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大堰自然の観察室(魚道)レポ〜水流との戦い〜

こんにちは。モグラです。
これは渓流風水槽を目指しているモグラが渓流風水槽を立ち上げるまでの記録ーーーー
ではありません。
今回は「相模川アクアリウム」で初めて知った”魚道”を観察できる『大堰自然の観察室』という場所に行ってきたのでその感想を書いていきます。

堰って?魚道って?

魚道は主に用水路や堰、ダムなどにある設備です。まずは堰の説明から。
堰とは、川の水を田んぼの用水路などに送る施設。水門があり水量を調整できる機構も備わっているそう。(詳しいことが分かり次第追記)
水門やそれらの設備があるせいで進路が妨げられ、魚が遡上できないという問題が起こります。

その解決として魚が遡上できるような道をつくりました。それらを魚道と言います。具体的には魚がジャンプして超えられる程度の段差の階段を設けた階段式魚道が有名です。

大堰自然の観察室とは?

大堰自然の観察室とは、群馬県と埼玉県の県境、利根川にある利根大堰。
そこに建設された魚道の中の様子をなんとガラス越しに観察することができる施設です!!!

相模川アクアリウムに行ったときに魚道というのを初めて知りました。
こんな感じ↓

相模川アクアリウムでの魚道の展示
舟通デニール式魚道

こんな感じの資料が展示されていたわけですが、この頃の私は

「魚のための設備があって、しかも魚が休める箇所があったり、カニが登れるようにしていたり工夫されていていいなぁー」

 隣り合って生活している人と魚。私は魚道の人にとってのインフラと魚にとってのインフラが共存していることに心が惹かれていました。人と魚の生活の境界線である魚道にはいくつも種類があり、魚が登遡上しやすいように工夫されていたというところからも魚に対する思いやりを感じました。
 
 アクアリストは水槽の中で魚に対するケアをしていますが、魚道は野生の魚に対するケアなのです✴︎!!

実際到着すると、、(魚道概要)

でかいーー!
堰はケアとか思いやりだとかそんな優しいものではなく、自然に生まれた地形に合わせて作られた巨大な人工物の迫力のあるビジュアルに驚きます。

駅の改札を通るように?魚もこの魚道を通って遡上するんですね。

水流を妨げて多様な流れを作ることで、川底が水流で削られることを防ぐブロック。

でっけぇ!!
大量の水が一斉に流れている光景は圧巻。
水が流れる音がザァァァァっと聞こえて耳からも規模の大きさを感じます。

ひたすら巨大です。

矢印で示しているのが魚道。
赤線は堰と魚道を上から見た図。青が水流。

利根大堰の魚道は堰から突出した突出型魚道で計3本の魚道が画像のように建設されています。
利根大堰の魚道は3回ほど改築されました。
最初は下流の方に一直線に伸びていた魚道でしたが、魚道の入り口に気づかず通り過ぎてしまった魚が堰の根本に溜まり続けてしまいました。その対策として堰に向かって折り曲がるような構造になっているのです!

近くで見るとこんな感じ

ここを魚が通って遡上するのです。


魚道の中心の『コ』の字型の壁(隔壁)は、水流の速度を抑えて魚たちが休憩できるように工夫されています。

 さらにこの魚道には、上からは見えないですが、プールをつなぐ壁の両端の底に穴が設けられています。
この穴は川底の方を泳ぐ、ハゼやウナギのための道として使われているそう。
その他にもこの穴は魚道のプールの中の流れを一定に保つ役割も担っています。

このような構造を持つ魚道をアイスハーバー魚道と呼びます。

今回訪れた魚道観察室では、この魚道の中の様子が実際に観察できるのです!!

入り口の写真を撮り忘れました。。

早速見ていきましょう!!

魚道観察室


思っていたよりかなり流れが早いです。
大人が余裕で流されてしまうほどの速さです。
川の外から見ているとなかなかわからないものですね。。

頑張って登ってます!
右の魚は完全に流されてしまっています
たくさん来ました
流れに突入する魚

ご覧の通り、人でも流されてしまいそうなとんでもないスピードの流れを小さい魚が全速力で突っ切っています。

越流(壁を越える流れ)に挑む魚
越流に弾かれた魚

いやぁ、、これはすごい。😵‍💫
ガラス越しでも魚の本気具合が十分伝わってきます。。。
越流の中でも通りやすい箇所が何箇所かあるみたい(魚にしかわからない)で、水流に対して斜め下から入るとうまく流れに乗れてました。
水面近くから越流に近づくと弾かれてしまうようです。さらにもう一つのルートとして、壁際を沿うようにして登り、上手く水流乗っていく魚もいました。

こちらは魚道の段差と段差の間である、プールの様子。魚が休めるとはいえ、プールの中では常に流れの速さや向きが複雑に変化しています。

動画でこの様子を是非お見せしたい、、!

画面左が上流で右側が下流方向です。そして画面中央の細長い光が魚です。
 本来上流の方向に向かって水平に進んでいくところですが、水流に流されて、下流方向を斜め上を向いてしまっています。
この後も、流れが行ったり来たり複雑に変化し、見たことない角度で魚が泳いでいきます。😧

流されてはいるものの、一番泳ぎやすい角度を探した結果、このような角度になってしまっているのでしょうか。

過酷だ。。


感想

 人の手が加わってない自然の川にもこのような流れの場所はあるんでしょうか。
堰を乗り越えるために人が無理矢理作った地形だからこのような激しい水流なのでしょうか?

 そういえば川の断面を見たことがないです。水面と水中の様子のギャップにかなり驚きました。今回は魚道ですが、自然の魚の様子を観察できるという意味で今回の魚道観察室は、自分の求める水槽のあり方に近いような気もしました。見ていてほんとに楽しかったです。

 魚道内部は自分が思っていたよりはるかに険しく、人と魚の共生のために人が作った、魚への心優しい贈りものと思っていた魚道ですが、魚の踏ん張りによってなんとかプレゼントを受け取ってもらっているようにも見えました。(決して否定的な意味ではないです(>人<;))

 今回は魚の本気を見ることができました。魚たちの力強い泳ぎと川の流れに驚きました。
水槽に強い水流を起こしたいわけではなく、
自分は、うちの水槽で暮らしている魚たちのほんの一部しか、穏やかな水槽の中の様子しか知らないのだなと感じました。


春先になれば、鮭の遡上を見ることができるそうです。鮭の方が大きく泳ぐ力も強いのでまたその時期になれば見にいきたいです!

👍


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