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メディア活動の「家庭学習」:一戸信哉の「のへメモ」 20211028

大学はもともと、教員が自分の研究を授業の形に昇華させて、それを学生たちに伝えるという形で長らく営まれてきて、かなりそれぞれが自由に行われてきたわけですが、昨今は「学習者主体」という視点からさまざまな変化が起こっています。ラジオ制作、映像制作などは、「プロジェクト」への参加の中で、学生たちがそれぞれの局面で学びを深めていくという性格のものです。

一方大学では、学生がきちんと「学んで」いるかという調査が行われ、「予習」「復習」「読書」などの「家庭学習」の時間数がアンケート結果として上がってきます。教員たちが期待する数字が上がっていればいいのですが、少ないと教員同士では嘆きの声が上がることになります。ただこうしたアンケートの数字を回答するときに、学生たちは、ラジオや映像制作のために費やした時間を入れているのかなあと考えると、たぶん入れてないのではないかという気がします。少なくとも狭義の「予習」「復習」の中に、入っていないのではないかと思うのです。

ですが、実はそれらの活動の中には、広義の「予習」「復習」は常に入っています。インタビューするゲストのことを調べていけば、そこには常に、自分たちの知らない社会各層での人々の営みが見えてきます。同じ大学で学ぶ学生や卒業生のような、割と同じような文脈にある人達の活動がテーマであっても、実は制作活動をすることがなければ知ることもなかった内容が沢山眠っています。番組中で流れた曲についての記事ですら、とらえ方、調べ方によっては、大いに学びの要素が眠っているようにも思います。ポピュラー音楽の歴史を紐といていくことにつながっていくことでしょう。Stay Goldという曲は80年代ならStevie Wonderでした。こんなことを知っている10代20代はほとんどいないと思います。

敬和の情報メディアコースの学びについては、資格・検定などである程度の「型」を示しつつも、自分たちの活動や発信そのものが、学びのプロセスの中にあり、その興味関心を伸ばしていけるような仕組みを、さらに組み込んでいきたいところです。


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