女子シングルの3Aの話題にかこつけて浅田真央について語る

直近12歳が練習で決めたと話題の3A(トリプルアクセル)。近年女子選手でも跳べる人は増えているが、それでもやっぱり個人的には3Aというと浅田真央なんだよなあ、という3Aにかこつけて浅田真央について語っている記事。

3Aを跳ぶ人は増えている

そもそも女子シングルの選手で最初に3Aを公認(国際スケート連盟が認める大会で成功)されたのは伊藤みどりである。今見ても歴代で1番ダイナミックなんじゃないかと思うくらい、とにかく高い迫力のある3Aを跳ぶ。
以降、トーニャ・ハーディング、中野友加里、リュドミラ・ネリディナ、浅田真央と決めていくわけだが、伊藤みどりの認定が1988年で浅田真央の認定が2004年である。17年間で5人しか決めていないというところに難しさを感じるジャンプである。
尚、浅田真央の次に決めたのはリーザことエリザベータ・トゥクタミシェワで、これが2015年である。ちょうど浅田真央が1年間試合を休んでいたシーズンの世界選手権ショートで決めたので、2014-15年シーズンの最後に華々しく決めて優勝を飾ったのである。(尚、その数週間後の国別対抗戦ではフリーにも3Aを入れて見事に決めている)

これ以降、急激に3A挑戦者・成功者が増えており、直近では12歳のベロニカ・ジリナが練習中とはいえ3A+3T(トウループ)のコンビネーションで決めているという3A全盛期、それ以上に4回転も多発しているので高難度ジャンプ全盛期となっている。

日本でも個人的にパッと思いつくだけで、紀平梨花・細田采花・吉田陽菜・竹内すい・大庭雅・三宅咲綺・横井ゆは菜・横井きな結…といった具合に3Aを跳ぶ人がめちゃめちゃいる。こんな時代が来るとはという思いである。
当然、世界でも跳ぶ選手は増えており、前々回の記事の主役だったコストルナヤも昨シーズンから跳び始めて成功しているし、引き続き同門となる4回転ジャンプのデパートのようなトゥルソワも昨シーズン試合で挑戦している。有力選手だけでもまだ他にも跳んでいる(アリサ・リウとか)のが現代フィギュアスケートなのである。

女子選手の3Aと言えば浅田真央と思う世代

自分の話となるが、私がスケートファンとなったのが2005-06年シーズンのグランプリシリーズからで、激ハマりしたのが翌06-07年シーズンのグランプリシリーズである。
2005-06年シーズンはちょうど浅田真央がシニアのグランプリシリーズにデビューし、くるみ割り人形の音楽にのせて3Aを決めまくっていた時期である。後にも盛んに映像が流れているのでご存知の方も多いであろう、白とピンク基調の衣装の演技で、デビューシーズンながらグランプリファイナルで絶対女王的存在だったイリーナ・スルツカヤを破って優勝するという衝撃的な活躍で一躍国民のアイドルのような扱いをされたシーズンだ。
その頃から年齢制限でトリノ五輪に出られない話が後出しじゃんけんのように色々なメディアから出ていたので「ああ、あの年ね」となる方も多いかと思う。
そんなシーズンから見始めて、翌シーズンにはチャルダッシュの音楽にのせてステップを踏んでから3Aを跳ぶという今でもあまり多くは見られない芸当をやってのけるのを目の当たりにしているので、どうしても個人的に女子選手で3Aというと浅田真央しか思い浮かばなくなる。
今のスケートファンはどうなのだろう。日本人だと紀平梨花を思い浮かべる人が多いのだろうか。あるいはそれこそステップから綺麗な3Aを跳んでのけるコストルナヤを思い浮かべる人もいるだろう。
ただ、個人的には「昔は良かった」という気はさらさら無いが、浅田真央なのである。2005年から観てしまっているのでそういう世代なのである。フィギュアスケートの時代としては常に時代に合わせた選手たちが活躍しているので今も昔も素晴らしいのだが、それでも3Aで思い浮かぶのは浅田真央である。(しつこい)

とにかく浅田真央が凄いという話

浅田真央は凄いのだ。
3Aを跳び続けた期間がそもそも凄い(ジュニア時代から跳んでいるので干支1周するくらいやり続けている)し、女子シングル選手がショートプログラムで3Aを跳んだのは彼女が初めてだし(2009年国別対抗戦のSP「月の光」のはず。当時は単独の3Aが許されていなかったのでコンビネーションジャンプとして3A+2Tを跳んでいたので得点的にはそんなに有利ではなかったが)、引退してからも47都道府県全国を行脚するアイスショー公演をやり続けるという前衛的な挑戦をしている。
アイスショーは小規模で客との距離が近いリンクを基本的にチョイスしており、家族で来てほしいとの言葉通りチケットもフィギュアスケートのチケットとしては破格の安さ。ちゃんと収益大丈夫なのかお節介ながら心配になるくらい他と比べて安い。(他が取りすぎてるのも大いにあるのだろうが)
誰も3Aをやらない時期にやり続けた挑戦心、強い心は現在方法を変えながら生き続けているのだ。これを凄いと言わずしてなんと言おう。(ボキャ貧)

浅田真央のオススメの作品を3つ語って終わりにする

先述のくるみ割り人形とか、ソチ五輪のフリーとかは有名なので置いておく。興味お持ちいただける方は是非ご覧いただきたい。(明らかに公式の動画以外は貼り付けないスタイルでいきたいのでここには動画つけません。ちなみにYoutubeならば、「mao asada 年 ショート(sp)orフリー(fs)orエキシビション(ex)」って感じで検索すればいけます。次に挙げるやつなら、mao asada 2012 exで出てきます。)
2005年から見てるくせに、彼女の演技については晩年の方が好きなので、3つともそんな感じです。

①2012-13年シーズンのエキシビション「メリーポピンズ」
これぞエキシビション!という世界観満点の演技。盛り上げ方も上手く、スケーティングが上手いので観ていて爽快感もある。
傘を持ちながらジャンプを跳ぶといったエキシビションならではの動きもあり終始観ていて楽しい演技。本人のキャラクターにも合っているように見え(少なくとも国民の「真央ちゃん」のイメージはこれだと思う)、自信をもってオススメできる作品。

②2015-16年シーズンのフリー「蝶々夫人」
個人的には非常に不服なのだが、なぜか世間一般的にも、あるいは浅田真央特集等が組まれても、彼女の現役生活はソチ五輪で終わりました!!みたいな扱いをされがちである。(そもそもその後同シーズンの世界選手権で優勝しているのだけれど)
その後1シーズン休んでの復帰シーズンのフリーがこれなのだが、とにかくプログラムの深みが凄いのだ。この深みを上手く言葉で伝えられないのがもどかしいのだが、1回休んで色んな世界見ないと出てこないような深みで、表情1つ取ってもそれまでの浅田真央とは全く異なる作品になっていて秀逸である。
良い意味で失うものが無くなっていて、ジャンプ構成も非常に攻めながら表現も非常に攻めた内容のものが出来ている名作だと思う。

③2012-13年シーズンのフリー「白鳥の湖」
フィギュアスケートにおける王道中の王道の曲。
その前年まで、ジャンプの矯正に大変苦しんでいた中(バンクーバー五輪前くらいから苦しんでいたので記憶にある方も多いかと思う)、ついに矯正が一段落したシーズン。スケーティングが従前より大幅に伸びるようになり、ジャンプの質も向上、3Aも完全復活を遂げており全てがハイレベルな演技。尚、このシーズンはショートのアイ・ガット・リズムもとても良いし、エキシビションはさっき書いた通りだし、このシーズン端折られがちだけどほんと全部観てほしい。(急なオタクテンション)
終盤のステップの音との調和具合が凄まじいので是非ご覧ください。

以上。3Aにかこつけて真央ちゃんについて語る記事でした。

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