このままでは生活困窮者が増えかねない
ここに来て、現在の状況を放置すると生活困窮者が増えないか懸念しています。
日本は約30年間、ほぼ所得が増えずに来ましたが、その間には税金・社会保険料の負担だけが増えています。その中でも何とかやりくりできたのは、デフレ下で物価が上がらなかったからです。
所得が増えず、税金、社会保険料の負担も減らない(むしろコロナ禍の財政出動で増える)中で、インフレだけが来たらどうなるのでしょうか。特に二極化が進む中でギリギリで生活していた人達をはじめ、生活困窮者が増加しかねません。
ちなみに、令和2年の平均年収は433万円でした。この30年間400万円前半で推移しており、30年前の平成2年は425万円です。二極化が進んでいることには注意が必要ですが、平均値でみればほぼ変わっていないと言えます。
加えて、税金・社会保険料負担についても、所得に対する負担割合が平成年間の約30年間で約20%から約26%まで上昇しています。確実に手取りの所得金額はこの30年間で減ってきていたはずです。
それでもなんとか成立していたのは、物価が大きく上がらなかったからです。
しかし、足元、エネルギーを始めとした各輸入物価の上昇、また円安を起因とした物価の上昇が始まっています。これまでは消費者価格に転嫁するのを躊躇していた製造者等も軒並み値上げをはじめています。
製造者等の人件費上昇によるインフレならまだよいのですが、今回はエネルギー高や原材料高が起因のインフレである為、人件費の上昇は期待できません。
このままでは生活困窮者がかつてなく増加することが懸念されます。
根本的な解決策としては働く人の生産性をあげることで、同じインプット(時間、お金等)でも多くのアウトプット(売上、利益等)をあげるのが模範解答ですが、あまりにも展開が早すぎるので、即効性がある対策にはなりません(もちろん着実に取り組まないといけませんが)。
ここで注意しないといけないのは、日本銀行がこの状況になっても金融緩和を緩める様子がないことです。金融緩和はデフレ時には有効な政策ですが、インフレ時にはインフレを加速しかねません。インフレ時には金融引き締めで金利を上げるべきです。
悩ましいのは、金利が上がると日銀が保有する国債の価格が下落してしまうことです。日銀の資産が毀損され、債務超過になることも懸念されます。そうすると更に円安が進みかねません。
しかし、一番守るべきなのは国民の生活ではないでしょうか。もちろん日銀の信頼性毀損による問題も考慮しないといけませんが、最優先順位は何かを考えながら金融政策を検討してほしいです。
この辺は参議院選挙でも各党の考えを示していくべきだとも思います。
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