心置き去り、電車。

予報外れの雨 水曜日の夜
雨に打たれながら 電車に駆け込む

 子供のように騒ぐ胸 深呼吸してあやそう
カバンからしたたる水滴  嫌んなっちゃうね

出発1分前
駅のホームに目を向けると
大きな目をした君がいたんだ

全ての音がなくなって 君だけしか見えなくなって
ここから飛び出してその手を取りたい
重なって離れた僕らの足跡
のどが渇く つり革を強く握りしめた

久しぶりだね 君は少し痩せたように見えるよ
シルバーのリングがとてもきれいだ

話したいことがたくさんあるのに
聞きたいことがたくさんあるのに

笑顔でさよならしたね
今までありがとって笑いあったね

あの日の雨をおぼえているかい
あの時の僕はどんな顔してた??

鳥籠の中から空を見上げる鳥は
何を想っているのだろう

ホームのベルが鳴り 現実に引き戻される
電車は走り出す 僕の心を置き去りにしたまま

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