見聞録】日保登録四国犬で猪を獲る猟人

文・写真八木進 取材日|平成30年7月19日 猪犬がルーツとなった四国犬犬の起源は1.5万年前から3万年前ごろに狼から進化したという説が有力であった。最新の研究では年代は特定されていないが、「かなり以前」に狼から「野生犬」の祖先が発生、その中から人に馴れやすい個体が飼い犬となったという説も注目されている。 狼説も野生犬説も発生地は「東アジア」が定説になっており、ミトコンドリアDNA解析からさらに最新のマイクロサテライト解析でも東アジアの現生犬が犬のルーツに近い種とされ、

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【猪犬閑話】姿芸両全を考える

文・写真八木進 猟師が追求する姿芸両全とは|猪犬を使っての猪猟師にとって「姿芸両全」は魅力ある言葉である。日本犬の愛好家にとっては特に「姿」に固執する猟人が多く、「姿芸両全」は究極の目標とも言える。 日本犬を例にとると「姿」が良い犬とは一般的には日本犬保存会(以下、日保)の日本犬標準が基になっているようである。日本各地の地犬を日本土着の「日本犬」として保存が開始されたころ、当然として体型の基準が必要となり、当時の状況を詳細に調査した理想の体型を標準とし、昔も今も不変とな

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【猪犬閑話】猪犬の「咬み」を考える

「咬み」の強さの追求による混血私が狩猟を始めた40数年前は、猪が今ほど多くなく猟場は大山が中心であり、猪猟といえば単独猟か多くても3名程度で行うものであった。 猪犬の条件としては、広いレンジを高スピードで狩り、見つけた猪は逃がさない強い「咬み」が必要であった。 幸いにも先代から受け継いだ「紀州系猪犬」がそれなりの猟技を持っていたこともあり、私の猪猟は一応「咬み止め」に近いものであったが、世間では日本犬より強い咬み止め犬を求める風潮が強く、アルゼンチンから来た「ドーゴ」(

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全国から猪犬猟師が集まる「熊野山本猪犬訓練所」の1日に密着してきた|2018年

全国から猪犬猟師たちが集まった平成30年度が始まって間もない4月15日、和歌山県・熊野山本猪犬訓練所には地元関西からだけでなく遠く北関東からも猪犬猟師たちが集まった。 春の恒例、猪犬猟師たちにとってはいわば新年度の風物詩のようなもの。「けもの道」の取材でも毎年のようにお世話になっていて、各地の猟師と顔を合わせるのが楽しみでもあり、1年ぶりに会って元気な姿を見るとこちらが安心する参加者もいる(高齢化が進む猟師の世界では冗談抜きのけっこう真面目な話だったりする)。 この訓練

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深いブッシュに若犬も恐怖!? 中島猪犬訓練所所長に “初心者限定” 訓練会の狙いを聞いた

文・写真|網地貫 3条件を掲げた訓練会平成30年4月22日、数日前までの涼しさから一転、初夏を思わせる強い日差しが照りつける中、三重県・中島猪犬訓練所で訓練会が催された。 中島猪犬訓練所で公的な競技会や訓練会の開催は多くはない。依頼があれば場所の提供はするが、主催することはない。もちろん方針に口出しすることもなかった。 ところが今回の訓練会は珍しく中島猪犬訓練所代表の中島毅所長の意向で3つの条件がつけられた。 初心者であること 少数制・参加犬数10頭未満 単犬単

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危険すぎるイノシシの牙! 猪犬を守るための防牙ベストの世界

猪の牙から猪犬を守れ!国内外を問わず猪猟において猪犬を使うとき、しばしば猪の牙にかかり、犬が受傷することがある。 せっかく猪が獲れても犬が怪我を負えば喜び半分、怪我の程度によっては全く笑えない状況で帰路に着くことになる。 そこでいつの頃からか、対猪用の狩猟犬のため「防牙ベスト」なるものが登場し始めた。現在(2018年)、日本で市販され、比較的容易に手に入る3種類(編集部調べ)をご紹介しよう。 犬は決して使い捨ての道具ではない。犬の成長や猟芸に合わせ最適な防牙ベストを選