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立ち食い蕎麦


胡麻をかけ続ける男
注文したそばを手にした男は薬味台に向かった
胡麻すり器を手にすると、すり器を回し始めた
すりすり すりすり すりすり すりすり すりすり すりすり すりすり すりすり…
男の後ろに一人また一人とならんで行く
諦めた者は列を外れた
永遠の時の管理を胡麻すりに託した男は、
やがて時の管理を放棄したかに見えた
すると手が七味のボトルへと伸び
七味を振りだした
ふりふり ふりふり ふりふり ふりふり ふりふり ふりふり ふりふり
時の管理は七味に託され、男の後ろに列が延び続けた
どんぶりは胡麻と七味の大陸と化した
静寂の中で落胆と怒りのフォースが渦巻くのであった

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