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テスラのロボタクシーイベント、「詳細欠如」で投資家を失望させる

テスラ(TSLA)が開催した「We, Robot」ロボタクシーイベントは、投資家やアナリストにとって期待外れの内容となりました。CEOイーロン・マスク氏が完全自動運転の「サイバーキャブ」を発表したものの、具体的な技術や戦略の詳細はほとんど明かされず、株価は大きく下落しました。この記事では、イベントの主要なポイントとその影響について解説します。


サイバーキャブ発表も詳細不足

テスラは、1950年代のハリウッド映画セットを舞台に完全自動運転車「サイバーキャブ」を発表しましたが、技術仕様やセンサー、安全機能などの詳細説明はありませんでした。また、目標とする2026年の量産開始日も具体性を欠いており、多くのアナリストから疑問視されました。

投資家やアナリストの反応

  • バーンスタインのトニ・サッコナギ氏は、「イベントは全体的に期待外れで、詳細が驚くほど欠けていた」とコメントし、規制承認の道筋や既存車両との互換性などの具体的な情報が不足している点を指摘しました。

  • モルガン・スタンレーのアダム・ジョナス氏も同様の懸念を示し、FSD(完全自動運転)技術の改善や市場投入計画、財務分析についての詳細が欠如していたと述べました。

一部のアナリストからは好意的な評価も

バンク・オブ・アメリカのジョン・マーフィー氏は、サイバーキャブの2026年の生産目標や試験走行計画などに満足し、イベントは「期待通り」だったと評価しました。また、ヒューマノイドロボット「オプティマス」のデモンストレーションにも感銘を受けたと述べています。

規制と技術的課題への懸念

サッコナギ氏や他のアナリストは、ウェイモやクルーズといった競合企業を技術的・規制面で上回ることが難しいと指摘。特にFSDの改善やロボタクシーの実現可能性についての詳細が不足しており、疑問が残るとしています。

低価格モデルの発表が期待外れ

多くの投資家は、2025年初頭に発売予定の低価格モデル「モデル2」についての詳細が発表されることを期待していましたが、具体的なレンダリングや技術仕様は一切公開されませんでした。

株価への影響

イベント後、テスラの株価は7%以上下落し、年間での下落幅は11%に達しました。株価は4月の低水準からは回復したものの、依然として不安定な状態が続いています。

オプティマスロボットへの関心

オプティマスロボットのデモは一部のアナリストに好意的に受け入れられました。特に、サイバーキャブに搭載される分散型コンピューティングパワーを他のタスクに活用できるというマスク氏のコメントが評価されました。

ライドシェア企業への影響

テスラのロボタクシー計画の不透明さは、UberやLyftにとってポジティブな要素と見られ、両社の株価はイベント後に約10%上昇しました。

今後の展望

テスラは10月23日に四半期決算を発表予定であり、それが投資家の不安を払拭する機会となるか注目されています。しかし、今回のイベントによる失望感は簡単には拭えないでしょう。

まとめ

テスラのロボタクシーイベントは、エンターテインメント性に富んでいたものの、技術や戦略の詳細に欠けており、投資家やアナリストを失望させました。競合他社との競争が激化する中で、テスラが規制や技術的な課題をどのように克服するかが今後の課題となります。

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