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電気のおはなしその15・ここまでのまとめと若干の補足

そろそろ電池とか抵抗とか電流とかの電気回路の話に入っていこうと思うのですが、その前に、ここまで話したことについて、箇条書きにしてまとめたいと思います。

  • 電気の正体は、電子などが持っている性質である。

  • その「性質」とは、相互に反発しあったり吸引しあったりという力が発生するというもの。

  • 何故、電子どうしが反発するか、というのは人間の科学ではまだ良く分かっていない。なので、「そういうもの」と思えばおk。

  • 電子とは、電気と質量を持っている粒で、この世の中を構成する原子の中に含まれている。つまり、私もあなたも机も地球も空気も何もかも、周りに存在している物質の中に含まれている。

  • 電流というのは、電子の流れである。

  • 質量を持っている電子に対して力を与えて移動させるというのは、ニュートン力学の運動方程式に則った理論となる。つまり力学。

  • 運動方程式とは、「物体に発生する加速度は、物体に掛かる力の大きさに比例し、質量に反比例する」というもの。

  • 力というのは、物体同士が接触して発生するものだと思われていた。しかし、ニュートンは、接触していない物体(=木から離れたリンゴ)にも力が働き、加速して地球に落下していくことを発見した。このように、「接触していないのに力が発生する空間」を「場」という。

  • 人間が地球上で生きていられるのは、「物質(=質量)が存在するだけで、その物質には引力が働く」という「重力場」の中にいるから。

  • 同様に、磁石が存在すれば力が発生する空間を磁場、電荷が存在すれば力が発生する空間を電場(電界)と呼ぶ。

  • クーロンの法則は、電荷2つの間に発生する力を示す式であり、双方の電荷の積に比例、距離の2乗に反比例する力が発生するというもの。

  • クーロンの法則の式を、電荷1つが作る電界と他方の電荷の大きさの積、という形に書き換えると、電界の定義が良くわかる。

  • 物体にある力を掛けて、ある距離移動させた場合、この力と距離の積を仕事という。仕事が発生して、初めて何らかの役に立つ作用が生まれる。

  • 電界の中で電荷を移動させると、クーロン力によって生じる力と移動距離の積、つまり仕事が発生する。この、電界の作用によって生まれる仕事のことを電位という。

  • ある1つの電荷が周囲に電界を作っているとき、その電荷から距離rの点の電位は、無限遠からその点まで他の電荷を移動させるための仕事。

そして、これらに付随して、

  • スカラーとベクトルの違い

  • ベクトルの和と差の計算

  • 作用反作用の法則と力の釣り合いが意味するところ

  • 重力加速度によって発生する仕事

  • 仕事とエネルギーの関係

  • 積分計算をちょこっとだけ

なんかを話したかと思います。
そして、ある電荷によって作られる電界の大きさが同じ点をつないだもの、つまり電荷を中心として三次元球状に広がる面を等電位面と呼び、電荷を中心として電界は360度球状に発散していくという話とか、その電界の様子を矢印で表したものを電気力線と呼ぶんだよ、だから電気力線と等電位面は常に垂直に交わるんだよ、なんて話もちょっとした気がします。
ちなみに、電界はベクトル、電位はスカラーです。何故、電位がスカラーになるのか説明できますでしょうか。

電位は、その地点における、電界によってもたらされるエネルギーを示しています。これはちょうど、高気圧によって噴き出す風と気圧の関係と同じですね。ある地点における風は、風力と風向を持ったベクトルですが、その地点における気圧は、風の作用によってもたらされる値ではありますが、単なる圧力の値なのでスカラーとなります。これと同じようなもんです。
あるいは、車を運転しているとき、ある地点で車が向かっている向きはベクトルですが、そのときの速度自体はスカラー値、みたいなもんです。

電磁気学は、掘り下げるとまだまだいーっぱい書くことはあるのですが、それはまたどこかで機会があればということにして、次は簡単な電池と抵抗の回路の話にでも入っていきたいと思います。

表題写真はISDN対応公衆電話。珍しいものを発見したというだけで、特に意味はありません。

以上。

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