ライム・ライト
「俺、この戦いが終わったらコロナにライムを刺して飲むんだ」
この台詞が死亡フラグと呼ばれるようになって、三年が過ぎた。
あるとき、どういうわけか、世界に分布している柑橘類の中でライムだけが枯れていく現象が起きたのだ。
レモン、蜜柑、グレープフルーツがたわわに実る中、ライムだけがしょんぼりと枝を垂らし腐っていく。科学者と農家達はこの事態を解決すべくあらゆる手を尽くしたが、それでもこの奇病の進行を遅らせるのが精一杯だった。
最早、人類はあのエメラルド色の芳しき果実を諦める他ないのか?
――否。
「地球が駄目なら他の星で栽培すればいい」
そう言って、ある男が火星行きのロケットに乗ったのだ。ドリトスを片手に。
【続く】
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