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公衆電話と恋愛模様:一戸信哉の「のへメモ」 20211107-2

最近、2020年2月の放送でオンエアした、バービーボーイズ「負けるもんか」の記事を再度アップしました。電話をめぐる「年の差」を象徴するような曲です。

バービーボーイズは、80年代から活動している、男女ダブルボーカルのバンドで、男性と女性の恋愛模様を「掛け合い」のようにして歌うのが特徴です。「負けるもんか」は、終電逃して(?)帰れなくなったといって、訪ねてくる女性のセリフからスタートします。

近くまで来てるのよ 泊めてくれる? いきなりで悪いけれど帰れないの
ねえいいでしょ コインがないわ 詳しく話すから着替えでもさがしてて

完全に「おしかけ」で、このあと女性の誘惑に「負けるもんか」と男性が踏ん張るのだが、たぶん誘惑に負けることになる(ということなんでしょう)。で、ここでポイントなのは「コインがないわ」。公衆電話からコインで電話をかけているというシチュエーションです。

この曲は1984年のリリースだそうで、NTT民営化の直前ということになります。この頃の公衆電話はどうなっていたのでしょう。カード式の公衆電話が登場したのが1982年だそうで、その後コイン式からカード式に置き換わるのにどれぐらいの時間がかかったでしょうか。正直あまり覚えていませんが、1980年代終わり頃までは、まだテレホンカードとコインを併用していたような記憶があります。

現在はWi-Fiを利用して音声通話もビデオ通話もできるので、「コインがなくなる」という事情によりぶつっと会話が途切れるというのはあまりリアリティがない。ましてや、そのことを「おしかけ」を正当化する理由にできるとは、現代の若者には思えないでしょう。

電話ボックス、敬和学園大学の敷地内にもあるのですが、割と目立つ位置にあります。90年代前半、大学が開学した頃には、あの公衆電話が、恋愛の舞台装置として機能していた頃があったのか。初期の卒業生の皆さんとお話する機会があれば、たしかめてみたい気もします。

番組でオンエアした他の曲で行くと、森高千里「渡良瀬橋」にも、公衆電話が出てきます。こちらは「おしかけ」ではなく、恋人同士の貴重なコミュニケーション手段だったことがうかがえる内容です。


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