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ミートボールが作れるなら作れるがんもどきもどき(または豆腐ボール)

豆腐が好きだ。冷蔵庫には常に何丁か、木綿豆腐や絹ごし豆腐が入っていて、ほぼ毎日どれかをチョイスして、そのまま食べたりチンしたり、汁物に入れて楽しんでいる。「男前豆腐」はラインナップに入ってこない。「俺の」とか「男の」とか言われると、どうもレジに持っていけない。

豆腐が好き高じて、全豆連(一般財団法人全国豆腐連合会)主催の豆腐マイスター認定(初級)も取得した。実技で豆腐を作れるようになったり、豆腐を使った献立の幅が広がったのはもちろん、参加者も相当に面白い人たちで、豆腐クラスタとして意気投合し、その後も交流が生まれたところがよかった。

豆腐は優れたタンパク源であり、安価で、しかもヴィーガンだ。外国から来る友人のうち、特に欧州の場合、体感では今や1/3がヴィーガンまたはベジタリアンなのだが、日本では外食でヴィーガン食を保証できる環境を用意するのに、東京であっても意外と難儀する。クレイジー・アフォーダブル(大変に安価)でリッチ(豊か)な、アジアン・プロテインである豆腐がこんなにたくさんあるにもかかわらず。

お豆腐を推しフードとして布教するためでもあり、持ち寄りの際に豆腐料理がほぼ確実にかぶらないということもあり、持ち寄りの際にがんもどきを作って持って行くことがある。おかげで「がんもどきって作れるの?!」という掴みはOK、バーベキューでも網でもう一度グリルして熱々を食べられるし、ヴィーガンの人も食べられるし、なかなか好評いただいている。先日、友人宅に集まってご飯を食べたときも、1歳11ヶ月の友人の息子が気に入って3個も食べてくれて、4つ目を握りしめて寝落ちした。ちびっこがガツガツ食べてくれるというのは、大人が喜んでくれるのともまた違った嬉しさがある。

ここまできてなんですが、わたしが作っているそれを「がんもどき」と呼んで良いものかどうかは怪しいものです。がんもどきは山芋が入るのですが、わたしはそこまでやる元気はなく、入れないので。何か言われたら「がんもどきもどき」とでも紹介してください。もしくは「豆腐ボール」。山芋さえ気にしなければ、作り方はほぼほぼ「ミートボールのミートが豆腐になるだけ」。ミートボールが作れるなら、豆腐ボールも作れる。

<ベースの材料>
木綿豆腐…一丁、ザルに置き重りを乗せ、一晩かけて水切りする。ただわたしは待てない人間で、三時間ほど出かけて水切りしたあとレンジでチンして無理やり水を抜きましたが、あまり支障はなかったと思います。もしかすると三時間置く必要すらなく、粗く崩してレンジでチンするだけでもいけるかもしれない。でもとにかく水は抜いてください。固まらないし、油が跳ねます。

<具の材料>
具は、A.だし部門、B.彩り部門、C.食感部門、D.食べごたえ部門、E.薬味部門と、部門別に何種類かチョイスするようにすると、何通りも楽しめると思う。部門を横断する食材も無限にある。

A.だし部門
ひじき、切り昆布、あおさなど海藻類
干し椎茸、エノキなどの茸類
干しエビ(ヴィーガンではなくなるけど、彩りもよくなる)

B.彩り部門
にんじん、パプリカ(焦げるほどローストすると風味高く甘くなる)など、暖色系の野菜

C.食感部門
レンコン、たくあん、クワイ、玉ねぎなどシャキシャキ系、ゴボウ、きくらげ、切り干し大根などコリコリ系

D.食べごたえ部門
銀杏、枝豆、グリーンピースなどの豆類
さつまいも、かぼちゃなどの芋類

E.薬味部門
生姜、ニンニク、茗荷、ネギ、大葉、炒りごまなどなど。

このように「どんながんもにしたいか」を思い描きながら、好きな具材をいくつかチョイスして、混ぜ込んでいくと楽しい。常にゴールを思い浮かべることが肝心です。海ぶどうでプチプチさせたり、アンチョビとブラックオリーブ、ケイパーで洋酒向けにしたり、いぶりがっことクリームチーズでスモーキーにしても面白い。豆腐はそれ自体が大豆の甘味を楽しませてくれるだけでなく、偉大なる懐の深さを持ったキャンバスでもある。フレーバーを絵の具にして、いろいろと遊んでいただきたい。


①ベースを作る。水切りした豆腐一丁をボウルへ。ていねいにザルで裏ごしとかフープロで撹拌とかやったことない。手でぶっ潰します。ここでまだ水が出るようならできるだけ捨ててください。

②つなぎ。一般的には山芋と卵。山芋は一丁につき30-50g(一丁の大きさによる)。山芋も卵も使わない場合、一丁につき小麦粉と片栗粉をスプーン一杯ずつドバッと。軽く塩をつまみ入れて、粘り気が出るまでよく混ぜます。

③次々に好きな具を入れます。各部門から1~2品目くらいを選んでいくと楽しいと思います。水煮のレンコンとか水気のあるものは小麦粉をはたいておくとベシャベシャにならなくていいと思う。ひじきは海の匂いが強くて切なすぎるので、みりん醤油で炒り煮してから混ぜるとよいです。余談ですがひじきはナンプラーと唐辛子で炒めても美味しいです。魚醤だから海のものと合う。

④好きに味付けします。わたしは生姜と、味噌を使うのが好きです。味噌はペースト状で混ぜづらいので、少し酒とみりんで伸ばします。コチュジャンなどで辛味をプラスしてもいいです。ミートボールと違うのは、豆腐だからボウルからそのまま味見できること。まぁ具によっては焼いたほうがいいかもしれませんが。。。心配なら、フライパンに少量の油でミニがんもを一つ焼いて食べてみてください。

⑤成型。ゴルフボール大に丸めて、軽く小麦粉をはたいてみました。これは油の中でほどけないための保険であり、少量の油でも周りをカリッとさせるためです。

⑥揚げない。焼くの。半分浸かるくらいの油で充分できる。

⑦完成。カリカリふわふわ。味付けを薄くして生姜醤油で食べるのもいいし、しっかりめに味付けてお酒のつまみやお弁当に入れてもいいです。

がんもどき、和食の中でもかなりしぶめの食べ物というイメージがあるかもしれないしそれ自体でもちろんおいしい食べ物ですが、「ミートボールのミートが豆腐になっただけ」のつもりでも似たようなものが作れるということはもっとわかってくれてもいい。がんもどきもどき/豆腐ボール、遊べます。

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