口呼吸の人に経鼻カニュラはダメなのか?
この話題は看護師さんの中でよく話題になることです。口呼吸の定義は分かりませんが、英語の文献では口を開けた呼吸(breathing with mouth open)などと書かれています。
経鼻カニュラは鼻に酸素を投与するものなので、鼻で呼吸をしていない人には使えないと言うのです。確かに酸素療法マニュアルという文献のP.35には「常時口呼吸の患者には推奨できない。」とあります。
なので、患者さんにサージカルマスクを装着してもらって経鼻カニュラを使ったりする場合もあるようです。
しかし、口呼吸とか関係なく経鼻カニュラが適応であれば使って良いです。そして、SpO2が上がらないのであれば、口呼吸だからとか考えずに酸素投与量を増やしましょう。4L以上の流量になるのなら酸素マスクにしましょう。それがどうしても嫌なら、オキシアームにしましょう(上記マニュアルのP.39に載っています)。「オキシアーム・オキシチン」って最初えっ!って思いました(人体の一部)。たぶんビョーキです。
英語が得意な方は、こちらの記事をご覧ください。そして私の記事など読む必要ありません(^^)。
英語が苦手な方に向けての解説です。
口呼吸と鼻呼吸の患者さんに経鼻カニュラを使って良いかと調べたところ、現時点では意見が分かれるようです。が、ある研究では、口を開けていた方が吸入酸素濃度が高くなったそうです。古くから使われている器具ですが、きちんと人で検討されたことがないのですね。
上記は引用されていた文献です。口が開いていた方がリザーバー効果が高いためと考察されています。読んでもよく分からなかったのですが、私の考察はこうです。
口を閉じていると、鼻と鼻咽頭だけにガスがたまり、息を吐くとその間に経鼻カニュラから出てくる酸素はほとんど外に出て行ってしまいます。口の中にも酸素はたまりますが、口を閉じていたらガスの出入りはほとんどないでしょう。
口を開けていると酸素は鼻からしか入ってきませんが、息を吐く時に口からも息が出ていきますから、息を吐いている時間に酸素が少しは鼻腔や鼻咽頭にたまると言うことなんでしょうか。
そして、口呼吸をしている人は鼻に何か病気がある可能性がありますので、そちらの治療をすべきです。鼻が閉塞している人に経鼻カニュラを使いたいからと、サージカルマスクをさせたら苦しいかも知れませんから。
歯科医に相談しても良いと書かれていて、これは目からウロコでした。
それから、イギリス胸部疾患学会(BTSって、アイドルグループとは違います)のガイドラインの61ページにもありました。
Although one might expect mouth breathing to reduce the efficiency of nasal cannulae, the majority of studies have shown that mouth breathing results in either the same inspired oxygen concentration or a higher concentration, especially when the respiratory rate is increased. This is important because patients with acute breathlessness are likely to breathe quickly and via the mouth rather than the nose.
口呼吸の患者さんに対しては、経鼻カニュラの効果が低いと考える人がいるかも知れないが、特に呼吸数が増えている時には、口呼吸は鼻呼吸と比べて同じか高い吸入酸素濃度を示したと多くの研究で報告されている。急性呼吸疾患の患者さんでは呼吸が早くなり、鼻よりも口から呼吸するようになるので、この事は重要である。
「この人は口呼吸だから経鼻カニュラ意味ないよ!」と言われたら、内緒で「意味はあるよ!」と思っておきましょう!
こちらの私のブログにもほぼ同じ事を書きました。こちらはヤットデタマンの動画を引用させていただきました。全然関係ないですが。