テイルズ オブ イノセンス (DS版)

※本記事は、作品プレイ当時にXへ投稿した文章の転記です

(2024年6月19日)
今日から テイルズ オブ イノセンス (DS版)

(2024年7月4日)
テイルズ オブ イノセンス をクリアしました。
こんなの、私だってアスラに惚れざるを得ない。

「前世」がキーワードの本作、主要登場人物のほとんどに前世の概念があり、また各キャラはこれを認識している(していく)という世界観。この中で興味深く思ったのが、「前世で起きたことと今の自分は別」と考える者と「前世で起きたことも自分の一部」と考える者の2種類がいるという事実でした。もし私が本作の登場人物だったら、前者の考えになるだろうなあと思ったのですが、でも前世での出来事が記憶として残っていると事情が違ってくるのかもですね。記憶があるということは、それは「体験」と大差ない訳なので、とても切り離して考えたりすることのできない人がいたりするのも、もっと極端に前世の自分と今の自分を同一視する人がいたりするのも、道理なのかもしれない。

さて、この視点で捉えたときの主人公ルカ、これを語らずにはおれません。自信の無さ、卑屈さ、臆病さ、それらから来る変身願望をすべて満たす「前世アスラ」に目を輝かせ、あっと言う間に「アスラであること」をアイデンティティーとしたルカを見て、少年ならではの一面を微笑ましく思ったと同時に危うさも感じました。アスラへの思いがあまりに一途で寄り掛かりすぎてて、もしもこの支えを失ったら大きな穴が空いてしまうんじゃないかという予感がしたのでした。西の戦場で彼が力に溺れかけたのも、この不安を煽る一幕でしたね。
とは言えこの場面では、イリアの言葉によって道を踏み外さずに済んだので、なるほどこれを切っ掛けに中盤にかけて「アスラたる自分」とは違う確固たる「自分」が芽生え、結末にかけて確立されていくのかなと想像していました。
しかし、ルカに根差したアスラの存在は私が思っていたよりずっと深く大きなものなのだった…天空城にて、イリアの前世(イナンナ)とスパーダの前世(デュランダル)がアスラを裏切っていたと知り、のみならず天上崩壊を招いた魔王の正体がアスラだったと知るシーン。アスラの存在を心の拠り所にしていたルカは即ち「前世で起きたことも自分の一部(であってほしい)」と考える側であった訳だからつまり突然すべての責任が自分の肩に…いや、それ以上にこの場面を残酷だなと思わせたのが、その真実を告げたマティウスも実はアスラの転生であったということです。
ルカも頭では「前世と現世は別人」と理解できていたはずだから、あの真実を告げたのが或いはチトセだったのであれば、平静さを失うまでのことにはならなかったのではないか。しかし他でもないアスラの言葉で突き付けられては。「世界を滅ぼす」とはっきり言い放ったマティウスに対して、少しの反発さえできなかった彼がいかにアスラを絶対の存在と信じ依存していたかがよく分かる。こうなるともうアスラの言葉はルカを縛り付ける呪いですよね。オープニングからのすべてが前振りになっていたのだと気付かされる、珠玉の名シーンでした。

そしてこの後の展開にこれまた唸ったんですよ。アスラと魔王の声を耳にしながらルカが自問自答するシーン。あの展開を見たとき私は「自暴自棄になっているルカが心の中に悪のアスラと悪の魔王を作り出し、両者から"自分を破滅に向かわせる言葉の数々"を浴びせられるのでは」と思ったんです。
ところが、アスラはルカを正しい道へ戻そうとする言葉をかけたでしょう。それを聞いてルカが立ち上がったでしょう。ここかなり良かったですね。ルカにとってアスラの言葉は呪いにもなり得るが、反面祝福にもなるんだと。確かにあそこでルカを救えたのはアスラをおいて他にはいなかったろうと。そしてルカは、他でもないアスラの言葉で遂に「自分」を確立するんだと!
ここもまた、これまでのすべてが前振りとして積み重ねられてきたからこそのカタルシスがあったし、何よりアスラがあまりに格好良かった。本作一番の感動ポイントでした :)

あと、これらの展開を経てルカが仲間の下へ戻るところも好きなシーンでして。今作のパーティーって、メンバーの半分以上がかなり明るいと言うかふざけたと言うかさっぱりした性格なので、一時的にはジメジメしても後腐れなく元通りになることに長けているんですよね。リカルド離反の一件があったときにも思いましたが、遺恨をほとんど残さず次のステップに進める関係になっているのが見ていて気持ち良い。
ただこれは前作テンペストのときも同じようなことを考えましたが、携帯機ならではの事情(=あまりその辺りを時間をかけて描写する容量的余裕がなかった)があったためかもしれず、据え置き機のリソースで臨まれた場合にどうなっていたかを想像するとやはり怖いものがありますね^o^

システム面ではやはり絆に触れておきたい。キャラの関係性大好き人間としては当然、全ペアの絆をMAXにしたいところでした。が、これまた携帯機のボリューム事情が故に、全ペアを満遍なく育てていたら誰とも深い関係を築けない内にゲーム終了となってしまう可能性がかなりあると予感したので、思い切って一部のペアは斬り捨てていくべきなのか?という結論に達しました(あるいはこれは、周回プレイを前提としたバランスだったのかもしれませんが)。おあつらえ向きなことに、今作はバトル参加メンバーと控えメンバーでレベル差がまったく付かない仕様になっていて、特定メンバーを贔屓して使い続けることにも抵抗感があまりなかったので、中盤ごろからはルカ/イリアを重点起用していく方針に。
ただ、このルカ/イリアというのがほんの少し問題児でしたね…絆を深めるに連れてどんな風に距離を縮めていくんだろうと思って見ていたのですが、絆値が 500/1000 時のSKITでもまだお互いにすれ違ってケンカしてる。絆250くらいの時点で既に表記上は「良い友人」となるのに、とっくにそれを通過したはずの2人が未だそうは見えない。これは自信過小ルカと跳ねっ返りイリアの組み合わせだから特別に進展がゆっくりだったのだろうか?
やっぱり他のペアの様子も見てみたい…が、それをやると最悪の場合ルカとイリアが打ち解け切らないままクリアしてしまいかねず、さすがにそれでは寂し過ぎるので、心を鬼にして2人の絆の育成に励みました。ラスダン到達時点で750くらいでしたが、レベル上げならぬ意地の絆上げでMAX1000まで。最後にはしっかり仲を深めた様子が見られたので、大満足です。
そういう訳で最後、創世力はイリアと共に発動させました。最後まで思いは伝わり切らず、別れのシーンでもどちらかがどちらかを引き留めたりしないまま終わりましたが、ここまでの2人を見守ってきた私だからこう思う。これが彼ららしさであり、2人はこれで良いんだと。これからもゆっくりゆっくり関係を深めていくんだろうなと。どうかくれぐれも仲良くやっていくんだぞ^o^

バトルはほとんどの場面で苦戦しませんでしたが、ラスボスだけは強かった…3連敗でした。ラスボスに3回敗れたのって、シリーズ最多記録だったんじゃなかったかな。
こうなった要因は薄っすらとは分かっていて、全員を1つのスタイルに専念させていたせいで、例えばウィズダムスタイルのキャラはスタイル補正で最大HPが低いのに「防御上昇」も付けておらず、すぐ死ぬ状態だったのでした。つまり育て方が下手すぎたと^o^
それでも最後はそんな惨状パーティーのまま、私はアンジュ操作でひたすら安全圏から回復術を連発し攻撃はCPU任せにするという姑息な手で勝利しましたとさ。ガハハ^o^

#ゲーム感想 #テイルズ #テイルズオブ

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